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緩和曲線カント逓減線形設計鉄道

緩和曲線長の計算

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

設定カント・カント不足・速度から、カント逓減勾配・カント時間変化率・カント不足時間変化率の3条件それぞれで必要な緩和曲線長を求め、最大値と採用長、逓減量とシフト量を算出します。曲線の設計と速度向上の検討に使います。

最終更新:2026-09-17/監修:計算ツールズ編集部

緩和曲線長の計算ツール

計算式

直線と円曲線を直接つなぐと、その点で曲率とカントが不連続に変わり、車両に衝撃が生じます。間に曲率とカントを徐々に変える緩和曲線を入れ、その長さは次の3つの条件のうち最も大きい値で決めます。

① カント逓減勾配:L=C×n/1000(n は 1:n×1000 の逓減倍率)。既定値の C90mm・n600 では 54.0m。
② カント時間変化率:L=C×V/(3.6×f)。走行中にカントが変わる速さを抑える条件で、f30mm/s・85km/h では 70.8m。
③ カント不足時間変化率:L=Cd×V/(3.6×f′)。横加速度の変化の速さを抑える条件で、Cd60mm・f′40mm/s では 35.4m。

最大は② の 70.8m なので、5m 単位に切り上げて 75m を採用します。このときカントは 1m あたり 1.200mm ずつ変わり、円曲線は直線側へ L²/(24R)=0.586m だけ移動(シフト)します。

3つの条件の意味

条件式抑えているもの許容値の目安
① カント逓減勾配L=C×n/1000レール1本あたりの高さの変化(三点支持による輪重抜け)n=300〜1,000(1:300,000〜1:1,000,000 相当の緩さ)
② カント時間変化率L=C×V/(3.6×f)乗客が感じる車体の傾きの変化の速さf=28〜40mm/s
③ カント不足時間変化率L=Cd×V/(3.6×f′)横加速度の立ち上がりの速さ(横ゆれ)f′=30〜70mm/s

※許容値は事業者・線区・車両により異なります。施設基準で確認してください。

速度とカントから見た必要長(f=30mm/s・条件②)

カント60km/h85km/h100km/h130km/h
40mm22m31m37m48m
60mm33m47m56m72m
90mm50m71m83m108m
105mm58m83m97m126m
150mm83m118m139m181m

緩和曲線の種類

種類曲率の変わり方特徴
3次放物線距離に比例日本の在来線で広く使われる。計算が容易
クロソイド(緩和曲線)弧長に比例道路で標準。鉄道でも採用例がある
サイン半波長逓減曲線正弦関数で滑らかに変化新幹線で採用。曲率変化の端部が滑らか

※本ツールは一般に用いられる計算式による参考計算です。カント・スラック・緩和曲線長・建築限界の実際の値は、鉄道に関する技術上の基準を定める省令および各鉄道事業者の施設(建設)基準に従ってください。

緩和曲線長の計算の詳しい解説

直線から円曲線へいきなり入ると、その瞬間に曲率がゼロから 1/R へ跳び、遠心力が階段状に立ち上がります。同時にカントも付いていなければならず、外側レールを瞬間的に持ち上げることは物理的にできません。そこで両者を徐々に変化させる区間を設けるのが緩和曲線で、日本の在来線では曲率が距離に比例して増える3次放物線が広く使われています。この区間の長さをどう決めるかが設計の要点で、3つの独立した条件を計算してその最大値を採ります。

1つめはカントの逓減勾配です。緩和曲線ではレールが少しずつねじれていくため、4つの車輪のうち1つが浮きやすくなる三点支持の状態に近づきます。この輪重抜けを避けるには、単位長さあたりの高さの変化を緩くする必要があり、カント 1mm あたり何 m の距離をかけるかという倍率 n で表します。n=600 なら 90mm のカントに 54m が要る計算です。この条件は速度に依存しないのが特徴で、低速でも構造上必要な最低限の長さを与えます。

2つめはカントの時間変化率です。走行中の乗客から見ると、車体が傾いていく速さが問題になります。同じ長さの緩和曲線でも速度が高ければ短時間で通過するため、傾きの変化は急になります。許容値は 28〜40mm/s 程度で、これを超えると車内で立っている人がふらつきます。速度に比例して必要長が伸びるため、高速の線区ではこの条件が支配することが多く、既定値でも 70.8m とこの条件が最大になっています。

3つめはカント不足の時間変化率です。カントが付いても不足が残る場合、乗客は残った横加速度を感じます。その立ち上がりの速さを抑えるのがこの条件で、許容値は 30〜70mm/s 程度です。振子車両や車体傾斜車両を入れてカント不足を大きく許容する区間では、この条件が効いてきます。3つのうちどれが支配するかは線区の性格を映し、低速の専用線では①、高速の幹線では②や③が効く、という形になります。

緩和曲線を挿入すると、円曲線は直線側へわずかに移動します。この移動量をシフトと呼び、3次放物線では L²/(24R) で近似できます。既定値では 0.586m で、用地や構造物との取り合いを考えるときに効いてくる量です。既設線で緩和曲線を延ばして速度を上げようとすると、このシフトのぶんだけ線路の位置が動き、建築限界や近接構造物との離れを確認し直す必要があります。緩和曲線長を決める計算は、単独の数式ではなく、カント・スラック・建築限界・用地のすべてに波及する設計の起点です。

別の条件での計算例

低速の線区では支配する条件が変わります。カント 40mm・カント不足 20mm・速度 45km/h の場合、① カント逓減勾配は 40×600/1000=24.00m、② カント時間変化率は 40×45/(3.6×30)=16.67m、③ カント不足時間変化率は 20×45/(3.6×40)=6.25m となり、最大は① です。既定値の 85km/h では② が支配していたのに対し、速度が下がると② と③ が小さくなり、速度に依存しない① が下限として残るという構図です。採用長は 25m、カントの逓減は 1m あたり 1.60mm、半径 300m でのシフトは 25²/(24×300)=0.087m とわずかです。低速の側線では緩和曲線が短くても成立する一方、将来の速度向上を見込むなら② の条件で決めておく、という設計判断がこの比較から読み取れます。

業界・現場での使い方

曲線の新設設計

設計速度とカントから3条件を計算し、最大値を採用して線形を決めます。

速度向上の検討

既設の緩和曲線長で許容される速度を逆算し、不足する曲線を改良候補として洗い出します。

車体傾斜車両の導入検討

カント不足を大きく取る場合に条件③が支配するかを確認します。

用地・構造物との取り合い

シフト量から円曲線の移動を求め、建築限界や近接構造物との離れを再確認します。

よくある間違い・注意点

  • 1つの条件だけで長さを決める — 3条件の最大値を採ります。どれが支配するかは速度とカントで変わります。
  • 時間変化率の式で速度を m/s のまま使う — 式は km/h 前提で 3.6 で割っています。単位を揃えます。
  • カント不足を考えずに設計する — 振子・車体傾斜車両では条件③が支配することがあります。
  • シフト量を無視して既設線に挿入する — 円曲線が動くため、建築限界や構造物との離れが変わります。
  • スラックの逓減を確認しない — スラックも同じ区間で逓減します。長さが足りるかを確認します。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

緩和曲線長はどう決めますか?

カント逓減勾配・カント時間変化率・カント不足時間変化率の3条件を計算し、最大値を採ります。既定値では 70.8m で、切り上げて 75m です。

どの条件が支配しますか?

低速では①のカント逓減勾配、高速では②のカント時間変化率、カント不足を大きく取る場合は③が効きます。

カント時間変化率の許容値は?

28〜40mm/s が目安です。事業者・車両により異なります。

逓減倍率 n はいくつにしますか?

300〜1,000 の範囲で、線区の性格と速度で決めます。既定値は 600 です。

シフトとは何ですか?

緩和曲線を入れることで円曲線が直線側へ移動する量で、L²÷(24R) で近似します。既定値では 0.586m です。

3次放物線とクロソイドの違いは?

曲率が距離に比例するか弧長に比例するかの違いで、鉄道の緩和曲線長の範囲では実用上ほぼ同じ形になります。

緩和曲線が短いと何が起きますか?

カントの変化が急になり、輪重抜けや車内の横ゆれが増えます。速度制限の原因になります。

新幹線ではどんな緩和曲線ですか?

サイン半波長逓減曲線が用いられ、曲率変化の端部がより滑らかになります。

スラックの逓減も同じ区間ですか?

同じ緩和曲線の区間で逓減します。カント側で決まった長さに収まるかを確認します。