出張旅費 計算ツール|日当・交通費・宿泊費・出張旅費規程と国税庁実務対応
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
出張旅費を役職別・国内/海外別に計算。日当・交通費・宿泊費・支度金を旅費規程の設定どおりに積み上げ、日当の所得税非課税(所得税法第9条第1項第4号・所得税基本通達9-3)、消費税の出張旅費等特例・公共交通機関特例、令和8年度改正後の免税事業者からの仕入れの経過措置、海外出張の扱いまで、国税庁の資料に基づいて解説します。日当・宿泊費の額は法令で決まっておらず、各社の旅費規程で定めます。
出張旅費 計算機
出張旅費の構成と計算式
企業の出張旅費は実費弁償型の費用(交通費・宿泊費)と定額支給型の費用(日当・支度金)で構成されます。出張のための旅費で通常必要と認められるものは、所得税法第9条第1項第4号により非課税です。その範囲は所得税基本通達9-3で判定します。
出張旅費合計 = 交通費(実費) + 宿泊費(実費×宿泊数) + 日当(役職別×日数) + 支度金(海外のみ)
各費目の性質
交通費(実費)
新幹線・航空券・タクシー・レンタカーなどの実費。領収書または金額と経路を明示した出張報告書で精算します。消費税では、従業員に支給する出張旅費として精算するものは出張旅費等特例で帳簿のみの保存で仕入税額控除ができます。
宿泊費(実費)
実費支給または役職別の上限付き実費支給が一般的です。上限額は自社の旅費規程で定めます。海外は都市別の上限表を設ける例があります。
日当(定額)
食費・通信費・雑費の補填として定額で支給する手当。旅費規程に基づく通常必要な範囲の額であれば非課税です(所得税基本通達9-3)。役職別に段階を設けるのが一般的です。
支度金(海外出張のみ)
海外出張の準備費として定める会社があります。所得税で非課税の旅費に当たるかは内容と金額で判断されるため、本ツールでは支度金を非課税額に含めていません。
日当の額と役職別の設定
日当・宿泊費の額は法令で決まっておらず、各社の旅費規程で定めます。下表は本ツールの計算に使う設定例で、相場を示すものではありません。自社の規程の額に置き換えて使ってください。民間の水準は産労総合研究所の「国内・海外出張旅費に関する調査」(2025年度調査が最新)などで公表されています。
| 役職(本ツールの区分) | 国内日当(設定例) | 海外日当(設定例) | 支度金(海外・設定例) |
|---|---|---|---|
| 一般社員 | 2,500円 | 4,500円 | 0円 |
| 主任・係長 | 3,000円 | 5,500円 | 0円 |
| 課長・部長 | 4,500円 | 7,000円 | 50,000円 |
| 役員 | 6,000円 | 12,000円 | 100,000円 |
日帰り出張の日当
日帰りの日当を減額・半額にする規程や、支給しない規程があります。本ツールの「市内・近距離(日帰り)」は国内日当の半額で計算しています。
出張旅費規程の作り方
旅費規程の作成そのものは法令上の義務ではありませんが、日当を非課税で扱う根拠(所得税基本通達9-3の「全役員・使用人を通じて適正なバランスが保たれている基準」)を示すため、規程で支給基準を定めておくのが実務です。
主な記載項目
- 適用範囲:役員・社員・パート・派遣の適用区分
- 出張の定義:勤務地から○○km以上、○時間以上等の客観基準
- 役職別支給額表:日当・宿泊費上限・交通費グレード
- 精算方法:仮払・実費精算・立替のいずれか
- 報告書提出義務:出張報告書+領収書の期限
- 海外出張特則:航空機の座席クラス、支度金、外貨換算レート
- 改定手続き:改定日、改定権限者
就業規則との関係
旅費に関する定めを事業場の労働者の全員に適用する場合は、就業規則の記載事項(労働基準法第89条第10号)に当たります。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の一部として労働基準監督署への届出が必要です。
日当の所得税非課税
出張の旅費で通常必要と認められるものは非課税です(所得税法第9条第1項第4号)。通常必要な範囲かどうかは、所得税基本通達9-3により、次の2点を勘案して判定します。
- 全役員・使用人を通じて適正なバランスが保たれている基準で計算されているか
- 同業種・同規模の他の使用者が一般的に支給している額に照らして相当か
通常必要な範囲を超える部分は、給与所得などとして課税されます(所得税基本通達9-4)。定額の日当も、この基準に照らして相当な額であれば非課税です。
役員の日当
役員の日当が使用人に比べて突出していると、「適正なバランス」の判定で問題になりやすくなります。役員・使用人ともに段階的な支給額表を設け、額の根拠を説明できるようにしておきます。
インボイス制度と旅費実務
2023年10月からのインボイス制度では、仕入税額控除に原則として適格請求書の保存が必要です。ただし旅費には、帳簿のみの保存で控除できる特例があります(消費税法施行令第49条第1項、同施行規則第15条の4)。
出張旅費等特例
従業員に支給する出張旅費・宿泊費・日当のうち、その旅行に通常必要と認められる部分は、金額にかかわらず帳簿のみの保存で仕入税額控除ができます。実費精算・定額支給のどちらも対象です。国内出張が対象で、海外出張の旅費は原則として課税仕入れに当たりません(消費税法基本通達11-6-4)。
公共交通機関特例
税込3万円未満の鉄道・路線バス・船舶による旅客運送は、適格請求書の交付義務が免除され、帳簿のみの保存で控除できます。タクシー・航空機は対象外です。
少額特例
基準期間の課税売上高が1億円以下(または特定期間の課税売上高が5,000万円以下)の事業者は、2029年9月30日までの税込1万円未満の課税仕入れについて、帳簿のみの保存で控除できます。
免税事業者からの仕入れの経過措置
適格請求書発行事業者でない相手からの仕入れは、令和8年度改正後、2026年9月30日まで80%、2026年10月〜2028年9月70%、2028年10月〜2030年9月50%、2030年10月〜2031年9月30%を控除できます。出張旅費等特例が使える従業員への支給分には関係しません。
海外出張の外貨換算・支度金
海外出張旅費は円建てで支給する方法と、現地通貨で支給する方法があります。円建てにすると手続きは簡単ですが、為替変動の影響を従業員が負う形になります。
外貨換算の決め方
- 換算レートを規程で定める:出発日のレート、精算日のレート、月次平均レートなど、どれを使うかを決めて継続して適用します
- 仮払いと精算の差額:仮払時と精算時のレートが違うと差額が出るため、処理方法も決めておきます
海外出張特有の費目
支度金
事前準備費(衣類・パスポート更新など)として定額を支給する会社があります。所得税で非課税の旅費に当たるかは内容と金額で判断されるため、支給基準を規程に明記しておきます。
航空機の座席クラス
飛行時間と役職で座席クラスの基準を定める例があります。基準を規程に書いておくと、判断がぶれません。
消費税の扱い
国際線の航空運賃は輸出免税、海外での宿泊・交通・日当は課税仕入れに当たらないため、仕入税額控除の対象になりません。本ツールでは海外出張の消費税控除額を0円としています。
海外旅行保険・安全対策
海外旅行傷害保険(法人契約)や緊急時の連絡体制の整備は、使用者の安全配慮義務(労働契約法第5条)の観点から検討されます。
よくある間違い・注意点
- 支給基準なしで日当を支給 — 基準が無いと、所得税基本通達9-3の「適正なバランスが保たれている基準」を示せず、給与として課税されるおそれがあります。
- 役員のみ高額日当 — 使用人と比べて突出した額は、非課税の判定で問題になりやすくなります。
- 宿泊費の実費と日当の混同 — 実費弁償型(宿泊費)と定額支給型(日当)は別立てで規定し、宿泊費の領収書は保管します。
- 出張報告書の不備 — 日時・行先・目的・面会先を記載しない報告書では、業務上の出張であることを説明しにくくなります。
- インボイスの特例の取り違え — 公共交通機関特例(3万円未満)はタクシー・航空機には使えません。一方、従業員に支給する出張旅費等は、金額にかかわらず出張旅費等特例で帳簿のみの保存で控除できます。
- 海外出張の旅費で消費税を控除 — 海外出張の旅費は原則として課税仕入れに当たりません。
- 為替換算の方法を決めていない — 精算のたびにレートの選び方が変わると説明がつかなくなります。旅費規程で換算方法を明文化しましょう。
関連する法令・通達
- 所得税法第9条第1項第4号 ― 旅費の非課税。
- 所得税基本通達9-3・9-4 ― 非課税とされる旅費の範囲(判定の2つの観点)と、範囲を超える部分の所得区分。
- 法人税基本通達9-7-6〜9-7-10 ― 海外渡航費の取扱い(業務上必要な海外渡航の判定など)。
- 消費税法施行令第49条第1項・同施行規則第15条の4 ― 帳簿のみの保存で仕入税額控除ができる場合(公共交通機関特例・出張旅費等特例など)。
- 消費税法基本通達11-6-4 ― 出張旅費、宿泊費、日当等の課税仕入れの扱い。
- 国家公務員等の旅費に関する法律 ― 国家公務員の旅費の基準。民間の旅費規程の参考にされることがあります。
- 労働基準法第89条 ― 就業規則の記載事項と届出(常時10人以上の事業場)。
- 労働契約法第5条 ― 使用者の安全配慮義務。
参考文献・公的資料
旅費規程を制定・改定する際は、下記の一次資料と最新の通達を確認してください。金額の基準は業界・企業規模で異なるため、税理士・社会保険労務士との個別協議も推奨します。
- 国税庁「所得税基本通達」 ― 9-3「非課税とされる旅費の範囲」、9-4「非課税とされる旅費の範囲を超えるものの所得区分」。
- 国税庁「インボイス制度」 ― 出張旅費等特例・公共交通機関特例・少額特例の解説。
- 国税庁「令和8年度税制改正特集」 ― 免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直し。
- 産労総合研究所「2025年度 国内・海外出張旅費に関する調査」 ― 民間企業の出張旅費の水準。
- 厚生労働省「就業規則の作成・届出」 ― 労基法89条に基づく就業規則の作成・届出。
よくある質問(FAQ)
日当は本当に所得税非課税?
旅費規程に基づき、出張に通常必要な範囲で支給する日当は非課税です(所得税法第9条第1項第4号)。通常必要な範囲かどうかは所得税基本通達9-3により、全役員・使用人を通じて適正なバランスが保たれている基準か、同業種・同規模の他社の支給額に照らして相当か、の2点で判定します。範囲を超える部分は給与などとして課税されます。
日当の相場はいくら?
日当の額は法令で決まっておらず、各社の旅費規程で定めます。本ツールの額(国内:一般社員2,500円〜役員6,000円など)は計算用の設定例です。民間の水準は産労総合研究所の「国内・海外出張旅費に関する調査」などで公表されています。
出張旅費規程がなくても日当を出せる?
規程の作成自体は法令上の義務ではありませんが、基準が無いと非課税の判定(所得税基本通達9-3)の根拠を示せず、給与として課税されるおそれがあります。支給基準を規程で定めておくのが実務です。全労働者に適用する定めは就業規則の記載事項(労働基準法第89条第10号)にもなります。
役員だけ日当を高くしていい?
役職に応じた差を設けること自体は一般的ですが、使用人と比べて突出していると「全役員・使用人を通じて適正なバランス」の判定で問題になりやすくなります。額の根拠を説明できる段階的な支給額表を設けましょう。
日当で節税になる?
非課税の範囲の日当は、受け取る側に所得税・住民税がかかりません。本ツールの「日当が非課税であることによる所得税・住民税の差」は、日当合計×選んだ税率の概算です。ただし過大な日当は給与として課税されるため、業務上必要な範囲で規程を設計します。
インボイス制度で出張旅費はどう変わった?
原則として適格請求書の保存が必要になりましたが、従業員に支給する出張旅費・宿泊費・日当のうち通常必要な部分は、金額にかかわらず帳簿のみの保存で仕入税額控除ができます(出張旅費等特例)。会社が直接支払う交通費では、税込3万円未満の鉄道・路線バス・船舶は公共交通機関特例の対象ですが、タクシー・航空機は対象外です。
免税事業者のホテルなどを使ったら?
従業員に支給する出張旅費として精算する場合は出張旅費等特例で帳簿のみの保存で控除できます。会社が直接支払う場合は、免税事業者からの仕入れの経過措置(2026年9月まで80%、2026年10月〜2028年9月70%、2028年10月〜2030年9月50%、2030年10月〜2031年9月30%。令和8年度改正)で控除できる割合が決まります。
海外出張の外貨換算はどうする?
出発日のレート、精算日のレート、月次平均レートなど、どれを使うかを旅費規程で定め、継続して適用します。仮払いと精算でレートが違う場合の差額の処理も決めておきます。
海外出張の消費税は控除できる?
国際線の航空運賃は輸出免税、海外での宿泊・交通・日当は課税仕入れに当たらないため、原則として控除できません。本ツールでは海外出張の消費税控除額を0円としています。
海外出張の支度金は非課税?
支度金が非課税の旅費に当たるかは、内容と金額で判断されます。本ツールでは支度金を非課税額に含めていません。支給する場合は支給基準を旅費規程に明記しておきます。
日帰り出張でも日当は出る?
規程しだいです。日帰りの日当を減額・半額にする規程や、支給しない規程があります。本ツールの「市内・近距離(日帰り)」は国内日当の半額で計算しています。
出張報告書は何を書けばいい?
日時・行先・目的・面会先・成果を記載し、交通費・宿泊費の領収書などと一緒に保管します。業務上の出張であることを説明できるようにしておくことが、非課税の扱いの前提になります。