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避難距離(歩行距離上限)計算ツール|建築基準法施行令120条・121条の直通階段判定と用途別上限

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

建物用途×主要構造×内装×階から直通階段までの歩行距離の上限を即算出します。物販・飲食店30m、病院・ホテル・共同住宅50m(その他の構造30m)、事務所・学校50m(同40m)の表の数値、内装を準不燃材料にした場合の+10m、15階以上の-10m、用途変更時の再検討まで、建築基準法施行令第120条・第121条準拠で解説。建築設計事務所・消防設備士・大規模改修プロジェクト・店舗開業テナントの実務判定を、公的基準に基づき公式に確認できるツールです。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

避難距離(歩行距離上限)ツール

計算根拠と適用条文

建築基準法施行令 第120条(直通階段への歩行距離)

建築物の各室から直通階段(避難階または地上へ直行できる階段)までの歩行距離上限を建物用途・主要構造・避難施設の有無で規定。避難時に居室から階段まで確実にたどり着けるよう、建物内のどこからでも一定距離以内に階段があることを保証する規定です。

歩行距離の上限 = 表の数値(居室の種類×主要構造)+10m(準耐火構造等+内装準不燃)/−10m(15階以上で内装準不燃でない)

建築基準法施行令 第121条(2以上の直通階段設置基準)

用途・階数・床面積により2以上の直通階段(二方向避難)の設置を義務化。例えば劇場・集会場等の客席のある階、1,500㎡超の物販店舗の売場のある階、宿泊室・共同住宅の居室の床面積が100㎡を超える階、6階以上で居室のある階などが対象です。単一階段の建物では避難経路の閉塞リスクが高いため、原則2方向避難確保が原則です。

数値の加減(120条2項・3項)

条件内容根拠
主要構造部が準耐火構造等で、居室と地上に通ずる主たる廊下・階段等の壁(床から1.2m以下を除く)・天井の仕上げを準不燃材料表の数値に+10m(15階以上の居室を除く)施行令120条2項
15階以上の階の居室(上の内装条件に該当するものを除く)表の数値から−10m施行令120条3項
スプリンクラー設備の設置120条には割増しの規定なし—

全館避難安全検証法などの性能規定で安全を確かめた場合は、120条の規定によらない設計もできます。

用途別 避難歩行距離上限

建築基準法施行令第120条1項の表による、居室の種類・主要構造別の直通階段までの歩行距離の上限です。

居室の種類準耐火構造・不燃材料(耐火構造を含む)その他の構造準耐火等+内装準不燃
(1) 採光無窓居室、物販店舗・飲食店・百貨店・展示場・遊技場等(法別表第1(い)(4)項)の主たる用途の居室30 m30 m40 m
(2) 病院・診療所(患者の収容施設あり)・ホテル・旅館・共同住宅・寄宿舎・児童福祉施設等(同(2)項)の主たる用途の居室50 m30 m60 m
(3) 上記以外の居室(事務所・学校・工場・劇場等)50 m40 m60 m
15階以上の階の居室表の数値−10 m表の数値(加算なし)

採光無窓居室は、採光上有効な開口部が床面積の1/20未満の居室です(避難上支障がないとして大臣が定める基準に適合するものを除く)。実際の適用は、建築確認申請時に指定確認検査機関または特定行政庁の判断を仰いでください。特に用途混在・大空間・アトリウム構造・地下街等の複雑な建物では、避難安全検証法による性能規定的アプローチも活用されます。

二方向避難と直通階段

避難階以外の階が次に該当する場合、施行令121条により2以上の直通階段が必要です(主要構造部が準耐火構造等なら、面積の数値は50→100、100→200、200→400㎡)。

用途・階2以上の直通階段が必要になる条件
劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場客席・集会室等のある階
物品販売業の店舗(床面積の合計1,500㎡超)売場のある階
キャバレー・カフェー・ナイトクラブ・バー等客席・客室等のある階(5階以下で居室100㎡以下の一定の場合を除く)
病院・診療所/児童福祉施設等病室/主たる用途の居室の床面積の合計が50㎡超の階
ホテル・旅館・下宿/共同住宅/寄宿舎宿泊室/居室/寝室の床面積の合計が100㎡超の階
上記以外で6階以上の階居室がある階(居室100㎡以下で避難上有効なバルコニー等がある場合を除く)
上記以外で5階以下の階居室の床面積の合計が100㎡超(避難階の直上階は200㎡超)

避難距離規定の詳しい解説

避難距離は建築基準法施行令120条・121条で用途別に規定されており、建物の防災設計における最も基本的な指標の一つです。 物販店舗・飲食店等は構造にかかわらず30m、病院・ホテル・共同住宅等は準耐火構造等で50m(その他30m)、事務所・学校等は50m(その他40m)が表の数値です。 この距離内に直通階段(避難階または地上へ直行できる階段)を確保することが法的義務で、居室のどこからでも歩行距離が上限以内であることを設計段階で確認する必要があります。

数値を延ばせるのは、主要構造部が準耐火構造等で、居室と避難経路の壁・天井の仕上げを準不燃材料にした場合の+10mだけです(15階以上の居室を除く)。スプリンクラーによる割増しの規定はありません。大空間では全館避難安全検証法などの性能規定も使われます。消防同意(消防法第7条)を得るには、建築設計と消防設備設計が整合した全体設計の提示が必須です。

用途変更(コンバージョン)時は特に注意が必要で、事務所ビル(準耐火構造等で50m)を飲食店・物販店舗(30m)に変更すると避難距離要件が厳格化されます。既存不適格として遡及適用は原則ないものの、用途変更確認申請の対象となる大規模用途変更では現行法適合が求められ、追加の避難階段設置や間仕切り変更が必要になるケースが多発しています。

業界・現場での使い方

建築設計事務所・意匠設計

基本設計段階での避難計画立案。プラン検討時にコアの階段配置、廊下幅、非常口位置を避難距離基準に基づき決定。建築確認申請書類の「避難施設等の状況説明図」で歩行距離を実測して記載。設計変更時の再検討も必須。

消防設備士・防災設備会社

スプリンクラー設置・自動火災報知設備・非常照明・誘導灯の設計。避難距離緩和適用の技術根拠を消防署に説明し、消防同意を得るための計算書作成。消防用設備等試験結果報告書の作成。

大規模改修・リノベーション

既存建物の用途変更・増築時の避難計画再検討。用途変更(オフィス→飲食店等)で基準厳格化、増床で二方向避難義務発生等の判定。既存不適格建物への現行法適合工事の提案。

店舗開業・テナント設計

ショッピングセンター内テナント・路面店舗のレイアウト設計。テナント内から共用階段までの歩行距離が上限内であることを確認。厨房・バックヤード配置で最遠点を再計算。

指定確認検査機関・特定行政庁

建築確認申請の審査業務。避難距離が施行令120条基準内であることを図面上で確認。消防同意判定時の技術根拠検証。用途変更確認申請時の現行法適合審査。

消防署・予防担当

消防同意業務、立入検査での避難施設適合性チェック。建築計画の防火・避難関連協議、店舗テナント変更時の避難計画確認。定期報告制度(法第12条)の対応。

建築設計者向けチェックリスト

  • 建物用途を正確に判定(施行令別表第1参照、複数用途混在時は主用途で判断)
  • 主要構造部の耐火性能(耐火構造/準耐火/その他)を明確化
  • 各室最遠点から直通階段までの実歩行距離を平面図上で実測
  • 直線距離ではなく壁・机・障害物を迂回した「実歩行距離」で判定
  • スプリンクラー・非常照明・排煙設備等の緩和条件を全て確認
  • 15階以上の高層階・地下階では原則30m以内に厳格化を適用
  • 用途変更時は現行法基準の適合性を再検証
  • 2以上の直通階段設置基準(施行令121条)の該当性判定
  • 指定確認検査機関または特定行政庁への事前相談
  • 消防同意(消防法7条)の見通しを消防設備設計と一体で確認

よくある間違い・注意点

  • 直線距離で判定 — 壁・机・障害物を迂回した「実歩行距離」で判定するのが原則。CAD上の壁伝いに実測、または現地でメジャー実測して確認。天井配管・什器で回り込む場合も加算対象です。
  • 用途変更時の再検討忘れ — 事務所ビル(準耐火構造等で50m)を飲食店(30m)に用途変更すると20m厳格化されます。既存不適格として遡及適用は原則ないものの、大規模用途変更では現行法適合が必要。改修計画立案時に必ず再検証。
  • スプリンクラーで歩行距離を延ばせると考える — 施行令120条にスプリンクラーによる割増しはありません。延ばせるのは準耐火構造等+内装準不燃の+10mだけです。
  • 15階以上の減算を忘れる — 15階以上の居室は、内装を準不燃材料にしていなければ表の数値から10mを減じます(施行令120条3項)。
  • 2以上の直通階段の義務判定漏れ — 施行令121条別表の用途・階・面積判定を怠ると、単一階段のまま設計してしまい、建築確認差し戻しに。特にホテル・共同住宅・病院は面積基準が厳しい。
  • 共用廊下・エレベーターホールを歩行距離に含めない — 居室出口から共用廊下・エレベーターホールを通過して階段に至る全経路が対象。共用部の距離も加算する必要があります。
  • 非常用エレベーターへの誤解 — 非常用エレベーターは消防隊進入用であり、一般避難者の避難経路には含めません(火災時は原則使用不可)。避難距離は「階段まで」で判定。
  • 屋外階段の扱い — 屋外階段は直通階段として認められますが、雨天・積雪時の安全性・防犯・見通し等を総合考慮する必要があり、特定行政庁の判断で追加条件が付く場合があります。

関連する規格・法規

  • 建築基準法(昭和25年法律第201号) ― 建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低基準。避難関連は主に第35条・第35条の2で規定。
  • 建築基準法施行令 第120条(直通階段の設置) ― 用途別・主要構造別の直通階段への歩行距離上限を規定。緩和条件も本条で規定。
  • 建築基準法施行令 第121条(2以上の直通階段) ― 二方向避難の設置義務。用途・階・面積による対象判定表。
  • 建築基準法施行令 第122条(避難階段の設置)・第123条(避難階段の構造) ― 避難階段・特別避難階段の構造規定、防火区画、排煙設備。
  • 建築基準法施行令 第126条の2・第126条の3(排煙設備) ― 避難経路の煙害防止のための排煙設備規定。
  • 消防法(昭和23年法律第186号) ― 第7条で消防同意、第17条で消防用設備等(自火報・スプリンクラー・非常照明・誘導灯)を規定。
  • 消防法施行令 第26条 避難口誘導灯・通路誘導灯 ― 誘導灯の設置基準、輝度・視認性の詳細。
  • 消防法施行令 第12条 スプリンクラー設備 ― SP設置義務の対象建物・面積判定。
  • 建築基準法定期報告制度(法第12条) ― 特定建築物・特殊建築物の定期報告義務。避難施設の状態も報告対象。
  • ISO 23932 Fire safety engineering ― 火災安全工学の国際規格。日本でも性能規定として参照可能。

参考文献・公的資料

建築確認申請・消防同意の実務は、必ず所管の指定確認検査機関・特定行政庁・所轄消防署および以下の一次資料を参照してください。

※本ツールは建築基準法施行令120条・121条の一般的基準に基づく参考計算です。 実際の建築確認申請・消防同意・用途変更確認申請では、所管の指定確認検査機関・特定行政庁・所轄消防署の指導および最新の告示・通知・条例に従ってください。 特に15階以上の高層階・地下階・特殊建築物では複雑な適用判定があり、建築士・消防設備士等の有資格者による総合設計と行政協議が必須です。 緩和規定の適用は主要構造・防火区画・排煙設備等の総合的防火性能で成立するものであり、単一設備の設置のみでは認められません。

よくある質問(FAQ)

事務所の避難距離は?

主要構造部が準耐火構造(耐火構造を含む)か不燃材料なら50m、その他は40m。準耐火構造等で居室と避難経路の内装を準不燃材料にすると+10mで60mです。15階以上の居室は内装準不燃でなければ10m減じます。スプリンクラーによる割増しの規定はありません。

避難口が2つ必要な場合の判定基準は?

施行令121条によります。劇場・集会場等の客席のある階、1,500㎡超の物販店舗の売場のある階、病室の床面積が50㎡超の階、宿泊室・共同住宅の居室が100㎡超の階、6階以上で居室のある階(小規模の例外あり)、5階以下で居室の床面積が100㎡超(避難階の直上階は200㎡超)の階など。主要構造部が準耐火構造等なら面積は2倍です。

地下階の扱いは?

施行令120条に地下階だけを30mにする規定はなく、居室の種類と構造で判定します。2以上の直通階段は、居室の床面積の合計が100㎡(準耐火構造等は200㎡)を超える階で必要です(121条1項6号ロ)。地下2階以下に通ずる直通階段は避難階段等にします(122条)。

歩行距離の計測はどの位置から?

各居室内の最遠点から直通階段の入口までの実歩行距離です。壁・机・什器・パーテーション等を迂回した実測距離で判定し、直線距離ではありません。CAD上の壁伝い測定または現地メジャー実測が実務標準です。

スプリンクラーで歩行距離は延ばせる?

延ばせません。施行令120条にスプリンクラーによる割増しの規定はありません。延ばせるのは、主要構造部が準耐火構造等で、居室と避難経路の壁・天井の仕上げを準不燃材料にした場合の+10m(15階以上の居室を除く)です。

非常用エレベーターは避難経路になる?

なりません。非常用エレベーターは消防隊進入用で、火災時は原則一般避難者は使用不可です。避難距離判定では「階段まで」で計算し、エレベーターホールは経由通路として距離加算に含めます。

屋外階段は直通階段になる?

原則直通階段として認められますが、屋外階段の構造・耐候性・防犯性等の条件があり、特定行政庁の判断で追加要件が付く場合があります。雨天・積雪時の安全性、共同住宅の防犯性を配慮した設計が必要です。

用途変更で避難距離基準が変わる場合の対応は?

用途変更確認申請の対象となる規模(床面積200㎡超)では現行法適合が求められ、既存不適格として遡及適用は原則ありません。事務所→飲食店(準耐火構造等で50m→30m)等の厳格化変更では、追加階段設置や間仕切り変更が必要になるケースあり。

15階以上のオフィスビルの避難距離は?

15階以上の居室は、内装を準不燃材料にしていなければ表の数値から10mを減じます(施行令120条第3項)。準耐火構造等の事務所なら40m、内装準不燃なら50mです。高層階からの避難時間が長くなるため、階段容量・避難時間シミュレーション、特別避難階段設置(施行令123条)等の高度な避難計画が必要です。

避難安全検証法とは?

従来の仕様規定に代わる性能規定で、避難時間シミュレーションで避難完了時間を証明すれば、施行令120・121条の距離規定を超えても適合とみなす方法です。大規模空間・アトリウム・オープンプラン等で活用されています。日本建築防災協会の認定計算プログラム利用が実務標準。

共用廊下・EVホールも歩行距離に含む?

含みます。居室出口から共用廊下・エレベーターホールを通過して直通階段の入口に至る全経路が対象。共用部を長い経路で階段に至る場合、共用部分の距離も歩行距離として加算します。

複合用途建物での判定は?

施行令120条は居室の種類ごとに判定します。例えば準耐火構造等の複合ビルで、ホテルの客室は(2)項で50m、事務所は(3)項で50m、飲食店は(1)項で30m。なお120条は避難階以外の階に適用されます。