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油圧モータトルク計算押しのけ容積油圧

油圧モータのトルク・回転数計算

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

押しのけ容積・差圧・流量・効率を入れると、油圧モータの出力トルクと回転数、出力動力と入力油圧動力、全効率を算出します。ウインチ・走行装置・回転駆動の油圧モータ選定に使います。

最終更新:2026-09-16/監修:計算ツールズ編集部

油圧モータのトルク・回転数計算ツール

計算式

油圧モータの理論トルクは T=Δp×q/(2π) で、Δp を MPa、q を cm³/rev で入れるとそのまま N·m になります(MPa=N/mm²、cm³=1,000mm³、N·mm→N·m の 1/1,000 が相殺されるため)。既定値の 15MPa・100cm³/rev では 15×100/6.283=238.7N·m、機械効率90% で実トルク 214.9N·m(約21.9kgf·m)です。

回転数は流量を押しのけ容積で割って n=Q×1,000/q、40L/min なら理論 400rpm、容積効率95% で 380rpm。出力動力は T×n×2π/60=214.9×380×0.1047=8.55kW、入力の油圧動力は Δp×Q/60=10.0kW なので全効率は 85.5%(=0.90×0.95)です。

押しのけ容積×差圧 → 理論トルク(N·m)

押しのけ容積7MPa10MPa14MPa21MPa
25cm³/rev27.939.855.783.6
50cm³/rev55.779.6111.4167.1
100cm³/rev111.4159.2222.8334.2
200cm³/rev222.8318.3445.6668.5
400cm³/rev445.6636.6891.31,337

流量×押しのけ容積 → 理論回転数(rpm)

押しのけ容積10L/min20L/min40L/min80L/min
25cm³/rev4008001,6003,200
50cm³/rev2004008001,600
100cm³/rev100200400800
200cm³/rev50100200400

油圧モータの形式と特性

形式回転数の範囲常用圧力全効率特徴
ギヤモータ500〜3,000rpm〜21MPa0.75〜0.85安価・小型。起動トルクがやや低い
ベーンモータ200〜2,500rpm〜14MPa0.80〜0.88低脈動・低騒音
アキシャルピストンモータ100〜4,000rpm〜35MPa0.85〜0.93高圧・高効率。可変容量形がある
ラジアルピストン・オービットモータ1〜500rpm〜25MPa0.80〜0.90低速・高トルク。減速機なしで駆動

※本ツールは理論式による参考計算です。機器の選定は各メーカーのカタログ値と安全率、および JIS・ISO と労働安全衛生法令の要求事項に従ってください。

油圧モータのトルク・回転数計算の詳しい解説

油圧モータはポンプの逆で、油の圧力と流量を回転のトルクと速度に変える機械です。トルクは差圧と押しのけ容積の積に比例し、回転数は流量を押しのけ容積で割った値に比例します。つまり、大きなトルクが欲しければ押しのけ容積の大きいモータを選び、速く回したければ流量を増やすか押しのけ容積を小さくします。同じ動力でも「大容積・低速・高トルク」と「小容積・高速・低トルク」の選び方があり、減速機を省ける低速高トルク形のオービットモータやラジアルピストンモータが建設機械やウインチで多用されるのはこのためです。

効率の扱いはポンプと逆向きになります。ポンプでは軸から入れた動力の一部が失われて油圧動力になりますが、モータでは油圧動力の一部が失われて軸動力になります。したがって実トルクは理論トルクに機械効率を掛けた値、実回転数は理論回転数に容積効率を掛けた値で、どちらも理論値より小さくなります。全効率は両者の積で、既定値では 0.855 です。とくに注意が要るのは起動トルクで、静止状態から動き出す瞬間は摺動部の静摩擦が大きく、起動時の機械効率は運転時の 0.7〜0.9 倍まで落ちます。重い負荷を静止から動かす用途では、運転トルクではなく起動トルクで余裕を確認します。

低速域の挙動も見落としがちです。容積効率は内部漏れの比率で決まり、漏れ量は差圧でほぼ決まって回転数によらないため、低速で回すほど漏れの比率が上がって容積効率が落ちます。数十 rpm 以下でギヤモータを使うと回転が脈動したり停止したりするのはこのためで、低速が必要なら最低回転数の仕様が明記された低速高トルク形を選びます。逆に高速では摩擦と粘性損失が増えて機械効率が下がるので、カタログの効率線図で使用点を確認するのが確実です。

回路設計では、モータの前後差圧が「供給圧」ではないことに注意します。モータの出口側に配管抵抗や背圧弁があれば、その分だけ差圧は減り、トルクも減ります。戻り側の圧力損失を小さくすることは、ポンプの圧力を上げるのと同じ効果があります。また、慣性の大きな負荷を急停止させると、モータがポンプとして働いて出口側に高圧が発生します。この圧力を逃がすクロスオーバリリーフ弁と、逆転時に油を補給するチェック弁を回路に入れないと、キャビテーションや配管の破損につながります。

選定の順序は、必要トルクから差圧との組み合わせで押しのけ容積を決め、必要回転数から流量を出し、その流量と圧力でポンプの動力を確認する、という流れです。トルクの単位は N·m が基本ですが、古い図面や海外の仕様では kgf·m や lbf·ft で書かれていることがあり、1kgf·m=9.80665N·m、1lbf·ft=1.356N·m の換算を忘れると10倍近い誤りになります。押しのけ容積も cm³/rev と cc/rev、in³/rev が混在するので、単位を揃えてから計算してください。

別の条件での計算例

ドラム半径 0.15m のウインチで 2,000kg を巻き上げる場合、必要トルクは 2,000×9.807×0.15=2,942N·m です。静止から動かすので起動時の機械効率を 0.75 と見ると、必要な理論トルクは 3,923N·m になります。21MPa で使うなら押しのけ容積は 3,923×2π/21=1,174cm³/rev で、オービットモータの 1,200cc 級が候補です。60L/min を送ると理論回転数は 51rpm、容積効率90% で 46rpm となり、巻上げ速度は 2π×0.15×46=43m/min です。速度を半分にして減速機を省きたいなら 2,400cc 級にすれば圧力を 10.5MPa まで下げられ、ポンプの動力も同じ流量なら半分になります。トルク・回転数・圧力・流量の4つのうち2つを決めれば残りが決まるので、まず荷重と速度から入り、次に手持ちのポンプ圧力で押しのけ容積を選ぶのが実務の順序です。

業界・現場での使い方

ウインチ・巻上げ装置

荷重とドラム半径から必要トルクを出し、差圧との組み合わせで押しのけ容積を決めます。起動トルクの余裕を確認します。

建設機械・走行装置

低速高トルク形で減速機を省き、急停止時のクロスオーバリリーフとチェック弁を回路に組み込みます。

コンベア・回転テーブルの駆動

必要回転数と流量の関係からモータ容積を決め、低速域の容積効率低下を仕様の最低回転数で確認します。

設備保全・トルク不足の診断

モータ出口側の背圧で差圧が減っていないか、内部漏れで回転数が落ちていないかを式で切り分けます。

よくある間違い・注意点

  • 供給圧をそのまま差圧として計算する — 出口側の配管抵抗と背圧を差し引いた値が差圧です。戻り側の損失はトルクを直接減らします。
  • 運転トルクで起動を判断する — 起動時の機械効率は運転時の0.7〜0.9倍です。静止から重い負荷を動かすなら起動トルクで確認します。
  • 低速で容積効率が保たれると思う — 漏れ量は差圧で決まり回転数によらないため、低速ほど容積効率が落ちます。最低回転数の仕様を確認します。
  • 急停止時の回路を考えない — 慣性負荷ではモータがポンプになり出口側に高圧が出ます。クロスオーバリリーフとチェック弁が必要です。
  • kgf·m と N·m を混同する — 1kgf·m=9.80665N·m です。海外図面の lbf·ft は 1.356N·m です。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

油圧モータのトルクはどう計算しますか?

理論トルク=差圧(MPa)×押しのけ容積(cm³/rev)÷2π で N·m です。15MPa・100cm³/rev で 238.7N·m、機械効率90% で 214.9N·m です。

回転数はどう決まりますか?

流量×1,000÷押しのけ容積が理論回転数で、容積効率を掛けます。40L/min・100cm³/rev・95% で 380rpm です。

出力動力はいくらですか?

トルク×回転数×2π÷60 で、既定値では 8.55kW です。入力の油圧動力 10.0kW に対して全効率 85.5% です。

起動トルクはどのくらい落ちますか?

静摩擦のため運転時の機械効率の0.7〜0.9倍が目安です。重い負荷を静止から動かす用途では起動トルクで確認します。

低速で回すとどうなりますか?

内部漏れの比率が上がって容積効率が落ち、回転が脈動したり停止したりします。低速高トルク形を選びます。

トルクを上げるには?

押しのけ容積の大きいモータにするか差圧を上げます。差圧を上げるにはポンプ圧を上げるか戻り側の損失を減らします。

kgf·m に直すには?

N·m を 9.80665 で割ります。214.9N·m は約21.9kgf·m です。

急停止で何が起きますか?

慣性でモータがポンプとして働き、出口側に高圧が発生します。クロスオーバリリーフ弁とチェック弁で保護します。

モータとポンプは同じ機械ですか?

構造は似ていますが、モータは両方向回転と背圧に耐える設計が必要で、ポンプをそのままモータに使えるとは限りません。