障害厚生年金 計算ツール|1-3級別・標準報酬月額別・加入期間別の支給額と実務ガイド
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
障害厚生年金を、等級(1級・2級・3級)・平均標準報酬月額・厚生年金加入月数から瞬時に計算。300月みなし規定による若年発症時の保護、配偶者加給年金(65歳未満)、障害基礎年金との2階建て構造、労災年金・傷病手当金との併給調整、事後重症請求・遡及請求などの手続きまで、日本年金機構の最新公式基準に沿って解説。厚生年金加入中に病気やケガで働けなくなった方の生活保障の要となる制度です。
障害厚生年金 計算機
障害厚生年金とは
障害厚生年金は、厚生年金加入中に初診日がある病気・けがにより一定の障害状態になったときに、障害基礎年金に上乗せして支給される公的年金。会社員・公務員のセーフティネットとして中核的な役割を担います。障害基礎年金が1級・2級のみ対象なのに対し、障害厚生年金は3級も対象で、より軽度の障害でも収入補償が受けられるのが特徴。
障害基礎年金との関係(2階建て構造)
| 等級 | 1階:障害基礎年金(国民年金) | 2階:障害厚生年金(厚生年金) |
|---|---|---|
| 1級 | 約105.9万円(子加算別途) | 報酬比例額 × 1.25 + 配偶者加給 |
| 2級 | 約84.7万円(子加算別途) | 報酬比例額 + 配偶者加給 |
| 3級 | —(該当なし) | 報酬比例額(最低保証63.6万円) |
| 障害手当金(一時金) | — | 報酬比例額×2(最低127.1万円の一時金) |
会社員が2級以上に該当すれば「基礎年金+厚生年金+配偶者加給」の合算で受給、3級なら厚生年金のみが受給できます。初診日が厚生年金加入中でない場合(学生・退職後・専業主婦)は、国民年金の障害基礎年金のみが対象になります。
計算式と300月みなし規定
報酬比例部分の計算式
報酬比例額 = (平均標準報酬月額 × 5.481/1000 × 加入月数) + (平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数)
2003年3月以前は「平均標準報酬月額」ベース(乗率7.125/1000)、2003年4月以降は「平均標準報酬額」(賞与込み)ベース(乗率5.481/1000)で計算。両期間を分けて計算し合算するのが正確な算定。ツールでは簡略化のため2003年4月以降の乗率5.481/1000で一律計算しています。
300月みなし規定(若年発症の保護)
加入月数が300月(25年)未満の場合 → 300月とみなして計算
若くして障害を負った方(例:入社3年目・24歳)でも、300月加入したものと擬制して年金額を算出する保護規定。これにより、加入期間の短さで年金額が極端に低くなることを防ぎます。例:加入36月・標報30万円なら、実際の加入で計算すると年5.9万円ですが、300月みなしで年49.3万円が支給されます。
1級の1.25倍加算と配偶者加給年金
1級:報酬比例額 × 1.25
配偶者加給年金(1級・2級のみ):年243,800円(2026年度)
1級は日常生活に著しい制限がある重度障害のため25%の加算あり。65歳未満の配偶者がいる場合は、生計維持関係にあるという条件で、年約24.4万円の加給年金が上乗せされます。3級には配偶者加給はありません。
3級の最低保証額
3級の最低保証:年635,500円(2026年度)
3級の報酬比例額が63.6万円未満でも、この最低保証額が支給されます。加入期間が短く標報も低い方でも、月5.3万円の最低収入保障となる仕組み。
計算例
- 2級・標報30万円・加入15年(180月)・配偶者なし → 300月みなしで報酬比例額 = 30万×5.481/1000×300 = 49.3万円+障害基礎年金84.7万円 = 年134.0万円
- 1級・標報40万円・加入20年(240月)・配偶者65歳未満 → 300月みなしで報酬比例額 = 40万×5.481/1000×300 = 65.8万円×1.25 = 82.2万円+加給24.4万+障害基礎年金105.9万円 = 年212.5万円
- 3級・標報30万円・加入15年(180月) → 300月みなしで49.3万円 → 最低保証63.6万円を下回るので年63.6万円(基礎年金なし)
1級・2級・3級の判定基準
障害等級は、日本年金機構の「障害認定基準」(国民年金・厚生年金保険)および厚生労働省「障害等級表」に基づき、日常生活の制限度合いで判定されます。
1級(もっとも重い)
日常生活の身のまわりのことがほとんどできず、他人の援助が常時必要な状態。
2級
日常生活が著しい制限を受け、他人の援助を必要とすることがしばしばある状態。
3級(障害厚生年金のみ)
労働に制限を受けるか、労働に制限を加える必要がある状態。労働能力の低下が判定基準。日常生活は概ね自立できるが就労に支障がある状態。
障害手当金(一時金)
3級より軽度で「傷病が治った」(症状固定した)状態に該当する場合、報酬比例額×2の一時金が支給されます(最低保証127.1万円)。年金でなく一時金である点に注意。
受給資格と初診日要件
受給の3要件
- 初診日要件 — 初診日(その傷病で初めて医師の診療を受けた日)に厚生年金の被保険者であること
- 障害認定日要件 — 障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過日、またはそれまでに症状固定した日)に一定の障害状態にあること
- 保険料納付要件 — 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の加入期間の2/3以上納付済または直近1年の未納なし
初診日の重要性
「初診日」がすべての起点となります。初診日に厚生年金加入していれば障害厚生年金の対象、加入していなければ障害基礎年金(1級・2級のみ)のみが対象。退職後に症状悪化した場合でも、初診日が退職前なら障害厚生年金の対象。逆に在職中に発症したつもりでも、初診日が過去の受診歴(会社員以前の学生時代等)となれば厚生年金の対象外になるケースがあります。
事後重症請求と遡及請求
事後重症請求:障害認定日には該当しなかったが、その後悪化して該当した場合、65歳到達日の前日までに請求すれば認定される。遡及請求:障害認定日に該当していたが請求が遅れた場合、5年前まで遡って年金を受給できる(時効5年)。
請求手続きの流れ
1. 年金事務所で相談・請求書入手
最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターで、障害厚生年金の裁定請求書一式を入手。加入記録の確認と受給資格の初回チェック。
2. 主治医に診断書を依頼
日本年金機構所定の診断書様式を主治医に記入依頼(診断書代3,000〜1万円)。傷病の種類に応じて8つの様式(精神・呼吸器・循環器・肢体・眼・聴覚等)があり、正確な選択が重要。
3. 病歴・就労状況等申立書の作成
本人が記入する重要書類。発症から現在までの経過、日常生活の制限、就労状況を詳細に。書き方一つで等級判定が変わることも。社労士のサポートが有効。
4. 受診状況等証明書の入手
初診の医療機関から「受診状況等証明書」を取得(初診日の証明)。初診医療機関がカルテ廃棄済み・閉院の場合は「第三者証明」で代替。
5. 年金事務所に書類提出
診断書、申立書、証明書、戸籍謄本、住民票、口座情報、本人確認書類等を年金事務所に提出。書類チェックで不備があれば追加依頼。
6. 審査(3〜6ヶ月)
日本年金機構障害年金センターで審査。等級判定と初診日認定が行われる。認定されれば年金証書が送付され、その後に初回の振込があります。
不服申立て(審査請求・再審査請求)
不支給決定・等級不服の場合、決定通知から3ヶ月以内に社会保険審査官への審査請求、さらに不服なら2ヶ月以内に社会保険審査会への再審査請求が可能。主張の組み立てが結果を左右するため、障害年金に詳しい社労士への相談も選択肢です。
他制度との併給調整
労災年金との併給調整
労災の障害補償年金・傷病補償年金と併給する場合、労災側が減額調整(0.73〜0.88倍)される。「両方満額」は不可。ただし、原因傷病が異なれば併給可能。
傷病手当金との調整
健康保険の傷病手当金(給料の2/3、最長1年6ヶ月)と障害厚生年金は併給不可。障害年金の日額を上回る部分のみ傷病手当金が支給される調整あり。
老齢年金・遺族年金との選択
65歳到達後は「障害年金vs老齢年金vs遺族年金」から1つを選択。障害基礎年金+老齢厚生年金の併給パターンが有利になるケースも(併給選択肢は複雑、要試算)。
生活保護との関係
生活保護受給中でも障害年金は受給可能だが、年金額分が生活保護費から減額される(総額は同じ)。ただし障害者加算があるため、生保単独より年金+生保のほうが手取り総額はやや増える。
税制優遇
障害年金は所得税・住民税非課税。年金収入としてカウントされず、確定申告不要。他の給与所得等がある場合も、障害年金分は所得に含めません。医療費控除・扶養控除の判定でも障害年金は所得から除外されます。
受給後の生活設計と資産形成
年金だけでの生活設計
2級・標報30万・加入15年の場合、障害基礎+厚生で年約134.0万円(月約11.2万円)。単身でも年金だけで生活費を賄うのは難しいことが多く、就労収入・障害者福祉制度・生活保護との組み合わせが必要。都市部と地方で必要額に大差がある。
就労収入との組み合わせ
障害年金は所得税・住民税非課税のため、就労収入との合算でも税制は不利にならない。障害者雇用枠・時短勤務・在宅ワーク・自営業など多様な働き方で「年金+勤労所得」を組み立てる。障害者手帳保持者向けの就労移行支援も活用可。
障害者控除の税制優遇
障害者控除は、障害年金の等級ではなく障害者手帳などで判定します(所得税法施行令第10条)。特別障害者(身体障害者手帳1・2級、精神障害者保健福祉手帳1級など)は所得税40万円・住民税30万円、一般の障害者は所得税27万円・住民税26万円。同居の特別障害者を扶養する家族は所得税75万円・住民税53万円です。
iDeCoでの積立継続
障害年金受給中でも就労収入があればiDeCoは継続可能。所得控除で節税しつつ将来資産形成。iDeCo加入者が所定の障害状態になった場合は障害給付金を受け取れ、障害給付金は非課税です。
特定疾患医療費助成
難病(指定難病)の場合、都道府県の特定医療費助成制度で自己負担が月2,500〜3万円に軽減。障害年金と併用可能。市区町村の福祉窓口で申請。
NHK受信料・公共料金の減免
障害者手帳などを持つ人がいる世帯で世帯全員が市町村民税非課税なら、NHK受信料が全額免除(条件により半額免除もあり)。JR・私鉄・バスの障害者割引、携帯電話の障害者向けプラン、水道・下水道料金の一部減免など多様な優遇制度。
よくある間違い・注意点
- 初診日と発症日の混同 — 初診日は「初めて医師の診療を受けた日」であり、症状に気づいた日(発症日)とは異なる。学生時代に同じ傷病で受診歴があると、その後の会社員時代の悪化は厚生年金対象外になることも。
- 3級を軽視して申請しない — 3級でも年63.6万円(最低保証)は支給される。障害手当金(一時金127.1万円以上)でも該当する可能性があり、社労士相談が重要。
- 診断書の記載を放置 — 主治医の診断書は等級判定の最重要書類。提出前に記載内容を確認する。
- 300月みなし規定を知らない — 加入期間が短いから諦める人が多いが、300月みなしで最低額は保証される。若い方こそ請求検討を。
- 遡及請求の時効5年 — 過去の障害認定日から請求できるが、時効は5年。放置期間が5年超なら遡及分は受給できない。早期相談を。
- 労災優先の誤解 — 労災と障害厚生年金は併給可能だが労災側で調整あり。両方を申請することが権利保護上重要。
- 働きながらは受給不可の誤解 — 就労は原則問題なし。ただし就労状況が診断書・申立書に反映されるため、フルタイムでフル稼働だと等級認定が困難になる場合あり。
- 65歳で自動的に打ち切りの誤解 — 65歳到達後も継続して受給可能。ただし老齢年金との選択が必要。有利な組み合わせは個別ケースにより異なる。
参考文献・公的資料
- 日本年金機構「障害年金」ページ ― 障害基礎年金・障害厚生年金の制度概要、請求方法、必要書類の公式案内。
- 日本年金機構「障害認定基準」 ― 疾病別・症状別の等級判定基準の公式文書。1級〜3級・障害手当金の詳細規定。
- 厚生労働省「障害年金制度について」 ― 制度の趣旨・改正情報。
- 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」 ― PDF版の詳細障害認定基準。医師・社労士も参照する公式基準書。
- 厚生労働省「障害者手帳」 ― 身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳の区分(障害年金の等級とは別体系)。
- 厚生労働省「労災保険」 ― 労災年金との併給調整の制度趣旨。
- 厚生労働省 社会保障審議会 年金部会 ― 年金制度改正の議論資料。
- 社会保険審査官・社会保険審査会 ― 不支給・等級不服時の審査請求・再審査請求の窓口。
- 全国社会保険労務士会連合会 ― 社労士検索。障害年金専門社労士の紹介制度あり。
- 東京都 障害福祉サービス ― 自治体の障害者福祉制度(年金と併給可能)。
よくある質問(FAQ)
障害基礎年金とどう違う?
障害基礎年金は国民年金加入者全員が対象で1級・2級のみ。障害厚生年金は厚生年金加入者の上乗せで、3級も対象、配偶者加給もある。会社員なら基礎+厚生の2階建てで、より手厚い保障が受けられる。
退職後の発症は対象?
初診日が厚生年金加入中であれば対象。退職後初診は障害基礎年金のみが対象で、厚生年金は非対象。ただし在職中に受診歴があり退職後に症状悪化した場合、在職中の初診日から算定できるケースも。
労災と両方もらえる?
併給可能だが、労災年金側が0.73〜0.88倍に減額調整される。「両方満額」は不可。ただし障害厚生年金は原則満額支給。原因傷病が異なれば併給無調整のケースも。
働きながら受給できる?
就労は原則問題なし。ただし、就労状況・給料水準が診断書・申立書に反映されるため、フルタイムでフル稼働の場合は等級認定が難しくなる可能性あり。傷病手当金との併給は不可。
治癒したら停止?
症状軽快で等級不該当となれば支給停止。1〜5年ごとの更新審査(診断書再提出)で継続可否を判定。永久認定(更新なし)となるケースは重度身体障害等の一部のみ。
受給途中の症状悪化は?
額改定請求が可能。額改定請求書を年金事務所に提出し、より上位の等級に認定されれば支給額アップ。原則として受給権を取得した日または前回の診査日から1年を経過した後に請求できます(障害の程度が明らかに増進した場合を除く)。
初診日がわからない場合は?
初診の医療機関に「受診状況等証明書」を依頼。初診医療機関がカルテ廃棄済み・閉院の場合は「第三者証明」(家族・友人・同僚等が知る初診状況を証明)で代替可能。障害年金専門社労士に相談すると認定率が上がる。
3級は基礎年金なしで少ない?
3級の最低保証額は年63.6万円(月5.3万円)。単独では生活困難ですが、就労収入と組み合わせる想定の制度設計。障害者控除は年金の等級ではなく障害者手帳などで判定されるため、別に確認してください。
子どもの加算はある?
障害基礎年金にのみ「子の加算」あり(令和8年度:1・2人目各243,800円、3人目以降各81,300円/年)。障害厚生年金には子の加算はなく、代わりに配偶者加給年金が上乗せ。基礎+厚生の合算で家族全体の保障が確保される仕組み。
遡って請求できる?
過去の障害認定日に該当していた場合、時効5年以内なら遡及請求可能。最大で5年分の未払い年金(500万円超になることも)を一括受給できるケースあり。ただし主治医の当時のカルテ・診断書が必須。
社労士に頼む費用は?
報酬体系(着手金・成功報酬の算定方法)は事務所ごとに異なります。契約前に、年金額や遡及分に対して何をいくら支払うのかを書面で確認してください。