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地震地域係数Z値耐震設計建築基準法構造計算

地震地域係数Z 都道府県別早見|建築基準法施行令88条・Ci算定・沖縄0.7見直し

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建築基準法施行令88条・昭和55年建設省告示第1793号で定められた地震地域係数Zを47都道府県別に即参照。地震層せん断力係数Ci=Z×Rt×Ai×Coの算定、許容応力度計算・保有水平耐力計算・限界耐力計算での適用、沖縄0.7見直しや自治体独自のZ値上乗せの動向まで、構造設計者・建築主事・確認検査員・不動産デューデリ担当者が知るべき耐震設計の基礎値を体系的に解説します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

地震地域係数Z(都道府県別)ツール

計算式と法令根拠

地震地域係数Zの定義

建築基準法施行令第88条および昭和55年建設省告示第1793号により、建築物の地震荷重計算に用いる地震地域係数Zは0.7、0.8、0.9、1.0のいずれかで、地域ごとに指定されます。過去の地震活動・地盤特性・地震危険度予測を反映した係数で、原則として本州の大部分は1.0、地震活動度の低い地域で0.7-0.9が適用されます。

地震層せん断力係数Ci

Ci = Z × Rt × Ai × Co

  • Z:地震地域係数(0.7~1.0)
  • Rt:振動特性係数(建物固有周期と地盤種別で決定、0.25~1.0)
  • Ai:地震層せん断力の高さ方向分布係数(上層ほど大)
  • Co:標準せん断力係数(一次設計0.2、二次設計1.0)

層せん断力Qi = Ci × Wi(その層より上の重量)により、各層の水平力を算定します。許容応力度計算(一次)・保有水平耐力計算(二次)いずれでもZが最初に効く係数のため、地域係数を1割変えるだけで全体設計荷重が1割変わる非常に重要な数値です。

47都道府県別 Z値早見表

昭和55年建設省告示第1793号(最終改正)に基づく地震地域係数Zの都道府県別区分です。同一都道府県内でも市町村別に異なる場合(北海道・青森・福島・富山・石川・鳥取・徳島・香川・熊本・大分・鹿児島)があります。

Z値地域
1.0(基準)下の0.9・0.8・0.7に当たらない地域。宮城・岩手・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・長野・静岡・愛知・岐阜・三重・福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の全域、北海道の道東(釧路・根室・帯広など)、青森・福島・富山・石川・鳥取・徳島・香川の残りの地域、鹿児島県の名瀬市(現奄美市)・大島郡
0.9秋田・山形・新潟・島根・岡山・広島・愛媛・高知・宮崎の全域。北海道の一部(札幌・函館・小樽・室蘭・苫小牧・千歳など)、青森県の一部(青森・弘前・むつなど)、福島県の一部(会津若松・郡山・白河など)、富山県の一部(魚津・滑川・黒部など)、石川県の一部(輪島・珠洲など)、鳥取県の一部(米子・倉吉・境港など)、徳島県の一部(三好・美馬など)、香川県の一部(高松・丸亀など)、熊本県・大分県のうち0.8以外
0.8山口・福岡・佐賀・長崎・鹿児島(名瀬市・大島郡を除く)の全域。北海道の一部(旭川・留萌・稚内・紋別・士別・名寄など)、熊本県の一部(荒尾・水俣・玉名・山鹿・天草など)、大分県の一部(中津・豊後高田・杵築・宇佐・国東など)
0.7沖縄県

詳細な市町村別Z値は国土交通省住宅局建築指導課から告示・技術基準解説書として公表され、日本建築行政会議(JCBA)や日本建築センターの構造計算指針でも参照されています。

地震層せん断力係数Ciの算定例

基本例:東京都心・地上10階建てRC造

  • 地域係数Z=1.0
  • 建物固有周期T=0.02×h=0.02×30m=0.6秒(RC造略算)
  • 地盤種別:第2種地盤 → Rt=1.0(T≦Tc=0.6の範囲)
  • 1階(最下層)のAi=1.0
  • 一次設計Co=0.2
  • Ci = 1.0×1.0×1.0×0.2 = 0.2 (20%重量分の水平力)

比較例:沖縄・同条件

  • Z=0.7 → Ci = 0.7×1.0×1.0×0.2 = 0.14 (東京の70%)
  • 結果、同一形状建物でも地震設計荷重は3割減、鉄骨・鉄筋量が減り工費低減

比較例:福岡市(Z=0.8)

  • Z=0.8 → Ci = 0.16 (東京の80%)
  • 2005年福岡県西方沖地震(M7.0)で最大震度6弱を観測しており、Z<1.0の地域でも大きな揺れは起こる

二次設計(保有水平耐力)の例

  • Co=1.0(建物崩壊防止レベル)
  • Ci = 1.0×1.0×1.0×1.0 = 1.0(重量と同じ水平力)
  • 各層に建物重量と同等の水平力が作用しても保有水平耐力Quが必要保有耐力Qun以上であることを確認
  • ラーメン構造で構造特性係数Ds=0.3-0.55、形状係数Fes=1.0-1.4を掛けて必要保有耐力Qunを算定

詳細な層せん断力・柱梁の断面算定は地震層せん断力計算ツールで自動化できます。

Z値の歴史と昭和55年告示

日本の耐震設計は1924年(大正13年)に世界初の地震荷重規定(市街地建築物法施行規則)を導入し、水平震度0.1(いわゆる旧耐震)がスタートでした。以後、1950年建築基準法制定、1968年十勝沖地震を受けた1971年の改正(RC柱の帯筋規定の強化)を経て、1978年宮城県沖地震(M7.4)の被害を受けて1981年に新耐震設計法へ大改正、この時に現行のZ×Rt×Ai×Co方式が導入されました。

Z値の地域区分は昭和55年(1980年)建設省告示第1793号で確定し、その後2000年(平成12年)の性能規定化(限界耐力計算導入)、2004年新潟県中越地震・2005年福岡県西方沖地震・2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)・2016年熊本地震(M7.3)・2018年北海道胆振東部地震(M6.7)などの大地震を経験しつつも、告示のZ値本体は本質的に見直されていません。この点が耐震設計界の長期的な論点となっています。

自治体上乗せ・条例事情

建築基準法のZ値は下限であり、自治体は独自にZ値の割増・耐震強化を条例で規定できます。代表例です。

東京都

建築基準法通りZ=1.0。ただし特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化推進条例・帰宅困難者対策条例等で耐震診断・改修義務を強化。

静岡県

東海地震・南海トラフを想定し、Zを1.2倍に割り増す「静岡県地震地域係数Zs」を1984年から運用。2017年10月1日以降に着手する建築物は静岡県建築基準条例等で義務化された(品確法の耐震等級2・3に適合するもの等は適用除外)。耐震改修は「プロジェクトTOUKAI-0」で補助。

沖縄県

告示上はZ=0.7だが、公共施設や重要施設の一部で保守側にZ=1.0相当の設計事例あり。近年の琉球海溝地震想定でZ再検討の学術議論が続く。

大阪府

Z=1.0。上町断層帯への警戒から、府立学校・病院等の耐震化率を高い目標値で管理。

民間発注においても、金融機関の融資評価・機関投資家のESG評価で「告示Z超え」の耐震性能を要求されるケースが増加しています。

沖縄0.7見直し議論

沖縄県のZ=0.7は1980年告示当時の地震活動データに基づきますが、以下の理由から見直し要望が続いています。

  • 琉球海溝の巨大地震ポテンシャル ― 産業技術総合研究所や琉球大学の地質調査で、過去数百年周期でM8級の海溝型地震が発生した痕跡(津波堆積物)が確認されている。
  • 2010年沖縄本島近海地震(M7.2) ― 最大震度5弱。被害は軽微だった。
  • 米軍施設・観光・IT産業の重要性 ― 経済的損失の観点から、耐震強化ニーズが高まっている。
  • 建築コスト議論 ― Z=1.0に上げると地震力が約1.43倍になり、構造部材・建築費が増える。県内建設業界・住宅取得者への影響が大きい。

2024年の能登半島地震などZ<1.0の地域でも大きな地震動が観測されていることを踏まえ、国が地域係数のあり方を検討しています(2026年9月時点で告示第1793号は改正されていません)。実務上は重要建築物ではZ=1.0で保守側設計を採用する例が増えています。

Z値と地震動予測地図の関係

地震調査研究推進本部(地震本部)は「全国地震動予測地図」を継続的に更新し、確率論的地震動予測地図(30年で震度6弱以上の発生確率)とシナリオ型地震動予測地図(想定地震)を公開しています。告示Zは1980年当時の地震活動の記録に基づく係数で、最新の地震動予測とは必ずしも一致しません。Z<1.0の地域でも震度7が観測されています。

Z<1.0の地域で起きた近年の大地震

地域告示Z観測された揺れ
石川県輪島市0.92024年能登半島地震で震度7
熊本県益城町0.92016年熊本地震で震度7を2回
北海道厚真町0.92018年北海道胆振東部地震で震度7
福岡市0.82005年福岡県西方沖地震で震度6弱

予測地図はあくまで確率的評価で告示Zが地震危険度の絶対指標ではないものの、耐震設計・投資判断・保険料算定においては両者を併せて評価するのが実務的です。国土交通省・地震本部は「予測地図の情報を踏まえた性能設計への移行」を長期方針として掲げています。

業界での使い方

🏢 構造設計事務所

建物概要書・構造計算書の冒頭で地域係数Zを明記。許容応力度計算・保有水平耐力計算・限界耐力計算のいずれにも入力係数として関与。設計手数料は延べ床面積比のため、地方案件でもZ割引はほぼ考慮されない。

🏗️ 建築確認申請・確認検査機関

建築主事・指定確認検査機関は構造計算書のZ値が告示・条例に整合しているかを審査。都市計画区域外・特殊建築物ではZ値の適用漏れが不備事項の頻出項目に。

💰 不動産デューデリジェンス

J-REIT・私募ファンドが物件取得時のエンジニアリングレポート(ER)でZ値と耐震性能を確認。旧耐震(1981年以前)・新耐震初期(1981-2000)・改正後(2000年以降)で保険料・貸出条件が変わる。

🏥 官公庁・特定建築物

官公庁施設(国土交通省官庁施設の総合耐震計画基準)・災害拠点病院(厚労省)・避難所指定学校(文科省)は、告示Zに官庁基準の重要度係数(1.0-1.5)を乗じた強度で設計。

🏫 学校・防災拠点

耐震改修促進法により、学校・病院・多数の者が利用する建築物は耐震診断が努力義務(一部義務)。Is値0.6以上が耐震基準の目安。改修時にZに合わせた必要保有水平耐力を算定。

🌊 海溝型地震・南海トラフ対策

内閣府中央防災会議の南海トラフ地震想定域(東海~九州)では、Z=1.0地域でもさらなる強化が要請される。愛知・静岡・和歌山・高知の官民施設で自主的な性能水準アップの動きが加速。

よくある間違い・注意点

  • 県全体を単一Z値と誤認 ― 北海道・青森・福島・富山・石川・鳥取・徳島・香川・熊本・大分・鹿児島では市町村別にZが異なるため、建設地の市町村単位で告示表を確認する必要があります。県境をまたぐ場合の適用にも注意。
  • 沖縄0.7の機械的適用 ― 学校・病院・重要施設ではZ=1.0で保守側設計を採用する事例が増加。近年の地震学的知見・投資家要求の変化を反映すべき。
  • 地域係数と地盤種別の混同 ― Zは地域係数、Rtは地盤種別(第1種岩盤・第2種普通・第3種軟弱)+固有周期で決まる別の係数。混同すると1.5倍以上の誤差に。
  • 1981年新耐震・2000年改正の混同 ― 現行のZ×Rt×Ai×Co方式は1981年から。2000年改正は限界耐力計算導入等で、Z値そのものは変わっていません。
  • 官庁施設・重要度係数の適用漏れ ― 官庁施設の総合耐震計画基準では構造体の重要度係数1.0-1.5(I類~III類)を地震力に乗じる。公共案件で見落とすと再計算が必要になります。
  • 耐震改修時の遡及誤解 ― 既存不適格建築物の改修では、既存部分は改修時のZ値ではなく建築時基準で判定される場合があるため、増築・用途変更時の適用時点確認が重要。
  • 限界耐力計算でZを省略 ― 限界耐力計算法(平成12年建設省告示第1457号)でも地表面地震動係数Gsに地域係数Zが乗じられます。「性能設計だからZ不要」は誤りです。
  • 設計震度と実際の地震動の混同 ― Coは地震時の建物応答を統計的に見た標準値であり、想定した地震そのものの震度ではありません。震度6強で必ずCi=0.2という理解は不正確です。
  • 耐震等級とZの重複計算 ― 耐震等級2・3を採用する場合、Zは既に組み込まれた告示基準に1.25倍・1.5倍を乗じます。Z自体を独自に増やすことと二重に混同すると過剰設計に。

関連する規格・法令

  • 建築基準法 第20条・施行令 第81条~88条 ― 構造耐力に関する基本規定と、地震荷重(Z)・風荷重・積雪荷重の算定式の根拠。
  • 昭和55年建設省告示 第1793号 ― Z値の47都道府県別区分を確定した告示。Rt(振動特性)・Ai(高さ方向分布)の算定式も規定。
  • 平成12年建設省告示 第1457号 ― 限界耐力計算法の告示。性能規定化の基幹。
  • 平成19年国土交通省告示 第594号 ― 保有水平耐力・許容応力度計算の詳細規定。
  • 耐震改修促進法 ― 学校・病院等の特定建築物の耐震診断・改修を促進する法律。
  • 官庁施設の総合耐震計画基準 ― 国土交通省が定める官公庁施設の重要度係数と設計基準。
  • 日本建築学会 建築物荷重指針・同解説 ― Zを含む地震荷重の学会標準解説書。実務標準として広く引用。
  • 建築物の構造関係技術基準解説書 ― 国土交通省住宅局監修の公式解説書。JIA・JSCA等が編集協力。
  • 住宅品質確保促進法(品確法) ― 住宅性能表示制度で耐震等級1-3を規定。等級2で告示の1.25倍、等級3で1.5倍の地震力に耐える設計。
  • 長期優良住宅法 ― 耐震等級2以上を認定要件とする。地域係数と併せた設計震度の計算が必要。

参考文献・公的資料

より正確な地域係数・詳細な耐震設計手法を確認したい場合は、以下の公的機関・学会の資料を参照してください。

※本ページのZ値・Ciの算定結果は概算です。建築確認申請・構造計算書・確認検査機関への提出書類・不動産デューデリレポート等に用いる場合は、上記公的機関の最新告示・技術基準解説書を必ず参照し、建築士(構造一級建築士等)・確認検査員による判断を仰いでください。特に南海トラフ・首都直下等の重要地域では性能設計・限界耐力計算での追加検討を推奨します。

よくある質問(FAQ)

東京都のZ値は?

Z=1.0(基準値)。都心・多摩地域とも全域で1.0が適用されます。ただし特定緊急輸送道路沿道建築物・帰宅困難者対策等の条例により、耐震診断・改修の実効レベルは告示以上の水準が求められます。

沖縄がZ=0.7なのはなぜ?

昭和55年告示当時の地震活動データで、沖縄地方は本州に比べ震度5以上を記録した頻度が相対的に低く、Z=0.7とされました。ただし琉球海溝の巨大地震ポテンシャルが明らかになりつつあり、学界・自治体で見直し議論が続いています。

ZとRt・Ai・Coの違いは?

Z=地域係数(0.7-1.0、地域で決定)、Rt=振動特性係数(建物固有周期と地盤で決定、0.25-1.0)、Ai=高さ方向分布係数(層位置で決定、上層ほど大)、Co=標準せん断力係数(一次0.2/二次1.0)。全てを掛け合わせたCi=Z×Rt×Ai×Coが地震層せん断力係数となります。

Zは県全体で一律?

いいえ、多くは県全体で一律ですが、北海道・青森・福島・富山・石川・鳥取・徳島・香川・熊本・大分・鹿児島では市町村単位でZが異なります(告示は1980年当時の市郡で指定しているため、合併後の市では旧市町村単位で確認が要ります)。建設地の市町村を告示表で必ず確認してください。県境の建物では敷地内の位置でも異なる可能性があります。

2011年東北地震以降Z値は見直された?

本質的には見直されていません。告示第1793号は現在も有効で、東北地方のZは1.0のままです。ただし新耐震以前の建物の耐震診断・改修促進が加速し、実務ではZを超える性能設計を採用するケースが増えています。

官庁施設の重要度係数とは?

国土交通省の官庁施設の総合耐震計画基準による構造体の耐震安全性の分類(I類~III類)で、I類は1.5、II類は1.25、III類は1.0の重要度係数を地震力に乗じます。災害応急対策活動に必要な官庁施設などが対象です。

Z=0.7地域の建物は地震で危険?

告示Z値は建築基準法上の最低基準であり、告示通り設計された建物が直ちに危険というわけではありません。ただし想定外の地震(2010年沖縄近海地震等)への対応、投資家・保険会社の要求から、重要建築物ではZ=1.0で余裕設計する事例が増加しています。

耐震診断のIs値とZの関係は?

Is値は既存建築物の耐震指標で、Is≧0.6が耐震性ありの目安。Is算定にはCT(その建物の構造耐震指標×Z)を用い、地域係数Zが間接的に効きます。Z=0.7地域では相対的にIs値が同一構造でも高く算出される点に注意。

限界耐力計算でもZは使う?

使います。平成12年建設省告示第1457号の限界耐力計算法でも、地表面の地震動を規定する係数Gsに地域係数Zが乗じられ、損傷限界・安全限界の変位検討に用いられます。性能設計に移行しても地域係数の役割は残ります。

戸建て住宅でもZは関係する?

仕様規定(令46条の壁量計算)で設計する小規模木造では地域係数Zの明示的な適用は不要ですが、性能表示制度(耐震等級1-3)や長期優良住宅認定では告示Zに応じた地震力が計算されます。低Z地域の耐震等級3も、実質的な余力は大都市とは異なります。

Z値と地震保険料は関係する?

地震保険料は都道府県単位で異なりますが、算定は主に想定被害額(過去地震記録・地震動予測地図)ベースで、告示Z値と完全には一致しません。地震保険料表は損害保険料率算出機構が公表しています。

海外の地震地域係数と比較すると?

米国ASCE 7ではSs・S1(スペクトル加速度)による地域指定、欧州Eurocode 8ではag(基準地表面加速度)による地域係数、日本のZは0.7-1.0と幅が狭い点が特徴。海外は地震危険度がより細分化されており、日本のZ値運用の合理性も国際比較で議論されます。

南海トラフ地震のZ値への影響は?

南海トラフ地震想定域(東海・東南海・南海)ではZ=1.0ですが、内閣府中央防災会議の被害想定を踏まえ、実務ではZを超える性能設計・免震・制震の採用が推奨されています。愛知・静岡・和歌山・高知等では自治体の耐震化計画で告示以上を目標値としています。

免震・制震構造でもZは効く?

効きます。免震・制震装置の設計荷重の算定にも地域係数Zが介在します。上部構造の応答加速度・変位を予測する際の入力地震動レベルにZが乗じられ、装置サイズ・アイソレータ数の決定に影響します。

Z値が0.9や0.8になっている地域の具体例は?

Z=0.9は秋田・山形・新潟・島根・岡山・広島・愛媛・高知・宮崎の全域や北海道の札幌市・函館市など、Z=0.8は山口・福岡・佐賀・長崎・鹿児島(奄美を除く)の全域や北海道の旭川市・稚内市などです。北海道の道東(釧路・根室・帯広など)と鹿児島県の奄美(名瀬市・大島郡)はZ=1.0です。詳細は市町村別に告示表で確認する必要があり、国土交通省住宅局の技術基準解説書や日本建築行政会議の指針が実務標準です。

住宅の耐震等級とZの関係は?

住宅品質確保促進法の耐震等級1は建築基準法相当(Z含む告示基準の1倍)、等級2は1.25倍、等級3は1.5倍。長期優良住宅は等級2以上、フラット35Sの技術基準では等級2以上、地震保険割引でも等級で保険料割引率が変わります。

耐震改修と新築でZの取扱いは違う?

既存不適格建築物の耐震改修では、原則として現行のZ値・告示基準に適合させる方向で診断・改修を行いますが、既存部分の遡及範囲・改修計画の合理性は所管行政庁と事前協議します。増築・用途変更で全体遡及となる場合があるため、法適合性の判定は建築士・行政窓口の確認が必須です。