デシベルの合成計算
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
複数の騒音源のレベルを入れると、エネルギーで合成した合計レベルを計算します。デシベルは対数なので80と80を足しても160ではなく83.0です。差から求める加算値の早見表、台数を増やしたときの増え方、1つ止めたときの効果も同時に出します。
デシベルの合成計算ツール
デシベルは足し算できない
騒音レベルは音のエネルギーを対数で表したものです。そのため数値をそのまま足すことはできません。いったんエネルギーに戻して合計し、また対数に直します。
L合計 = 10 × log₁₀(10^(L₁/10) + 10^(L₂/10) + …)
同じ80 dB の音源を2つ並べると、エネルギーは2倍になりますが、レベルは 83.0 dB にしかなりません。80+80=160 ではありません。3つなら 84.8 dB、4つでも 86.0 dB です。台数が2倍になるごとに約3.0 dB ずつ増えるという関係になります。
差から求める加算値
現場では、2つの音源の差を見て早見表から加算値を読む方法がよく使われます。
加算値 = 10 × log₁₀(1 + 10^(−差/10))
差が0なら+3.01 dB、差が5なら+1.19 dB、差が10なら+0.41 dB です。差が10 dB を超えると、小さいほうはほとんど効きません。これが騒音対策でいちばん大事な性質です。80 dB と70 dB の機械があるとき、70 dB のほうをどれだけ静かにしても合計は80.4 dB から80.0 dB にしかなりません。手を付けるべきは大きいほうです。
2つの音源の差と加算値
| 2つの差 | 大きいほうに足す値 | 例 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 0 dB | +3.01 dB | 80+80=83.0 | エネルギーがちょうど2倍 |
| 1 dB | +2.54 dB | 80+79=82.5 | — |
| 2 dB | +2.12 dB | 80+78=82.1 | — |
| 3 dB | +1.76 dB | 80+77=81.8 | — |
| 4 dB | +1.46 dB | 80+76=81.5 | — |
| 5 dB | +1.19 dB | 80+75=81.2 | — |
| 6 dB | +0.97 dB | 80+74=81.0 | 約1 dB |
| 8 dB | +0.64 dB | 80+72=80.6 | — |
| 10 dB | +0.41 dB | 80+70=80.4 | ほぼ無視できる |
| 15 dB | +0.14 dB | 80+65=80.1 | 完全に無視できる |
同じ音源を並べたとき
| 台数 | 増える量 | 80 dB の機械なら |
|---|---|---|
| 1台 | ±0 dB | 80.0 dB |
| 2台 | +3.0 dB | 83.0 dB |
| 3台 | +4.8 dB | 84.8 dB |
| 4台 | +6.0 dB | 86.0 dB |
| 5台 | +7.0 dB | 87.0 dB |
| 10台 | +10.0 dB | 90.0 dB |
| 20台 | +13.0 dB | 93.0 dB |
| 100台 | +20.0 dB | 100.0 dB |
身のまわりの騒音レベルの目安
| レベル | 例 | 感じ方 |
|---|---|---|
| 20 dB | 木の葉のふれあう音 | ほとんど聞こえない |
| 40 dB | 静かな住宅地の昼 | 静か |
| 50 dB | エアコンの室外機(近く) | 気にならない |
| 60 dB | 普通の会話 | やや大きい |
| 70 dB | 掃除機・騒々しい事務所 | うるさい |
| 80 dB | 地下鉄の車内 | かなりうるさい |
| 90 dB | 大型車のそば | 聴力への影響が心配 |
| 100 dB | 電車のガード下 | 長時間は危険 |
| 120 dB | ジェット機のエンジン近く | 耳に痛み |
※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。本ツールは理論式による参考計算です。実際の騒音は反射・回折・気象・地表面の影響を受けます。規制の適否の判断や届出には、JIS に沿った実測と専門家の確認が必要です。
デシベルの合成計算の詳しい解説
騒音の計算でまず覚えるべきことは、デシベルが対数だということです。音の強さそのものは、人が感じ取れる範囲だけでも100万倍以上の幅があります。この広い範囲をそのまま数字にすると桁が多すぎて扱えないので、対数に圧縮したのがデシベルです。圧縮した結果として、20 dB の差はエネルギーで100倍、40 dB の差は1万倍という関係になります。数字の見た目の差より、実際の差はずっと大きいのです。
この性質から、合成には独特の癖が生まれます。同じ大きさの音を2つ重ねると、エネルギーは正確に2倍になりますが、デシベルでは3 dB しか増えません。10台並べても10 dB、100台でようやく20 dB です。工場に機械を増やしたとき、台数を2倍にしたのに騒音がほとんど変わらないように感じるのは、このためです。逆に言えば、台数を減らしても騒音はなかなか下がりません。10台を5台に減らしても3 dB しか下がらず、人の耳では「少し静かになった」程度にしか感じられません。
もっと重要なのは差が10 dB を超えると小さいほうは無視できるという性質です。80 dB の機械と70 dB の機械が並んでいるとき、合計は80.4 dB です。70 dB の機械を完全に止めても、80.0 dB にしかなりません。0.4 dB の改善のために対策費を使うことになります。騒音対策で最初にやるべきなのは、どの音源が支配的かを見極めることです。いちばん大きい音源を下げない限り、全体は下がりません。このツールが「支配している音源」を表示しているのは、そこを外さないためです。
そして対策の効果にも、同じ論理が効いてきます。仮に80 dB の機械を5 dB 下げて75 dB にできたとします。70 dB の機械が残っていれば、合計は80.4 dB から76.2 dB になり、4.2 dB の改善です。さらに80 dB を10 dB 下げて70 dB にしても、合計は73.0 dB で止まります。もう一方の70 dB が効いてくるからです。対策を進めると、次に大きい音源が新しい壁になります。これを繰り返すのが騒音対策の実務で、一気に静かにできないのはこのためです。
人の感じ方との対応も知っておくと判断が楽になります。一般に、3 dB の変化はかろうじて気づく程度、5 dB でわかる、10 dB で「半分の音量になった」と感じると言われます。10 dB の低減はエネルギーで10分の1にすることを意味し、実現はかなり大変です。対策の目標を立てるとき、「半分静かにしたい」という要望は「10 dB 下げたい」という意味になり、それが技術的にどれだけ大きな話かが見えてきます。
測定の場面でも合成の考え方が要ります。対象の機械を測るとき、周囲の暗騒音が混ざります。測定値が対象と暗騒音の合成になるので、暗騒音を差し引く必要があります。このとき、測定値と暗騒音の差が10 dB 以上あれば補正は不要(誤差0.4 dB 以下)、3 dB 未満なら測定値が信用できないので測り直し、という判断をします。これも加算値の表の裏返しです。表の読み方を覚えておくと、現場で暗算できます。
業界・現場での使い方
工場の騒音対策
複数の機械のレベルを入れて、どれが支配的かを特定し、対策の優先順位を決めます。
設備の増設計画
同じ機械を何台まで増やすと基準を超えるかを、台数と合計レベルの関係から確かめます。
測定時の暗騒音の判断
測定値と暗騒音の差が10 dB 以上なら補正不要、3 dB 未満なら測り直しという判断に使います。
近隣への説明
1台止めたときの効果を数値で示し、対策の効果を説明する材料にします。
空調設備の選定
室外機を複数台置くときの合計レベルを、設置前に見積もります。
よくある間違い・注意点
- デシベルをそのまま足す — 80+80は160ではなく83.0です。対数なのでエネルギーに戻してから足します。
- 小さい音源から対策する — 差が10 dB あると小さいほうはほぼ効きません。大きいほうから手を付けます。
- 台数を減らせば静かになると思う — 10台を5台にしても3 dB しか下がりません。人の耳ではほとんど変わりません。
- 暗騒音を差し引かない — 測定値は対象と暗騒音の合成です。差が3 dB 未満なら測定値は使えません。
- 3 dB の改善を過小評価する — 3 dB はエネルギーで半分です。数字は小さく見えますが実現は簡単ではありません。
関連する規格・公的資料
- 環境省 騒音・振動対策 — 騒音に係る環境基準と規制の所管
- 環境省 騒音に係る環境基準について — 地域の類型ごとの基準値の告示
- e-Gov 法令検索(騒音規制法) — 特定工場・特定建設作業の規制の条文
- 厚生労働省 — 騒音障害防止のためのガイドライン
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS Z 8731 環境騒音の表示・測定方法
- 日本規格協会(JSA) — JIS 規格票の発行
- 日本音響学会 — 音響の学術的な基準と用語
- 日本騒音制御工学会 — 騒音制御の技術資料
- 国土交通省 — 道路交通騒音・建設作業騒音の指針
- 独立行政法人 労働者健康安全機構 — 職場の騒音と聴力保護
- 国立環境研究所 — 環境騒音の調査研究
- 日本建築学会 — 建築物の遮音性能基準
- 国際標準化機構(ISO) — ISO 1996 環境騒音の記述・測定
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
80 dB と80 dB を足すと何 dB ですか?
83.0 dB です。160にはなりません。デシベルは対数なので、エネルギーに戻して足してから対数に戻します。
同じ機械を2倍に増やすとどうなりますか?
約3.0 dB 増えます。4倍で6.0 dB、10倍で10.0 dB です。
差が何 dB あれば小さいほうを無視できますか?
10 dB です。そのとき合計は大きいほうに0.4 dB 足すだけになります。15 dB なら0.14 dB です。
暗騒音はどう扱いますか?
測定値と暗騒音の差が10 dB 以上なら補正不要、3 dB 未満なら測り直しが原則です。
3 dB 下げるのは簡単ですか?
簡単ではありません。3 dB はエネルギーで半分にするという意味です。
人は何 dB の変化に気づきますか?
一般に3 dB でかろうじて、5 dB ではっきり、10 dB で「半分の音量」と感じるとされます。
一番大きい音源だけ対策すればよいですか?
まずはそこからです。ただし下げていくと次に大きい音源が壁になります。このツールで効果を確かめてください。
音源が10個あっても計算できますか?
できます。1行に1つずつ入力してください。個数の制限はありません。
マイナスのレベルも入れられますか?
入れられます。非常に静かな環境では負の値になることがあります。
A特性とC特性で計算は変わりますか?
合成の計算方法は同じです。ただし同じ特性どうしで合成してください。混ぜると意味のない数値になります。