計算ツールズ
シャックルJIS B 2801使用荷重玉掛け吊り具

シャックルの使用荷重計算(JIS B 2801)

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

シャックルの形式・等級・呼びと、吊り荷の質量・掛け本数・吊り角度から、シャックル1個にかかる張力を求め、JIS B 2801 の使用荷重と比べて判定します。必要な最小の呼び、プルーフロードと静的強さも表示します。

最終更新:2026-10-16/監修:計算ツールズ編集部

シャックルの使用荷重計算(JIS B 2801)ツール

シャックル1個にかかる張力

シャックルの使用荷重は、そのシャックルに直接かかる力と比べます。どこに使うかで、かかる力が変わります。

各脚の端:張力 = 荷の重さ ÷ 掛け本数 ÷ cos(吊り角度 ÷ 2)
フック側で全脚をまとめる位置・1本吊り:張力 = 荷の重さ

吊り角度は2本のワイヤの間の角度です。4本吊りは荷が均等にかからないことが多いので、このツールは2本で受けるとして計算します。

判定

使用率 = 張力 ÷ 使用荷重(JIS B 2801 表2)

計算例

2 t の荷を2本吊り・吊り角度60度で吊ると、1本の張力は 2 ÷ 2 ÷ cos30° = 1.155 t です。各脚の端に SC の等級M を使うなら、呼び12(1 t)は115.5%で不足、呼び14(1.25 t)は 92.4% で使えます。フック側で2本をまとめるシャックルには2 t がかかるので、SC なら呼び18(2 t)が必要です。

シャックルの使用荷重(JIS B 2801 表2・単位 t)

呼びBC・SC(M)BD(M)SD(M)BB・SB(M)BB・SB(S)BB・SB(T)BB・SB(V)
60.20.15—————
80.3150.315—————
100.60.50.4—0.811.25
1210.70.63—1.622.5
141.250.90.8—22.53.15
161.61.21—2.53.154
1821.3——3.1545
202.51.81.62.5456.3
223.15—23.1556.3—
243.6—2.53.66.3—8
264—3.154—810
284.8—3.54.881012.5
305—45———
326.3——6.31012.516
368——812.51620
4010—710162025
44———12.5202531.5
50———162531.540
60———2031.54050
70———31.5506380
80———406380100
90———5080100125

※抜粋。計算機は呼び6〜90の全33行・全形式を持っています。BA・SA(平頭ピン)は呼び34以上、BB・SB の等級Mは呼び20以上。等級S・T・V は BB・SB だけ。

形式の記号(JIS B 2801 表1)

記号本体ボルト・ピン止め方
BA・SAバウ・ストレート平頭ピン丸せん(割りピン使用)
BB・SBバウ・ストレート六角ボルトナット(割りピン使用)
BC・SCバウ・ストレートアイボルトねじ込み
BD・SDバウ・ストレートアイボルト(D形)ねじ込み

2本吊りの1本あたりの張力

吊り角度荷の重さに対する張力2 t の荷なら
0度50.0%1.000 t
30度51.8%1.035 t
60度57.7%1.155 t
90度70.7%1.414 t
120度100.0%2.000 t

※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。表の値は JIS 規格票の値です。実際に使ってよい荷重は、製品に刻印・表示された使用荷重と、メーカーの取扱説明書が優先します。古い製品やJIS以外の製品は値が違うことがあります。玉掛けの作業は、玉掛け技能講習(つり上げ荷重1t以上のクレーン等)または特別教育を修了した人が行ってください。

シャックルの使用荷重計算(JIS B 2801)の詳しい解説

シャックルは、ワイヤロープやスリングと吊り荷、フックをつなぐ U 字形の金具です。玉掛けで最も多く使われる金具の一つで、JIS B 2801 が形式・等級・呼びごとの使用荷重を定めています。同じ呼びでも、形式と等級で使用荷重が最大で3倍以上違うのが、このツールで最初に確かめてほしい点です。

形式は、本体の形とボルト・ピンの組合せで決まります。本体の形はバウ(B・丸く膨らんだ形)とストレート(S・まっすぐな U 字)の2種類、ボルト・ピンは平頭ピン(A)・六角ボルトとナット(B)・アイボルトのねじ込み(C・D)の4種類です。現場でよく見る「SC シャックル」は、ストレートの本体にアイボルトをねじ込む形式です。D 形は C 形より使用荷重が低く定められていて、呼び16で比べると SC が1.6 t、SD は1 t です。

等級は M・S・T・V の4つで、M が一般的な等級です。S・T・V は1996年の改正で加わった高強度の等級で、六角ボルトとナットで止める BB・SB だけに定められています。呼び20の BB で比べると、等級M が2.5 t、S が4 t、T が5 t、V が6.3 t です。等級の違いは本体の刻印で見分けます。

使用荷重と比べるのは、荷の重さではなく、そのシャックルに実際にかかる張力です。2本吊りで各脚の端に使うシャックルには、1本のワイヤの張力がかかります。吊り角度が60度なら荷の重さの57.7%、90度なら70.7%、120度なら100%です。一方、2本のワイヤをフック側でまとめるシャックルには、荷の全重量がかかります。同じ吊り方の中でも、使う位置によって必要な呼びが変わるのはこのためです。2 t の荷を60度で吊る例では、各脚の端は SC の呼び14で足りますが、まとめる位置には呼び18が要ります。

JIS B 2801 は、使用荷重の2倍のプルーフロードを加えても異状や永久変形がないこと、使用荷重の5倍以上の引張荷重に耐えることを求めています。クレーン等安全規則も、玉掛用具であるフックとシャックルの安全係数(切断荷重 ÷ かかる荷重の最大値)を5以上と定めています。5倍の余裕は、衝撃・偏荷重・摩耗のための余裕で、使用荷重を超えて使ってよい余裕ではありません。荷を急に巻き上げたり、荷が揺れて止まったりすると、瞬間的に静止時の何倍もの力がかかります。

使用荷重は、本体の中心線の方向に引いたときの値です。シャックルの口の中でワイヤが偏ってピンの端に寄ったり、本体を横から引いたりすると、使える荷重は下がります。複数のワイヤをバウシャックルの丸みにまとめて掛けるときの扱いはメーカーごとに定めがあるので、製品の取扱説明書に従ってください。ねじ込み式(C・D形)のアイボルトは、最後まで締め込んでから使い、吊り作業中にピンが回って緩まない向きにワイヤを掛けます。

古い製品にも注意が必要です。JIS B 2801 は1996年に改正され、等級M の一部の呼びで使用荷重が下がりました。たとえば呼び8の BC・SC は1977年版の0.35 t から0.315 t に、呼び14の BD は1977年版より低い値になっています。本体に刻印された使用荷重が、実際に使ってよい荷重です。規格の表とずれていたら、刻印を優先し、メーカーに確認してください。

単位も確かめておきます。JIS B 2801 の使用荷重は t(トン)で書かれています。ここでの1 t は質量1,000 kg の重さで、力に直すと約9.81 kN です。ワイヤロープやスリングの張力を kN で計算したときは、9.80665で割って t に直してから比べます。kN の値を t の表とそのまま比べると、約10倍過大に「使える」と判断してしまいます。このツールは t で入れて t で比べ、kN を併記しています。

呼びの選び方の手順は次のとおりです。まず吊り荷の質量と、掛け本数・吊り角度を決めます。次に、シャックルを使う位置ごとに、かかる張力を求めます。各脚の端なら1本の張力、フック側でまとめる位置なら全重量です。そのうえで、使う形式と等級の列から、張力以上の使用荷重を持つ最小の呼びを選びます。手持ちのシャックルを使うときは、本体の刻印(使用荷重・等級・呼び)を読み、刻印の値で同じ比較をします。刻印が読めないシャックルは使いません。ピンやボルトを別の製品のものと入れ替えたシャックルも、規格の値の前提が崩れるので使いません。ピンを紛失したときは、同じメーカー・同じ呼びの純正品を使います。

最後に点検です。クレーン等安全規則は、変形しているものやき裂があるフック・シャックル等の金具を玉掛用具として使うことを禁じ、その日の作業を始める前の点検を求めています。本体の口が開いている、ピンが曲がっている、ねじ山がつぶれているシャックルは使いません。

業界・現場での使い方

玉掛け作業の計画

吊り荷と吊り角度から、各脚とフック側のシャックルの呼びを決めます。

建設現場の揚重

鉄骨やプレキャスト部材の吊り点に使うシャックルが足りるかを確かめます。

設備の搬入・据付け

重量物の吊り込みで、手持ちのシャックルの刻印と規格の値を照らし合わせます。

船舶・港湾

ワイヤロープの端末の結合に使うシャックルの等級を選びます。

安全教育

形式・等級・使う位置で使用荷重とかかる力が変わることを、数値で示します。

よくある間違い・注意点

  • 荷の重さと使用荷重を比べてしまう — 比べるのはそのシャックルにかかる張力です。各脚の端は角度で、まとめる位置は全重量で決まります。
  • 形式の違いを無視する — 同じ呼びでも D 形は C 形より使用荷重が低く、等級S・T・V は BB・SB だけです。
  • フック側のシャックルを脚と同じ呼びにする — まとめる位置には全重量がかかります。2本吊りなら脚より太い呼びが要ります。
  • 安全係数5を「5倍まで使える」と読む — 衝撃や偏荷重のための余裕です。使用荷重を超えて使ってはいけません。
  • 古い刻印を規格の表で読み替える — 1977年版と1996年版で値が違う呼びがあります。刻印を優先します。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

SC シャックルの呼び16の使用荷重は?

JIS B 2801 の等級Mで1.6 t(約15.7 kN)です。

SC と SD はどう違いますか?

どちらもストレート本体にアイボルトをねじ込む形式ですが、D 形は使用荷重が低く定められています。呼び16で SC 1.6 t、SD 1 t です。

等級S・T・V とは何ですか?

1996年の改正で加わった高強度の等級で、六角ボルトとナットで止める BB・SB だけにあります。

シャックルの安全係数は?

クレーン等安全規則で5以上です。JIS も使用荷重の5倍以上の引張荷重に耐えることを求めています。

2本吊りでフック側に使うシャックルには何t かかりますか?

荷の全重量がかかります。脚の端より太い呼びが必要です。

吊り角度60度の2本吊りで、1本にかかる力は?

荷の重さの約57.7%です。2 t なら約1.155 t です。

プルーフロードとは何ですか?

製品の検査で加える荷重で、JIS では使用荷重の2倍です。この荷重で異状や永久変形があってはいけません。

刻印と規格の表の値が違います

1977年版の値が刻印された古い製品があります。刻印の値を優先し、メーカーに確認してください。

シャックルを横向きに引いてもいいですか?

使用荷重は本体の中心線の方向の値です。横や斜めの使い方はメーカーの資料に従います。