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電線サイズ選定電工負荷計算

電線サイズ選定 計算ツール|負荷電流→sq自動判定と内線規程解説

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単相/三相・電圧・電力・力率・敷設方法から負荷電流を算出し、電技解釈第146条の許容電流表(IV)に基づいて推奨電線サイズ(sq)・ブレーカ容量(A)を提案します。エアコン増設・IHクッキングヒーター・EV普通/急速充電器・厨房動力・工場動力配線の一次検討に。JIS C 3307(600Vビニル絶縁電線)・電気設備の技術基準の解釈 第146条・第148条・第149条の許容電流と保護のルールに沿った考え方を、電気工事士・電気主任技術者・設備設計者向けに解説します。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

電線サイズ選定(負荷電流→sq)ツール

計算式と前提条件

負荷電流の基本式

単相: I = P / (V × cosφ)

三相: I = P / (√3 × V × cosφ)

負荷電力P[W]を電源電圧V[V]と力率cosφで除して負荷電流I[A]を算出します。三相3線式では同じ電力・同じ線間電圧なら電流は単相の1/√3(約58%)になります。単相3線100/200Vは200Vの平衡負荷として計算しています。

本ツールの選定手順

①ブレーカ定格 ≧ I × 1.25 → ②電線の許容電流(146-2表の値 × 電流減少係数) ≧ ブレーカ定格

電線はIV(600Vビニル絶縁電線)・周囲温度30℃以下の許容電流(電技解釈第146条 146-2表)に、電線管に収めるときの電流減少係数(146-4表)を掛けた値で選びます。電線はそれを保護するブレーカの定格電流以上の許容電流が必要なため(第149条)、ブレーカを先に決めてから電線を選んでいます。1.25倍は、電動機等の定格電流の合計が50A以下の幹線に電技解釈第148条が求める係数と同じ余裕です(50A超は1.1倍)。HIV・CVや周囲温度が30℃を超える場合、電動機の始動電流、電圧降下は反映していないため、実際の選定では個別に確認してください。

力率の実務値

ヒーター等の純抵抗負荷はcosφ=1.0、モータ負荷は定格銘板の力率を使います。力率0.7と1.0では電流が約43%違い、電線サイズが1〜2ランク変わることがあります。

単相200V/三相200V 電線サイズ早見表(IV・電線管3本以下、cosφ=0.9)

上の計算機と同じ手順(ブレーカ ≧ I×1.25、IVの許容電流×0.70 ≧ ブレーカ定格)で求めた値です。

負荷kW単相200V(電流A)sq/ブレーカ三相200V(電流A)sq/ブレーカ
1kW5.6A2sq/15A3.2A2sq/15A
2kW11.1A2sq/15A6.4A2sq/15A
3kW16.7A5.5sq/30A9.6A2sq/15A
5kW27.8A8sq/40A16.0A5.5sq/30A
7.5kW41.7A14sq/60A24.1A8sq/40A
10kW55.6A22sq/75A32.1A14sq/50A
15kW83.3A60sq/125A48.1A22sq/75A
20kW111.1A60sq/150A64.2A38sq/100A
30kW166.7A150sq/225A96.2A60sq/125A

ブレーカの定格が段階的なため、たとえば単相200V・3kW(I×1.25=20.8A)では30Aのブレーカになり、電線も30Aを保護できる5.5sqになります。20Aのブレーカで保護できる負荷なら電線は2sqで足ります。これより大きい負荷や、HIV・CV・ケーブル配線は許容電流表と電圧降下で個別に選定してください。

IV/HIV/CV 許容電流表(周囲温度30℃以下・電流減少係数を掛ける前)

電技解釈第146条の146-2表(より線・軟銅線)の値に、146-3表の許容電流補正係数を掛けた値です。補正係数は周囲温度30℃以下で、IV(ビニル)√(60−30)/30=1.00、HIV(耐熱ビニル)√(75−30)/30≒1.22、CV(架橋ポリエチレン)√(90−30)/30≒1.41。小数点以下は切り捨てています。

公称断面積IV(60℃)HIV(75℃)CV(90℃)
2sq27A33A38A
3.5sq37A45A52A
5.5sq49A60A69A
8sq61A74A86A
14sq88A107A124A
22sq115A140A162A
38sq162A198A229A
60sq217A265A306A
100sq298A364A421A
150sq395A483A558A
200sq469A574A663A
250sq556A680A786A

ケーブルの布設方法(ケーブルラック・地中・多条敷設など)ごとの許容電流は内線規程やメーカー資料の表で確認してください。上の値は絶縁電線の基本値で、電線管に収めるときは次の電流減少係数を、周囲温度が30℃を超えるときは補正係数の式に実際の温度を入れて掛けます。

電流減少係数(同一管内の電線数)

絶縁電線を合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴに収めると相互加熱で許容電流が下がります。電技解釈第146条 146-4表の係数です。

同一管内の電線数電流減少係数
3以下0.70
40.63
5又は60.56
7以上15以下0.49
16以上40以下0.43
41以上60以下0.39
61以上0.34

周囲温度が30℃を超える場所では、146-3表の補正係数を実温度で計算します。IVは40℃で√(60−40)/30≒0.82、50℃で√(60−50)/30≒0.58、60℃では0(使用不可)です。HIVは40℃で√(75−40)/30≒1.08、CVは40℃で√(90−40)/30≒1.29(いずれも30℃以下の値からの比ではなく、146-2表の値に掛ける係数)。

電圧降下と長距離配線

電線サイズは許容電流だけでなく電圧降下でも制約を受けます。内線規程では、低圧配線の電圧降下は幹線・分岐回路それぞれ標準電圧の2%以下を原則とし、こう長が60mを超える場合は幹線と分岐回路の合計で緩和した値を示しています。

単相2線: e = 35.6 × L × I ÷ (1000 × A)

三相3線: e = 30.8 × L × I ÷ (1000 × A)

ここでeは電圧降下[V]、Lはこう長[m]、Iは電流[A]、Aは断面積[mm²]。許容電流では足りていても、配線が長いと電圧降下で太い電線が必要になります。詳細は電圧降下計算ツールを活用してください。

導体材質・被覆材料の選定

電線の性能は導体材質と絶縁被覆で大きく変わります。用途・環境に応じた選択が必要です。

種類導体絶縁体耐熱用途
IV軟銅塩化ビニル60℃屋内一般配線・分電盤内
HIV軟銅耐熱塩化ビニル75℃電線管ころがし・高温部
KIV軟銅より線塩化ビニル60℃制御盤内配線・可動部
CV(単心)軟銅架橋ポリエチレン+ビニルシース90℃幹線・地中埋設
CVT(3心)軟銅架橋ポリエチレン+ビニルシース90℃三相配電幹線
EM-IE(エコ電線)軟銅ノンハロゲンポリエチレン75℃公共建築・低毒性要求
耐火電線 FP軟銅マイカ+架橋ポリエチレン840℃×30分消火・非常用電源
耐熱電線 HP軟銅ケイ酸ガラス380℃×15分火災報知器・誘導灯
MIケーブル(無機絶縁)軟銅酸化マグネシウム製品による高温・耐火が必要な場所
アルミ電線アルミ各種各種大サイズ幹線・軽量化重視

業界・場面別使い方

エアコン・IHの増設

機器の定格電流(銘板・据付説明書)を確認し、メーカーが指定するブレーカ容量・電線太さに従います。専用回路が求められる機器は分岐回路を新設し、主幹容量(契約アンペア)も見直します。

EV普通充電

単相200V・3kWで約15A、6kWで約30A。充電器は長時間連続で定格電流を流すため、メーカーの施工要領に従い、専用回路・漏電遮断器・電圧降下を確認します。

工場動力・モータ

電動機の幹線は電技解釈第148条(定格電流合計の1.25倍・50A超は1.1倍)、分岐回路は第149条、ブレーカは始動電流で不要動作しないものを選びます。モータの電流は力率・効率で変わるため、銘板の定格電流を使ってください。

厨房・給湯機器

同時に使う機器を想定し、需要率を掛けた負荷で幹線を決めます。各機器の分岐回路は機器ごとの定格電流で選定します。

データセンター・サーバルーム

UPS・PDUの定格電流で選定し、冗長化の系統構成に合わせて配線します。高調波を含む負荷では中性線電流が増えることがあるため、中性線の太さも確認します。

ソーラー発電・蓄電池

パワコンのAC出力電流と、DC側(モジュール・蓄電池)の電流の両方で電線を選びます。系統連系の保護装置の整定も伴います。

EV充電・太陽光配線の電流の目安

定格出力と電圧から求めた電流です(力率1.0)。電線・ブレーカは上の計算機に敷設方法を入れて確かめ、機器メーカーの施工要領を優先してください。

設備定格相/電圧電流
普通充電コンセント3kW単相200V15A
普通充電スタンド6kW単相200V30A
急速充電50kW三相400V約72A(入力側は効率分増える)
PVパワコン(住宅)5.9kW単相200V約30A
PVパワコン(産業)50kW三相400V約72A

急速充電器は受電設備・変圧器の容量が別途必要になることが多く、電気主任技術者・電力会社との協議が前提です。

よくある間違い・注意点

  • 力率を1.0で計算 — モータ負荷の力率を無視すると電流を過小評価し、電線・ブレーカが不足します。定格銘板の力率・定格電流を確認しましょう。
  • ブレーカより細い電線を使う — 電線の許容電流はそれを保護する過電流遮断器の定格電流以上が原則です(電技解釈第149条)。ブレーカを大きくしたら電線も見直します。
  • 電線管の電流減少係数の無視 — 同一管内に3本以下でも0.70、5〜6本で0.56を掛けます(146-4表)。空気中と同じ許容電流で選ぶと発熱します。
  • 周囲温度補正の見落とし — IVは周囲50℃で許容電流が約0.58倍、60℃では使えません(146-3表)。高温の場所は耐熱性の高い電線を選び、実温度で補正します。
  • 電圧降下だけ・許容電流だけで判定 — 短距離では許容電流、長距離では電圧降下で決まることが多く、両方を満たす太さを選びます。
  • 始動電流を無視 — モータの始動電流は定格の数倍になり、ブレーカが不要動作することがあります。電動機用の遮断器・始動方式を検討します。
  • 接地線の太さを確認しない — 接地線の最小太さは接地工事の種類(電技解釈第17条)と、内線規程の過電流遮断器の定格に応じた表で決まります。

関連する規格・法令

  • 電気設備に関する技術基準を定める省令 第57条・電気設備の技術基準の解釈 第146条〜第149条 ― 低圧電線の許容電流(146-2表〜146-4表)、幹線・分岐回路の施設。経済産業省。
  • 内線規程JEAC 8001 ― 日本電気協会が発行する需要場所の電気設備の設計・施工の民間規程。電圧降下・接地線の太さ・電線管の太さなど。
  • 電気事業法 第39条・第43条 ― 事業用電気工作物の技術基準適合維持、電気主任技術者の選任。
  • 電気工事士法 ― 一般用電気工作物の工事は第一種・第二種電気工事士、自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の工事は第一種電気工事士(簡易電気工事は認定電気工事従事者も可)。
  • JIS C 3307 ― 600Vビニル絶縁電線(IV)。
  • JIS C 3317 ― 600V二種ビニル絶縁電線(HIV)。
  • JIS C 3605 ― 600Vポリエチレンケーブル(600V CVなど)。
  • JIS C 3606 ― 高圧架橋ポリエチレンケーブル。
  • IEC 60364 ― 低圧電気設備の国際規格。

参考文献・公的資料

設計・施工判断は最新の一次資料に基づく必要があります。以下は電気工事士・電気主任技術者・設備設計者が日常参照する公的機関・学会のリンクです。

※本ページの計算結果および推奨サイズは概算値です。実施工は最新版の電気設備の技術基準(電技解釈)・内線規程JEAC 8001・JIS規格に基づき、電気工事士・電気主任技術者・電気施工管理技士等の有資格者による設計・施工判断を優先してください。特殊環境(危険場所・高温・多湿・化学腐食・電磁ノイズ)、高調波・不平衡負荷を伴う場合は個別評価が必須です。

よくある質問(FAQ)

単相と三相で電線サイズが違うのはなぜ?

同じ電力・同じ線間電圧なら、三相3線の電流は単相の1/√3(約58%)です。例えば10kW・cosφ0.9なら単相200Vで55.6A、三相200Vで32.1Aで、本ツールの条件(IV・電線管3本以下)では単相22sq、三相14sqになります。

1.25倍の余裕の根拠は?

電技解釈第148条は、低圧幹線に接続する電動機等の定格電流の合計が他の機器の合計より大きい場合、電線の許容電流を電動機等の定格電流合計の1.25倍(50A超は1.1倍)以上とするよう定めています。本ツールはこの係数を一律の余裕として使い、さらに電線の許容電流をブレーカ定格以上にしています(第149条)。

力率が悪いと何が問題ですか?

同じ有効電力でも電流が増え、電線の発熱・電力損失が増えます。高圧受電の需要家では進相コンデンサで力率を改善し、電気料金の力率割引を受けるのが一般的です。

EV充電器の電線サイズはどう選ぶ?

普通充電6kW(単相200V)は約30Aです。本ツールの条件(IV・電線管3本以下)では、ブレーカ40A・電線8sqになります。実際は充電器メーカーが指定するブレーカ容量・電線太さ・漏電遮断器に従い、長い配線は電圧降下も確認してください。急速充電器は受電設備の容量の検討が必要です。

三相200Vと400Vはどう使い分けますか?

同じ電力なら400Vは200Vの半分の電流で済み、電線を細くできます。大型の設備・幹線で使われます。交流600V以下は「低圧」(電気設備に関する技術基準を定める省令第2条)ですが、400V級は200V級より感電・アークの危険が大きく、保護・保安の対策が必要です。

電線の許容電流と電圧降下、どちらが優先?

両方を満たす必要があります。短距離配線では許容電流で、長距離配線では電圧降下で決まることが多くなります。内線規程では幹線・分岐回路それぞれ標準電圧の2%以下を原則としています。

IVとHIVとCV、どれを使えばいい?

IV(最高許容温度60℃)は屋内の一般配線、HIV(75℃)は許容電流を大きくとりたい場合や高温部、CV(90℃)はケーブルとして幹線・地中埋設などに使います。周囲30℃以下の許容電流はIVを1とすると、HIVは約1.22倍、CVは約1.41倍です(電技解釈146-3表)。

ブレーカ選定の考え方は?

ブレーカの定格電流は負荷電流以上で、かつ電線の許容電流以下とします(電技解釈第149条)。本ツールはI×1.25以上の定格を選び、その定格以上の許容電流を持つ電線を選んでいます。定格遮断容量(kA)は設置点の短絡電流以上が必要です。

接地線のサイズは?

接地工事の種類ごとの最小太さは電技解釈第17条(例:C種・D種は直径1.6mm以上の軟銅線など)、機器の接地線の太さは内線規程で過電流遮断器の定格電流に応じた表で定められています。B種接地は変圧器の容量などから決まります。

周囲温度が高い環境では?

146-2表の値に、146-3表の補正係数(IV: √(60−θ)/30、HIV: √(75−θ)/30、CV: √(90−θ)/30、θは周囲温度・30℃以下は30)を掛けます。IVは40℃で約0.82、50℃で約0.58、60℃では0になります。高温の場所では耐熱性の高い電線を選びます。

並列配線(パラレル)はいつ使う?

1本の電線では許容電流が足りない大電流回路などで、同じ太さ・同じ材質・同じ長さの電線を並列にします。並列に使える条件(太さの下限・接続方法など)は電技解釈・内線規程で定められているため、該当条文を確認してください。

電線ダクト・ケーブルラックの本数制限は?

電線管に収める電線の本数・太さに応じた管の太さや、ダクトに収める電線の断面積の割合は内線規程で定められています。多条敷設では許容電流も下がるため、電流減少係数を掛けて選定します。