縦断曲線の計画高・曲線長計算
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
前後の勾配・曲線長・交点の測点と計画高を入れると、縦断曲線の始点・終点・任意点の計画高・縦距・最高点または最低点・半径を算出します。道路・鉄道・水路の縦断設計、丁張りの計画高計算、出来形確認に使います。
縦断曲線の計画高・曲線長計算ツール
計算式
縦断曲線は交点(VIP)を中心に前後 L/2 ずつの範囲に置く放物線で、始点 BVC の測点は VIP−L/2、計画高は VIP の高さから前勾配で L/2 だけ戻した値です。任意点の高さは H=HBVC+i1×x−(A/100)×x²/(2L)(x は始点からの距離、A=i1−i2 は勾配の代数差)で、第3項が接線からの縦距です。
既定値の i1=+3%・i2=−2%・L=100m・VIP 測点500・高さ120.000m では、A=5% の凸型、始点は測点450・118.500m、終点は測点550・119.000m。測点480 は始点から 30m なので縦距 0.05×30²/200=0.225m、計画高は 118.500+0.9−0.225=119.175m です。最高点は始点から i1×L/A=60m の測点510 で 119.400m、交点直下の縦距(中点縦距)は A×L/800=0.625m、曲線半径は L÷(A/100)=2,000m です。
道路構造令の縦断曲線の最小半径と最小長さ(普通道路の例)
| 設計速度 | 凸型 最小半径 | 凹型 最小半径 | 最小曲線長 |
|---|---|---|---|
| 120km/h | 11,000m | 4,000m | 100m |
| 100km/h | 6,500m | 3,000m | 85m |
| 80km/h | 3,000m | 2,000m | 70m |
| 60km/h | 1,400m | 1,000m | 50m |
| 50km/h | 800m | 700m | 40m |
| 40km/h | 450m | 450m | 35m |
| 30km/h | 250m | 250m | 25m |
| 20km/h | 100m | 100m | 20m |
※道路構造令第20条の値の目安です。適用は道路の区分・設計条件により、最新の政令と解説で確認してください。
用語と記号
| 記号 | 意味 | 既定値での値 |
|---|---|---|
| VIP(IP) | 前後の勾配線の交点 | 測点500・120.000m |
| BVC(BC) | 縦断曲線の始点 | 測点450・118.500m |
| EVC(EC) | 縦断曲線の終点 | 測点550・119.000m |
| A | 勾配の代数差 i1−i2 | 5% |
| L | 縦断曲線長(水平距離) | 100m |
| R | 縦断曲線半径 L÷(A/100) | 2,000m |
| 縦距 y | 接線と曲線の高さの差 (A/100)x²/2L | 測点480 で 0.225m |
曲線長・半径・代数差の関係(L=R×A/100)
| 代数差 A | R=1,000m | R=2,000m | R=3,000m | R=6,500m |
|---|---|---|---|---|
| 2% | L=20m | 40m | 60m | 130m |
| 5% | 50m | 100m | 150m | 325m |
| 8% | 80m | 160m | 240m | 520m |
| 10% | 100m | 200m | 300m | 650m |
※本ツールは計算式による参考計算です。公共測量・登記測量の成果は、公共測量作業規程の準則および国土地理院の公式計算・成果に従ってください。
縦断曲線の計画高・曲線長計算の詳しい解説
道路や鉄道の縦断勾配が変わる場所には、勾配を滑らかにつなぐ縦断曲線を入れます。急に勾配が変わると車両に上下方向の加速度が生じて乗り心地が悪くなり、凸型では前方の視距が確保できず、凹型では夜間のヘッドライトが照らす範囲が短くなるからです。曲線には放物線を使うのが慣例で、水平距離に対して高さが二次式で変わるため、任意の測点の高さが簡単な式で求まり、縦距が始点からの距離の二乗に比例するという扱いやすい性質があります。実務では放物線を円弧とみなして曲線半径 R で表し、R は曲線長を勾配の代数差(小数)で割った値です。
計算の骨格は、交点 VIP の測点と高さを起点に、前後 L/2 の位置に始点と終点を置くことです。始点の高さは VIP から前勾配で戻し、終点の高さは後勾配で進めます。任意点の高さは、始点から前勾配の接線に沿って上がった高さから、縦距 (A/100)×x²/(2L) を差し引きます(凹型では A が負なので結果的に加わります)。交点の直下では x=L/2 なので縦距は A×L/800 になり、これが接線と曲線の最大の差です。既定値では 0.625m で、交点の高さをそのまま計画高にすると 62.5cm も高く出ることを意味します。
最高点や最低点は、曲線内で勾配がゼロになる点で、始点から i1×L/A の距離にあります。前後の勾配の符号が同じなら曲線内に極値はなく、勾配が単調に変わるだけです。排水設計では凹型の最低点に集水桝を置く必要があるので、この位置の計算が欠かせません。既定値の凸型では始点から 60m の測点510 が最高点で、ここが視距の検討点になります。
曲線長は道路構造令の最小値を満たすように決めます。設計速度が高いほど大きな半径と長い曲線が求められ、凸型は視距、凹型は乗り心地とヘッドライトの照射距離で決まります。既定値の R=2,000m は設計速度 60〜80km/h の凸型に相当しますが、実際の設計では前後の平面線形や排水、構造物との取り合いも含めて決めます。代数差が小さいときは縦断曲線を省略できる場合もありますが、その判断も設計基準に従います。
現場では、求めた計画高から各測点の丁張りの高さを出し、出来形の測量値と比べます。測点の追加距離と VIP の追加距離を同じ起点で揃えること、勾配の符号(上りが正)を前後で統一すること、L が水平距離であることの3点を守れば、計算で迷うことはありません。曲線区間の外側は接線の直線勾配のままなので、求点が始点より手前か終点より先かを判定してから式を選ぶ、という手順も自動化しています。
別の条件での計算例
凹型の例として、前勾配 −4%・後勾配 +2%・曲線長 120m・交点 測点1,000・計画高 50.000m を見ます。代数差 A=−6% の凹型で、半径は 120÷0.06=2,000m、始点は測点940・52.400m、終点は測点1,060・51.200m です。測点1,020 は始点から 80m なので縦距は (−0.06)×80²/240=−1.600m、接線上の高さ 52.400−0.04×80=49.200m に縦距を差し引く形で 50.800m になります(凹型では曲線が接線より上)。最低点は始点から i1×L/A=(−4×120)/(−6)=80m、つまりこの測点1,020 がちょうど最低点で、集水桝はここに置きます。交点直下の縦距は 0.06×120/8=0.900m で、交点の高さ 50.000m に対して曲線は 50.900m を通ります。設計速度 60km/h なら凹型の最小半径 1,000m・最小長 50m を満たしており、排水の勾配が付かない区間(最低点の前後 10〜15m)の側溝の勾配を別途確保するのが実務の注意点です。
業界・現場での使い方
道路・造成道路の縦断設計
設計速度から最小半径と曲線長を決め、各測点の計画高を出して縦断図にします。
丁張り・出来形管理
20m ごとの測点の計画高を計算し、丁張りの高さと出来形の測量値を照合します。
排水設計
凹型の最低点を求めて集水桝の位置を決め、凸型の頂部で排水の分かれ目を確認します。
鉄道・水路の勾配変化点
縦断曲線の縦距を求め、軌道や水路の高さを滑らかに接続します。
よくある間違い・注意点
- 交点の高さをそのまま計画高にする — 交点直下では縦距 A×L/800 だけ曲線が下(凸型)または上(凹型)にあります。既定値で 0.625m です。
- 勾配の符号を前後で揃えない — 上りが正で統一します。下りを正で入れると凸凹が逆になります。
- 曲線長を斜距離で入れる — L は水平距離です。縦断図の追加距離で測ります。
- 最低点を交点の位置だと思う — 極値は始点から i1×L/A の位置で、勾配が非対称なら交点からずれます。
- 曲線区間の外側にも縦距を加える — 始点より手前・終点より先は接線の直線勾配です。区間内かどうかを先に判定します。
関連する規格・公的資料
- 国土地理院 — 基準点成果・ジオイドモデル・平面直角座標系の告示と解説
- 国土地理院 測量計算サイト — 緯度経度と平面直角座標の換算・ジオイド高の公式計算サービス
- 公共測量作業規程の準則(国土地理院) — 基準点測量・水準測量の方法と許容範囲
- e-Gov 法令検索(測量法・測量法施行令) — 測量法と、平面直角座標系を定める施行令
- 日本測量協会 — 測量技術の普及と測量士・測量士補の教育
- 日本測量調査技術協会 — 測量技術者の団体。技術資料と研修
- 日本測地学会 — 測地学・ジオイド・座標系の学術団体
- 国土交通省 — 道路構造令と公共測量の制度
- 土木学会 — 土木工学の学術資料
- 産業技術総合研究所 計量標準総合センター — 長さ・角度の国家計量標準
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS B 7912(測量機器)などの規格
- 国際測地学協会(IAG) — GRS80 楕円体などの国際的な測地基準
- 道路構造令 第20条(縦断曲線) — 設計速度別の最小半径と最小曲線長
- 国土交通省 道路構造令の解説 — 縦断線形の考え方
- 日本道路協会 — 道路構造令の解説と運用
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
縦断曲線の計画高はどう求めますか?
始点の高さ+前勾配×距離−(A/100)×距離²/(2L) です。既定値の測点480 では 119.175m です。
始点と終点はどこですか?
交点の前後 L/2 の位置です。既定値では測点450(118.500m)と測点550(119.000m)です。
縦距とは何ですか?
接線と曲線の高さの差で、始点からの距離の二乗に比例します。交点直下で最大の A×L/800 になります。
最高点はどこですか?
始点から i1×L/A の距離です。既定値では 60m 先の測点510 で 119.400m です。
曲線半径はどう出しますか?
R=L÷(A/100) です。L=100m・A=5% で 2,000m です。
凸型と凹型はどう見分けますか?
代数差 A=i1−i2 が正なら凸型、負なら凹型です。
最小の曲線長はどう決めますか?
道路構造令の設計速度別の最小半径と最小長さに従います。60km/h なら凸型 R 1,400m 以上、L 50m 以上です。
求点が曲線の外にあるときは?
接線の直線勾配で計算します。ツールが区間内外を判定して式を切り替えます。
鉄道や水路にも使えますか?
放物線による縦断曲線の考え方は同じです。最小半径などの基準は各分野の設計基準に従います。