圧縮空気の露点・ドレン量計算
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
吸込空気の温度・湿度と吐出圧・冷却後の温度を入れると、アフタークーラで発生するドレン量、圧縮後の圧力下露点、そして目標露点の圧力下↔大気圧の換算を算出します。ドライヤ選定とドレン処理の容量検討に使います。
圧縮空気の露点・ドレン量計算ツール
計算式
空気が保持できる水分量は温度で決まる飽和水蒸気圧 es(0℃以上は es=0.61078×exp(17.27T/(T+237.3)) kPa、0℃未満は氷面の係数 21.875 と 265.5)から、乾き空気1kg あたりの水分比 w=0.622×e/(P−e) で求めます。吸込 30℃・70% では e=2.970kPa、w=18.8g/kg。0.7MPa(絶対圧 801.3kPa)に圧縮して 35℃ に冷やすと保持できる上限は 0.622×5.622/(801.3−5.622)=4.39g/kg に落ち、差の 14.4g/kg が水として出ます。
吸込 1m³/min の乾き空気は 1.130kg/m³×60=67.8kg/h なので、ドレンは 67.8×0.0144=0.98L/h、8時間で 7.8L です。圧力下露点を大気圧露点に直すには、同じ水分比の空気を大気圧に戻したときの露点を求めます。0.7MPa で圧力下露点 10℃ の空気は大気圧露点 −15.6℃ に相当します。
圧力下露点と大気圧露点の対応(吐出圧 0.7MPa)
| 圧力下露点 | 大気圧露点 | 到達できる主な除湿方式 |
|---|---|---|
| +10℃ | −15.6℃ | 冷凍式ドライヤ(夏場の高負荷時) |
| +3℃ | −20.7℃ | 冷凍式ドライヤ(定格) |
| 0℃ | −22.9℃ | 冷凍式の限界付近(凍結の恐れ) |
| −20℃ | −39.7℃ | 吸着式(ヒートレス)・膜式 |
| −40℃ | −56.8℃ | 吸着式(ヒートレス・ヒータ再生) |
圧力による違い(圧力下露点 3℃ の空気を大気圧に戻したとき)
| 吐出圧(ゲージ) | 大気圧露点 | 意味 |
|---|---|---|
| 0.5MPa | −17.7℃ | 圧力が低いほど膨張後の露点は高い |
| 0.7MPa | −20.7℃ | 一般的な工場空気 |
| 1.0MPa | −24.0℃ | 高圧ほど同じ圧力下露点でも乾いている |
吸込条件別のドレン量(吸込 1m³/min・0.7MPa・出口 35℃)
| 吸込条件 | 吸込空気の水分 | ドレン量 | 8時間あたり |
|---|---|---|---|
| 20℃・60%(春秋) | 8.7g/kg | 0.31L/h | 2.5L |
| 30℃・70%(夏) | 18.8g/kg | 0.98L/h | 7.8L |
| 35℃・80%(真夏の機械室) | 28.9g/kg | 1.61L/h | 12.9L |
※本ツールは理論式による参考計算です。機器の選定は各メーカーのカタログ値と安全率、および JIS・ISO と労働安全衛生法令の要求事項に従ってください。
圧縮空気の露点・ドレン量計算の詳しい解説
圧縮空気に水が出るのは、空気を圧縮すると体積が縮むのに水蒸気の絶対量は変わらないからです。大気圧で 1m³ の空気に含まれていた水蒸気は、0.7MPa まで圧縮すると約8分の1の体積に押し込められ、同じ温度で保持できる上限を超えた分が凝縮します。吸込空気の温度と湿度が高い夏場ほど持ち込む水分が多く、既定値の 30℃・70% では乾き空気 1kg あたり 18.8g の水蒸気を含んでいますが、0.7MPa・35℃ で保持できるのは 4.4g までなので、差の 14.4g が水として出てきます。吸込 1m³/min の小型機でも 1時間に 1L 近く、真夏の機械室では 1.6L に達し、ドレントラップの容量とドレン処理装置の選定はこの値が基準になります。
露点には2つの表し方があり、混同すると発注を間違えます。圧力下露点は圧縮された状態のまま冷やしたときに結露が始まる温度で、配管の中で水が出るかどうかを判断する実務的な指標です。大気圧露点は同じ空気を大気圧まで膨張させたときの露点で、計測器の仕様や品質規格ではこちらが使われます。同じ空気でも大気圧に戻せば水蒸気は薄まるので、大気圧露点は圧力下露点より必ず低くなり、0.7MPa では圧力下露点 3℃ が大気圧露点 −21℃ に相当します。ドライヤのカタログが「圧力下露点 3℃」と書いているのに、規格が「大気圧露点 −20℃ 以下」と要求している場合、両者はほぼ同じ性能を指しています。
アフタークーラは圧縮直後の 80〜150℃ の空気を常温近くまで冷やして最初のドレンを落とす装置で、出口温度が圧力下露点になります。出口が 35℃ なら、その後の配管が 35℃ より冷える場所で必ず結露します。屋外配管や冬の工場でドレンが出るのはこのためで、冷凍式ドライヤは圧力下露点を 3〜10℃ まで下げ、配管の温度がそれより下がらない限り水を出さない状態を作ります。吸着式は −20〜−40℃ まで下げられ、塗装・食品・計装用や屋外の凍結対策で使われます。冷凍式で 0℃ 以下を狙うと熱交換器内で凍結するため、それ以下が必要なら吸着式か膜式に切り替えます。
ドレン量の計算では乾き空気の質量で考えるのが正確です。水蒸気は乾き空気 1kg あたりの比率(水分比)で持ち歩き、圧縮しても質量は変わらないので、吸込状態の水分比と冷却後の飽和水分比の差に乾き空気の質量流量を掛ければ凝縮量が出ます。圧力が高いほど飽和水分比は小さくなり、同じ出口温度でもドレンは増えます。逆に吐出圧を下げる省エネは、ドレンを減らす効果も持ちます。夏冬で吸込条件が大きく変わるので、ドレン処理装置は真夏の条件で、ドライヤは負荷の高い条件で余裕を見て選ぶのが定石です。
実務上の注意点は測定条件の明示です。露点計の表示が圧力下か大気圧かで数字は 20℃ 以上ずれ、圧力の値によっても換算結果は変わります。品質等級を扱う ISO 8573-1(JIS B 8392-1)は湿度のクラスを大気圧露点で定義しているので、圧力下露点で管理している現場では、このページの換算で規格上のクラスに読み替えてください。また、飽和水蒸気圧の式は近似式で、0℃ 付近で水面と氷面の切り替えがあるため、境界付近では 0.5℃ 程度の差が出ることがあります。
別の条件での計算例
吸込 20℃・60%・5m³/min の中型機を 0.7MPa で運転し、アフタークーラ出口が 40℃ の場合を見ます。吸込空気の水分比は 8.73g/kg、40℃・0.7MPa で保持できる上限は 5.78g/kg なので、乾き空気 356kg/h に対してドレンは 356×(0.00873−0.00578)=1.05L/h、8時間で 8.4L です。同じ空気を冷凍式ドライヤで 30℃ まで冷やせば上限は 3.31g/kg に下がり、ドライヤ側でさらに 356×(0.00578−0.00331)=0.88L/h が凝縮します。アフタークーラとドライヤのドレンを合計すると 1.93L/h で、出口温度を 10℃ 下げるだけで回収する水の量がほぼ倍になることが分かります。ドレン処理装置はこの合計値で、しかも真夏の吸込条件で選びます。
業界・現場での使い方
ドライヤの選定
目標の圧力下露点を大気圧露点に換算して規格のクラスと照合し、冷凍式で足りるか吸着式が要るかを判断します。
ドレン処理装置の容量検討
真夏の吸込条件でのドレン量から、ドレントラップの排出能力と油水分離器の処理量を決めます。
塗装・食品・計装ラインの品質管理
露点計の表示が圧力下か大気圧かを明示し、ISO 8573-1 の湿度クラスに読み替えて管理します。
屋外・寒冷地配管の凍結対策
配管の最低温度が圧力下露点を下回ると結露・凍結します。必要な露点から吸着式の要否を判断します。
よくある間違い・注意点
- 圧力下露点と大気圧露点を混同する — 同じ空気でも 20℃ 以上違います。0.7MPa で圧力下露点 3℃ は大気圧露点 −20.7℃ です。
- アフタークーラがあればドレンは出ないと思う — 出口温度が圧力下露点になるので、それより冷える配管では必ず結露します。
- 冬の条件でドレン処理を選ぶ — 真夏はドレン量が春秋の3〜5倍になります。最悪条件で容量を決めます。
- 冷凍式で 0℃ 以下を狙う — 熱交換器が凍結します。−20℃ 以下が必要なら吸着式か膜式です。
- 体積で水分を数える — 圧縮で体積は変わりますが乾き空気の質量は変わりません。水分比(g/kg)で計算します。
関連する規格・公的資料
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS規格の検索と閲覧。空気圧・油圧の各規格番号はここで確認できる
- 日本フルードパワー工業会(JFPA) — 油圧・空気圧機器の業界団体。技術資料と機器の安全基準
- 日本フルードパワーシステム学会 — 油空圧の学術団体。基礎理論と最新の研究
- ISO(国際標準化機構) — ISO 6358・ISO 15552・ISO 3320 などの原規格
- 厚生労働省 — 労働安全衛生法と圧力容器・空気圧機器の安全規制
- e-Gov 法令検索 — ボイラー及び圧力容器安全規則・労働安全衛生法施行令の条文
- 高圧ガス保安協会(KHK) — 高圧ガス保安法の解説。1MPa以上の圧縮ガスの扱い
- 産業技術総合研究所 計量標準総合センター — 圧力・流量・温湿度の国家計量標準
- 日本機械学会 — 流体工学・機械設計の学術資料
- 日本規格協会(JSA) — JIS規格票の発行と規格の解説
- 労働安全衛生総合研究所 — 産業安全の研究機関。機械災害の防止
- 経済産業省 — 産業保安と省エネルギー施策。コンプレッサの省エネ指針
- ISO 8573-1(圧縮空気の汚染物質と清浄等級) — 湿度クラスを大気圧露点で定義。品質管理の基準
- JIS B 8392-1(圧縮空気 第1部 汚染物質及び清浄等級) — ISO 8573-1 に対応する国内規格
- 気象庁(湿度・露点の基礎) — 飽和水蒸気圧と露点の定義
- JIS B 8370(空気圧システム通則) — 空気の調質を含むシステムの一般規則
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
ドレンはどのくらい出ますか?
既定値の吸込 30℃・70%・1m³/min・0.7MPa・出口 35℃ で 0.98L/h、8時間で 7.8L です。真夏の機械室では1.6L/h に増えます。
圧力下露点と大気圧露点の違いは?
圧力下露点は圧縮状態のままの結露温度、大気圧露点は大気圧に戻したときの結露温度です。後者が必ず低くなります。
圧力下露点 10℃ は大気圧露点で何℃ですか?
0.7MPa なら −15.6℃ です。3℃ なら −20.7℃ に相当します。
冷凍式ドライヤでどこまで下げられますか?
圧力下露点で 3〜10℃ が実用範囲です。0℃ 以下は凍結するため吸着式か膜式を使います。
アフタークーラ出口の圧力下露点は?
凝縮が起きていれば出口温度と同じです。既定値では 35℃ で、それより冷える配管では結露します。
夏と冬でどのくらい違いますか?
20℃・60% では 0.31L/h、35℃・80% では 1.61L/h と約5倍の差があります。
吐出圧を下げるとドレンは減りますか?
減ります。圧力が低いほど空気が保持できる水分が増え、凝縮する量が少なくなります。
ISO 8573-1 の湿度クラスはどちらの露点ですか?
大気圧露点です。圧力下露点で管理している場合は換算して読み替えます。
露点計の値がカタログと合わないのはなぜですか?
圧力下と大気圧の表示の違い、測定圧力の違い、サンプリング配管での温度変化が主な原因です。