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歯車減速比動力伝達機械設計

歯車列の減速比と回転数・トルクの計算

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各段の駆動歯車と従動歯車の歯数を入れると、全体の減速比、出力側の回転数とトルク、段ごとの回転数を計算します。効率を考えた実際のトルクと損失、回転の向き、目標の減速比に近い歯数の組み合わせも出します。

最終更新:2026-09-19/監修:計算ツールズ編集部

歯車列の減速比と回転数・トルクの計算ツール

減速比は歯数の比の積

1段の歯車のかみ合いでは、回転数は歯数に反比例します。歯数の多い歯車ほどゆっくり回ります。

1段の減速比 = 従動歯車の歯数 ÷ 駆動歯車の歯数

多段にしたときは、各段の比を掛け合わせます。既定値の「20→60、15→45」なら 3×3=9 です。入力1500 rpm なら出力は 166.67 rpm になります。

全体の減速比 = 各段の比の積 / 出力回転数 = 入力回転数 ÷ 全体の減速比

トルクは減速比の分だけ増える

回転数が下がる代わりにトルクは増えます。これが減速する目的です。ただし摩擦などで損失があるため、理論値そのままにはなりません。

出力トルク = 入力トルク × 減速比 × 効率^段数

入力10 N·m、減速比9、1段の効率97%なら、0.97²=0.9409 を掛けて 84.68 N·m です。効率100%なら90 N·m ですから、5.32 N·m が熱として失われます。段数が増えるほど効率は累乗で効いてくるので、同じ減速比なら段数は少ないほうが有利です。

回転の向き

外歯車どうしがかみ合うと回転の向きが逆になります。段数が奇数なら入力と逆向き、偶数なら同じ向きです。向きを揃えたいだけのためにアイドラ歯車を1枚入れることがありますが、このとき減速比は変わりません。

歯数の組み合わせと減速比

駆動従動減速比1500 rpm のときトルク倍率
20201.0001,500 rpm1.0倍
20301.5001,000 rpm1.5倍
20402.000750 rpm2.0倍
20603.000500 rpm3.0倍
15604.000375 rpm4.0倍
12605.000300 rpm5.0倍

段数と総合効率(1段97%の場合)

段数総合効率減速比9のときの出力トルク(入力10 N·m)
1段97.0%87.30 N·m
2段94.1%84.68 N·m
3段91.3%82.13 N·m
4段88.5%79.65 N·m
5段85.9%77.24 N·m

※同じ減速比なら段数は少ないほうが効率で有利です。ただし1段で大きな比をとると歯車が大きくなります。

歯車の種類と目安の効率

種類1段あたりの効率1段でとれる比の目安特徴
平歯車97〜99%1〜6基本。軸方向の力が出ない
はすば歯車96〜99%1〜6静かで強いが軸方向の力が出る
かさ歯車95〜98%1〜5軸の向きを変える
ウォームギヤ40〜90%10〜601段で大減速。効率が低い
遊星歯車96〜98%3〜10同軸でコンパクト

※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。本ツールは基本式による参考計算です。実際の設計では衝撃・起動停止の頻度・環境・メーカーの選定資料に従ってください。安全にかかわる部位はメーカーの技術資料と有資格者の確認が必要です。

歯車列の減速比と回転数・トルクの計算の詳しい解説

歯車を使う目的は、たいていの場合「速すぎる回転を遅くして、代わりにトルクを増やす」ことです。モータは高速で回すほど小さく軽く作れますが、実際に動かしたい機械はゆっくり大きな力で動かしたい。この差を埋めるのが減速機で、その中身が歯車列です。

計算そのものは単純で、歯数の比を掛けていくだけです。20枚の歯車が60枚の歯車を回せば、60枚のほうは3分の1の速さで回ります。歯が1枚ずつ順に噛んでいくので、歯数の比がそのまま回転数の比になります。これを多段に重ねれば、比は掛け算で増えていきます。20→60 と 15→45 の2段なら3×3で9倍の減速です。

ここで見落とされやすいのが効率の効き方です。1段あたりの効率が97%なら、2段では0.97×0.97=94.1%、5段では85.9%になります。段を重ねるほど損失は累乗で膨らみます。同じ減速比を得るなら、段数は少ないほうが有利です。ただし1段で大きな比をとろうとすると従動歯車が大きくなり、装置が収まらなくなります。この兼ね合いで段数を決めることになります。

失われたエネルギーは熱になります。入力1.57 kW で総合効率94.1%なら、約0.09 kW が熱です。小さく見えますが、密閉された減速機の中では油温の上昇につながります。連続運転する機械で油温が上がりすぎると潤滑油の粘度が落ち、さらに摩耗が進むという悪循環に入ります。効率の計算は、トルクの確認だけでなく放熱の検討にもつながっています。

ウォームギヤは効率の話でとくに注意が要ります。1段で10〜60という大きな減速比がとれる便利な機構ですが、効率が40〜90%と幅広く、減速比が大きいほど悪くなります。効率が50%を切るような選定では、入力の半分以上が熱になります。その代わり逆転しにくい(セルフロック)という性質があり、停電時に荷が落ちては困る昇降装置などでは、この性質を積極的に使います。効率の悪さが安全側に働く珍しい例です。

回転の向きも設計では地味に重要です。外歯車どうしが噛むたびに向きが反転するので、段数が奇数なら入力と逆、偶数なら同じ向きになります。向きを合わせるためだけに歯車を1枚足すことがあり、これをアイドラ歯車と呼びます。アイドラは駆動側にも従動側にも同じ歯数比で関わるため、減速比には影響しません。向きだけを変えたいときの定石です。

最後に歯数の選び方について。同じ減速比でも歯数の組み合わせは何通りもありますが、互いに素になる組み合わせを選ぶのが定石です。20と60のように公約数が大きいと、同じ歯どうしが繰り返し噛み合うため、片減りが特定の歯に集中します。20と61のように素にしておけば、噛み合う相手が毎回ずれていき、摩耗が均されます。このツールが目標の減速比に近い組み合わせを複数出すのは、こうした選択の余地を見せるためです。

業界・現場での使い方

搬送装置の設計

モータの回転数と必要な搬送速度から、必要な減速比と歯数の組み合わせを決めます。

既存機械の改造

搬送速度を変えたいとき、歯車を何枚のものに替えればよいかを逆算します。

減速機の選定

必要なトルクに対し、効率を含めても足りるかを段数を変えて確かめます。

モータ容量の検討

出力側で必要なトルクから、入力側に必要なトルクと動力を求めます。

発熱の見積もり

損失として熱になる量を計算し、減速機の放熱や潤滑の検討につなげます。

よくある間違い・注意点

  • 効率を考えずにトルクを見積もる — 2段で約6%、5段で約14%減ります。余裕がないと動きません。
  • 段数を増やしても損失は同じだと思う — 効率は段数の累乗で効きます。同じ比なら段数は少ないほうが有利です。
  • アイドラで減速比が変わると思う — 向きを変えるだけで、減速比には影響しません。
  • 公約数の大きい歯数を選ぶ — 同じ歯どうしが繰り返し噛み、片減りが集中します。互いに素にするのが定石です。
  • ウォームギヤの効率を平歯車と同じに見る — 40〜90%と幅があり、減速比が大きいほど悪くなります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

減速比はどう計算しますか?

従動歯車の歯数を駆動歯車の歯数で割ります。多段なら各段の比を掛け合わせます。

トルクは減速比の分だけ増えますか?

理論上は増えますが、効率の分だけ減ります。2段で97%なら約94%になります。

段数は少ないほうがよいのですか?

効率の面では有利です。ただし1段で大きな比をとると歯車が大きくなるため、兼ね合いで決めます。

アイドラ歯車を入れると減速比は変わりますか?

変わりません。回転の向きだけが変わります。

回転の向きはどう決まりますか?

外歯車どうしの噛み合いが奇数なら逆向き、偶数なら同じ向きです。

歯数の組み合わせに決まりはありますか?

互いに素にするのが定石です。公約数が大きいと同じ歯どうしが噛み、片減りが集中します。

ウォームギヤの効率が低いのはなぜですか?

すべり接触が主体だからです。その代わり逆転しにくい性質があり、昇降装置などで使われます。

損失はどこへ行きますか?

熱になります。密閉された減速機では油温上昇につながるため、放熱の検討が要ります。

歯数が少なすぎるとどうなりますか?

切下げ(アンダーカット)が起きて歯元が削れます。標準的な圧力角20度では17枚が目安です。

最大でどこまで減速できますか?

段数を増やせばいくらでも可能ですが、効率と大きさの制約で決まります。大減速が必要ならウォームや遊星を検討します。