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耐火時間建築基準法鉄骨防火耐火被覆

耐火時間 要求区分ツール|階数×部位から柱・梁・壁の要求耐火性能を即参照

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

耐火建築物の設計・鉄骨耐火被覆計画に必須の要求耐火時間を、階数と部位(柱・梁・壁・床・屋根・階段)から即算出。建築基準法第2条第9号の2・施行令第107条に基づく1〜3時間耐火の区分(最上階から数えた階数で決まる)を早見化し、S造の耐火被覆の仕様の決め方、耐火建築物と準耐火建築物の使い分けまで解説します。国土交通省・日本建築学会・日本建築防災協会の公式資料に基づく参考計算です。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

耐火時間 要求区分ツール

計算式と法的根拠

建築基準法における耐火性能の定義

建築基準法第2条第7号が「耐火構造」、第2条第9号の2が「耐火建築物」を定義し、耐火性能の技術的基準は施行令第107条にあります。第107条第1号は、通常の火災の火熱が表の時間加えられても構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊その他の損傷を生じないこと(非損傷性)を求めています。

要求耐火時間 = 部位 × その階が最上階から数えて何階目か(施行令第107条第1号の表)

区分は建物全体の階数ではなく、対象の階が最上階から数えて何階目かで決まります。たとえば20階建ての最上階の柱は1時間、上から10階目の柱は2時間、上から20階目の柱は3時間です。地階は階数にすべて算入し、階数に算入されない屋上部分は最上階に含めます(同表備考)。

耐火性能の区分

  • 1時間:最上階から4階目まで(壁・柱・床・はり)
  • 1.5時間:5〜9階目(壁・柱・床・はり)
  • 2時間:10〜14階目(壁・柱・床・はり)、15階目以上の壁・床
  • 2.5時間:15〜19階目の柱・はり
  • 3時間:20階目以上の柱・はり
  • 30分:屋根・階段(階によらない)

壁は間仕切壁・外壁とも耐力壁の値です。非耐力壁や、遮熱性(第2号)・遮炎性(第3号)の時間は別に定められています。

階数・部位別 要求耐火時間 早見表

建築基準法施行令第107条第1号の表です(最上階から数えた階数)。

部位最上階〜4階目5〜9階目10〜14階目15〜19階目20階目以上
間仕切壁・外壁(耐力壁)1時間1.5時間2時間2時間2時間
柱1時間1.5時間2時間2.5時間3時間
床1時間1.5時間2時間2時間2時間
はり1時間1.5時間2時間2.5時間3時間
屋根30分
階段30分

屋根と階段はどの階でも30分です。ただし避難階段・特別避難階段は施行令第123条で「耐火構造」とすることなどが別に求められます。

鉄骨耐火被覆の仕様の決め方

鉄骨(S造)は高温で強度が大きく低下するため、耐火構造とするには耐火被覆が必要です。被覆の材料・厚さは、次のどちらかで決まります。

  • 平成12年建設省告示第1399号(耐火構造の構造方法を定める件)の例示仕様
  • 国土交通大臣の認定を受けた構造方法(認定番号ごとに材料・厚さ・対象の鋼材寸法が決まっている)

同じ材料でも、要求時間・部位・鋼材の形状や寸法で必要な厚さが変わります。ロックウール吹付・けい酸カルシウム板・耐火塗料などは、採用する製品の認定書に記載された仕様どおりに施工してください。厚さを一般論の目安で決めることはできません。

耐火建築物・準耐火建築物・防火構造の違い

区分要求性能主な構造
耐火建築物主要構造部が耐火構造など(施行令第107条の時間)RC造、SRC造、耐火被覆したS造、耐火構造の木造
準耐火建築物(イ準耐)主要構造部が準耐火構造(施行令第107条の2:柱・はり・床・耐力壁45分)。1時間準耐火のものもある耐火被覆したS造、燃えしろ設計の木造など
準耐火建築物(ロ準耐)外壁が耐火構造(ロ-1)、または主要構造部の柱・はりが不燃材料など(ロ-2)(施行令第109条の3)外壁RC造の建物、S造の倉庫・工場など
防火構造外壁・軒裏が周囲の火災に30分耐える(施行令第108条)モルタル塗り、防火サイディングなど

防火地域では階数3以上又は延べ面積100㎡超、準防火地域では地上4階以上又は延べ面積1,500㎡超の建築物が耐火建築物(又は同等以上の延焼防止性能の建築物)とする対象です(建築基準法第61条・施行令第136条の2)。準防火地域の地上3階や延べ500㎡超1,500㎡以下などは準耐火建築物等が求められます。

耐火時間の詳しい解説

耐火時間は、通常の火災で主要構造部が損傷せずに耐えるべき時間です。上の階ほど火災時に支える荷重が小さく、下の階ほど崩れたときの影響が大きいため、最上階から数えた階数が増えるほど長い時間が求められます。2024年(令和6年)4月施行の改正で、1.5時間・2.5時間の区分が設けられました。

RC造は鉄筋のかぶり厚さや柱・はりの寸法で、S造は耐火被覆で、木造は燃えしろや被覆で耐火性能を確保します。いずれも告示第1399号の例示仕様か大臣認定の仕様によるため、設計時に採用する仕様の要求時間と部位を確認します。

防火地域・準防火地域では、2019年(令和元年)6月施行の改正で「延焼防止建築物」「準延焼防止建築物」が位置付けられ、耐火建築物等と同等以上の延焼防止性能を持つ建築物も認められています。

場面別の使い方

建築設計事務所

構造計算と耐火設計の並行検討。用途・階数・防火地域指定から要求耐火時間を確定し、S造/RC造/SRC造の選定、被覆材の意匠影響、コスト比較を行います。BIM連動で耐火被覆数量拾いも実務化。

鉄骨工事・専門工事業者

耐火被覆材料・工法の選定。石膏ボード被覆は仕上げ壁との一体化、耐火塗料は柱を露出させる意匠設計で採用。いずれも大臣認定・告示の仕様どおりに施工し、数量を算出します。

リフォーム・用途変更

事務所→共同住宅、倉庫→店舗など、用途変更時の耐火性能再検証。既存不適格建物の場合、増改築時に現行法適用となり、耐火被覆の追加工事が発生することがあります。

建築確認申請・審査

指定確認検査機関の審査では、施行令107条準拠の耐火性能証明が必須。耐火認定番号(FP-060CN-XXXX等)で被覆仕様を特定。書類作成の実務で頻用されます。

消防設備設計

耐火区画・防火区画の設計は消防法とも連動。1500m²ごとの床区画、階段室区画、竪穴区画に耐火時間規定が絡み、防火扉・防火シャッターの設置計画に反映します。

不動産デューデリジェンス

ビル取得時のエンジニアリングレポート(ER)で、既存建物の耐火性能を検証。耐火被覆の劣化、法定不適格状態、再取得原価の算定に影響します。

よくある間違い・注意点

  • 耐火被覆の劣化見過ごし — 経年劣化で被覆材が脱落するケースが多い。特に石膏ボード被覆は湿気で劣化しやすい。建築基準法第12条の定期調査報告(特定行政庁が定める時期)でも確認されます。
  • 部分的な耐火被覆撤去 — 設備工事(配管更新、電気配線新設)で耐火被覆を撤去したまま放置→火災リスク急増。撤去部分の復旧は必須で、施工記録も残す。
  • 準耐火と耐火の混同 — 準耐火(施行令第107条の2、45分など)と耐火(施行令第107条、1〜3時間)は別区分。混同すると建築確認申請でリジェクトされる。
  • 階段室の別要件を見落とす — 避難階段・特別避難階段(屋外避難階段を含む)は施行令第123条で階段を耐火構造とすることなどが求められる。第107条の「階段30分」だけで判断しない。
  • 防火区画と耐火区画の混同 — 防火区画(火煙拡散防止)と耐火区画(構造耐力保持)は別概念。片方だけの検討では法令未達となる。
  • 耐火被覆施工後の設備貫通処理 — 配管・配線が耐火壁を貫通する場合、貫通部にモルタル充填・耐火シール施工が必須。未処理は法令違反。
  • 「耐火建築物」と「耐火構造」の言い換え — 耐火建築物(法第2条第9号の2)と耐火構造(法第2条第7号・施行令第107条)は法定義が異なる。設計図書・確認申請書での用語ミスは審査で指摘される。

関連する規格・法令

  • 建築基準法 第2条第7号・第9号の2 ― 耐火構造・耐火建築物の定義。
  • 建築基準法施行令 第107条 ― 耐火性能に関する技術的基準。最上階から数えた階数と部位別の要求時間。
  • 建築基準法施行令 第107条の2 ― 準耐火性能に関する技術的基準(45分)。
  • 建築基準法施行令 第108条 ― 防火性能に関する技術的基準(外壁・軒裏30分)。
  • 建築基準法施行令 第109条の3 ― 主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物(ロ準耐)。
  • 建築基準法施行令 第112条 ― 防火区画(面積区画、竪穴区画、異種用途区画)。
  • 建築基準法施行令 第123条 ― 避難階段・特別避難階段の構造(階段は耐火構造)。
  • 建築基準法施行令 第136条の2 ― 防火地域・準防火地域内の建築物の性能。
  • 平成12年建設省告示 第1399号 ― 耐火構造の構造方法(例示仕様)。
  • JIS A 1304 ― 建築構造部分の耐火試験方法。
  • 消防法 第17条 ― 消防用設備等の設置。耐火区画と連動する自動火災報知設備・スプリンクラー設置基準。

参考文献・公的資料

耐火建築の実務では、以下の公的機関・業界団体の一次資料を参照してください。

※本ページの耐火時間は建築基準法施行令第107条第1号の表の値です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・国交省通達・地方自治体の建築条例および所轄の指定確認検査機関の判断に従ってください。特に防火地域・準防火地域指定、既存不適格建物の増改築、用途変更、耐火認定の適用については、一級建築士・構造設計一級建築士・設備設計一級建築士等の有資格者にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

5階建ての柱の要求耐火時間は?

階によって違います。5階建てなら最上階から4階目(2〜5階)の柱は1時間、最上階から5階目(1階)の柱は1.5時間です(建築基準法施行令第107条)。地階がある場合は地階も階数に数えます。

鉄骨造で耐火時間を確保する方法は?

耐火被覆で対応します。ロックウール吹付・けい酸カルシウム板・耐火塗料などの工法がありますが、厚さは平成12年建設省告示第1399号の例示仕様か、国土交通大臣認定を受けた製品の仕様で決まります。要求時間・部位・鋼材寸法ごとに認定書の仕様どおり施工してください。

準耐火建築物とは?

主要構造部を準耐火構造としたもの(イ準耐。施行令第107条の2で柱・はり・床・耐力壁は45分)と、外壁を耐火構造とするなどしたもの(ロ準耐。施行令第109条の3)があります。準防火地域の地上3階建てなどで求められます。

耐火被覆の定期点検義務は?

特定建築物の定期調査報告(建築基準法第12条)で、特定行政庁が定める時期(おおむね6か月〜3年ごと)に調査・報告します。耐火被覆の剥離・欠損も調査項目です。

防火地域と準防火地域の違いは?

防火地域では階数3以上又は延べ面積100㎡超、準防火地域では地上4階以上又は延べ面積1,500㎡超の建築物が耐火建築物等の対象です。準防火地域の地上3階(延べ1,500㎡以下)や延べ500㎡超1,500㎡以下は準耐火建築物等が求められます(建築基準法第61条・施行令第136条の2)。

RC造とSRC造、耐火性能はどう違う?

どちらもコンクリートが鉄筋・鉄骨を火熱から守ります。必要な柱・はりの寸法やかぶり厚さは告示第1399号の例示仕様や認定仕様で決まるため、要求時間に応じて確認してください。

木造で耐火建築物は可能?

可能です。耐火構造の大臣認定を受けた木造の部材(被覆型など)や告示の仕様を使えば、木造でも耐火建築物にできます。採用できる時間・部位は認定ごとに異なります。

耐火認定番号(FP-060CN)とは?

建築基準法第2条第7号の規定による国土交通大臣認定の番号です。「FP060」は60分、「FP120」は120分耐火などを表し、続く記号が柱(CN)・はり(BM)などの部位を示します。告示第1399号は認定ではなく例示仕様です。

階段の耐火時間はなぜ短い?

施行令第107条では階段の非損傷性は30分です。ただし避難階段・特別避難階段は施行令第123条で、階段を耐火構造とし避難階(屋外避難階段は地上)まで直通させることなどが求められます。屋外避難階段も耐火構造です。

防火区画とは?

火災の拡大を防ぐため建物を耐火構造の床・壁や防火設備で区切るもので、施行令第112条に面積区画・竪穴区画・異種用途区画などがあります。主要構造部の耐火時間(第107条)とは別に検討します。

耐火塗料はどんな仕組み?

火災時に加熱されると発泡して膨張し、断熱層を形成する塗料(発泡型)です。耐火構造として使えるのは大臣認定を受けた仕様に限られ、塗厚や適用できる鋼材寸法・時間は認定ごとに決まっています。

既存建物の耐火不適格を解消するには?

既存不適格建物の増改築時には現行法の適用範囲が問題になります。緩和の可否(施行令第137条の2など)は、特定行政庁や指定確認検査機関に相談してください。