防じんマスクの等級選定
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
作業環境の粉じん濃度と目標濃度から必要な防護係数を計算し、それを満たすマスクの型式を判定します。捕集効率99.9%でも防護係数は50倍です。固体と液体の粒子の違い、フィットテストの必要性も表示します。
防じんマスクの等級選定ツール
必要な防護係数
マスクの性能は防護係数で表します。外側の濃度を内側の濃度で割った値で、大きいほど守られます。
必要防護係数 = 作業環境の濃度 ÷ 目標とする内側の濃度
粉じん濃度10 mg/m³ の場所で、目標を0.5 mg/m³ にしたいなら、必要な防護係数は 20倍 です。
型式の読み方
防じんマスクの型式は3文字で表されます。1文字目が形式(R=取替え式、D=使い捨て式)、2文字目が対象粒子(S=固体のみ、L=液体も可)、3文字目が等級(1・2・3)です。
RS2 = 取替え式・固体粒子用・等級2
等級は捕集効率を表し、1が80%、2が95%、3が99.9% です。ただし実際に使えるのは指定防護係数で、取替え式のRS2/RL2 が10、RS3/RL3 が50、使い捨て式のDS2/DS3 は10 です。捕集効率が99.9%でも、顔とのすき間から漏れるため防護係数はそこまで上がりません。
型式と指定防護係数
| 型式 | 形式 | 粒子 | 捕集効率 | 指定防護係数 |
|---|---|---|---|---|
| DS1 / DL1 | 使い捨て式 | 固体/液体も | 80%以上 | 4 |
| DS2 / DL2 | 使い捨て式 | 固体/液体も | 95%以上 | 10 |
| DS3 / DL3 | 使い捨て式 | 固体/液体も | 99.9%以上 | 10 |
| RS1 / RL1 | 取替え式 | 固体/液体も | 80%以上 | 4 |
| RS2 / RL2 | 取替え式 | 固体/液体も | 95%以上 | 10 |
| RS3 / RL3 | 取替え式 | 固体/液体も | 99.9%以上 | 50 |
※指定防護係数は正しく装着した場合の値です。実際の値は装着状態に大きく左右されます。
S と L の違い
| 記号 | 対象 | 使える作業 | 使えない作業 |
|---|---|---|---|
| S(固体) | 固体粒子のみ | 研削・はつり・木工・粉体の取扱い | 塗装・オイルミスト |
| L(液体も) | 固体+液体粒子 | S の用途すべて+塗装・ミスト | — |
※L は S の用途も兼ねます。迷ったら L を選べば間違いありません。
濃度から選ぶ目安
| 外側の濃度 | 目標0.5 mg/m³ に必要な係数 | 選ぶ型式 |
|---|---|---|
| 2 mg/m³ | 4倍 | DS1 / RS1 以上 |
| 5 mg/m³ | 10倍 | DS2 / RS2 以上 |
| 10 mg/m³ | 20倍 | RS3(取替え式が必要) |
| 25 mg/m³ | 50倍 | RS3 |
| 50 mg/m³ | 100倍 | 電動ファン付き(PAPR) |
※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。保護具と揚重は人命に直結します。このツールは選定の見当をつけるための概算であり、製品ごとに規格値も使用条件も異なります。最終的な判断は、メーカーの取扱説明書と、作業主任者など有資格者の確認によってください。法令の適用については所轄の労働基準監督署にご相談ください。
防じんマスクの等級選定の詳しい解説
防じんマスクの選定で最も誤解されているのが、捕集効率と防護係数は別物だということです。等級3のフィルターは99.9%の粒子を捕らえますが、それはフィルターを通った空気の話です。実際には顔とマスクのすき間からも空気が入ります。この漏れ込みを含めた実力が指定防護係数で、RS3 でも50倍、DS3 に至っては10倍にとどまります。
なぜ使い捨て式のDS3 が、同じ捕集効率のRS3 より低いのか。顔への密着の確実さが違うからです。取替え式は面体がゴムなどでできていて、ひもの締め具合で密着を調整できます。使い捨て式は形が固定されているため、顔の形によっては必ずすき間ができます。フィルターの性能をいくら上げても、この経路は塞げません。
だからフィットテストが重要になります。実際に装着した状態で、どれだけ漏れ込んでいるかを測る試験です。金属アーク溶接等作業では年1回の実施が義務づけられました。結果は個人差が大きく、同じマスクでも人によって防護係数が何倍も違います。ひげがあると密着せず、防護係数は大きく下がります。眼鏡のつるを挟む、タオルを首に巻いてマスクの下に入れる、といった行為も同じです。
S と L の区別も実務では間違えやすい点です。S は固体粒子専用で、油を含むミストに使うとフィルターが目詰まりするどころか、捕らえた粒子が通り抜けてしまうことがあります。塗装作業やオイルミストのある環境では必ず L を選びます。L は S の用途も兼ねるので、種類を絞りたいなら L に統一するのが確実です。
交換の目安も型式で違います。使い捨て式は原則1日で交換します。1日使ったフィルターは粉じんが詰まり、呼吸抵抗が上がって漏れ込みが増えるからです。取替え式はろ過材だけを交換し、面体は清掃して繰り返し使います。息苦しさを感じたら、それは交換のサインです。我慢して使い続けると、抵抗が大きいぶんすき間からの漏れが増え、かえって危険になります。
限界も知っておく必要があります。防じんマスクは空気をろ過する道具なので、酸素が足りない場所では使えません。酸素濃度18%未満のタンク内やピットでは、送気マスクか空気呼吸器が必要です。また、必要な防護係数が50を超える環境では、防じんマスクでは対応できません。電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)は面体内を陽圧に保つため、漏れ込みの方向が逆になり、はるかに高い防護係数が得られます。
業界・現場での使い方
作業環境測定の結果からの選定
測定した粉じん濃度と管理濃度から、必要な型式を決めます。
保護具の統一
複数の作業がある現場で、どの型式に統一すれば足りるかを判断します。
PAPR 導入の判断
必要防護係数が50を超える作業を洗い出し、電動ファン付きの必要性を検討します。
安全教育
捕集効率と防護係数の違いを数字で示し、正しい装着の重要性を伝えます。
購買の検討
S と L、取替え式と使い捨て式の使い分けから、在庫する品目を決めます。
よくある間違い・注意点
- 捕集効率を防護係数と混同する — 99.9%のフィルターでも指定防護係数は50倍です。漏れ込みがあるためです。
- S を塗装作業に使う — 液体粒子には L が必要です。S では捕らえた粒子が通り抜けることがあります。
- ひげがあるまま使う — 密着せず防護係数が大きく下がります。フィットテストで確認してください。
- 酸素欠乏の場所で使う — ろ過するだけなので酸素は増えません。送気マスクか空気呼吸器が必要です。
- 息苦しくても使い続ける — 抵抗が上がるとすき間からの漏れが増えます。交換のサインです。
関連する規格・公的資料
- 厚生労働省 — 労働安全衛生法・規則と保護具の規格
- 厚生労働省 墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン — フルハーネスの使用基準
- e-Gov 法令検索(労働安全衛生規則) — 墜落防止・保護具・玉掛けの条文
- 独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 — 保護具と災害防止の研究
- 中央労働災害防止協会 — 保護具の選定と使用の手引き
- 公益社団法人 建設業労働災害防止協会 — 建設現場の安全衛生
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS T 8165 墜落制止用器具など保護具の規格
- 日本規格協会(JSA) — JIS 規格票の発行
- 公益社団法人 日本保安用品協会 — 保護具の正しい使い方
- 一般社団法人 日本クレーン協会 — 玉掛けと揚重作業の技術資料
- 国際標準化機構(ISO) — ISO 13997 耐切創性の試験方法など
- 一般社団法人 仮設工業会 — 仮設機材と安全帯の認定
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省) — 災害事例と化学物質の情報
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
必要な防護係数はどう計算しますか?
作業環境の濃度を目標濃度で割ります。10 mg/m³ を0.5 にしたいなら20倍です。
DS2 と RS2 の違いは?
D が使い捨て式、R が取替え式です。指定防護係数はどちらも10ですが、RS3 は50、DS3 は10です。
S と L はどう使い分けますか?
S は固体粒子専用、L は液体も可です。塗装やオイルミストには L が必要です。
捕集効率99.9%なら安全ですか?
フィルターの性能です。顔とのすき間から漏れるため、指定防護係数は50倍にとどまります。
フィットテストは必要ですか?
金属アーク溶接等作業では年1回の実施が義務です。他の作業でも実施が望まれます。
ひげがあっても使えますか?
密着しないため防護係数が大きく下がります。剃るか、面体に依存しない保護具を使います。
使い捨てマスクは何日使えますか?
原則1日です。息苦しさを感じたら時間内でも交換します。
酸素欠乏の場所で使えますか?
使えません。空気をろ過するだけで酸素は増えません。送気マスクが必要です。
防護係数が50を超えるときは?
電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)や送気マスクを検討します。
迷ったらどれを選べばよいですか?
L は S の用途も兼ねるので、迷ったら L の取替え式を選ぶと確実です。