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空調暖房負荷計算断熱HEAT20

暖房負荷計算ツール|断熱等級3〜7・地域別外気温・換気負荷対応、エアコン選定の実務基準

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

床面積・天井高・外気温・目標室温・断熱等級から暖房必要kWを即算出。断熱等級3(旧基準)〜等級7(HEAT20 G3)の性能差、換気負荷、エアコン畳数目安を反映。同じ20㎡でも等級3と等級7では暖房負荷が約4倍違うという試算を、H28省エネ基準・ZEH・HEAT20の公的基準に基づき精密試算します。新築住宅設計、既存住宅の断熱改修効果評価、賃貸物件のリフォーム仕様検討、業務用エアコン選定の実務に。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

暖房負荷計算ツール

計算式と負荷の分解

基本式

暖房負荷 Q = 貫流熱損失 + 換気熱損失 = U×A×ΔT + 0.35×n×V×ΔT

ここで U=熱貫流率(W/m²K)、A=外気に接する外皮面積(m²)、ΔT=室内外温度差(K)、n=換気回数(回/h)、V=室容積(m³)、0.35=空気の容積比熱定数(Wh/m³K)です。実務では床面積ベースに簡略化したQ値(熱損失係数 W/m²K)を使い、暖房負荷 = 床面積 × Q値相当 × 温度差 の形で概算します。

本ツールの計算前提

貫流負荷は「等級別のUA値(6地域)× 外皮面積/床面積比2.5 × 床面積 × ΔT」、換気負荷は「0.35 × 0.5回/h × 室容積 × ΔT」で近似計算しています。外皮面積比2.5は、旧基準のQ値(H4基準4.2・H11基準2.7、6地域)とおおむね一致するように置いた仮定です。より厳密には、外皮面積・方位・窓面積・日射熱取得を勘案する必要があり、住宅性能表示制度の一次エネルギー消費量計算(WEBプログラム)や、動的熱負荷計算ソフト(AE-Sim/Heat、TRNSYS)による解析が正式手法です。

ヒートポンプCOPと消費電力

消費電力 kW = 暖房負荷 kW ÷ COP

暖房負荷1kWを、エアコン(ヒートポンプ)で供給するのに必要な消費電力は、COP(成績係数)で割った値です。最新の高効率エアコンは中間期COP 5前後、外気7℃時の定格COP 3.5〜4.5、外気-7℃の低外気COP 2.0〜3.0程度。暖房負荷1kW≒消費電力250〜500Wが実務目安。石油ファンヒーターは効率≒1で暖房負荷=燃焼熱量になります。

断熱等級とU値・Q値

2022年の住宅性能表示制度改正で、断熱等性能等級が従来の1〜4から1〜7まで拡張されました。等級5がZEH(Net Zero Energy House)基準、等級6・7がHEAT20(一般社団法人 20年先を見据えた住宅研究会)のG2・G3基準に対応します。

断熱等級UA値(W/m²K)※6地域Q値相当位置づけ
等級21.67約4.6S55年基準(旧々基準)
等級31.54約4.3H4年基準(旧基準)
等級40.87約2.6H28年基準(現行最低ライン、2025義務化)
等級50.60約1.9ZEH基準
等級60.46約1.6HEAT20 G2相当
等級70.26約1.1HEAT20 G3相当(最高等級)

UA値は外皮平均熱貫流率で、住宅の平均的な断熱性能を表す指標。Q値は室内→室外への総熱損失量を床面積で割った値で、換気による損失も含みます。UA値とQ値は完全に一致しませんが、上表のQ値相当は「UA値×外皮面積/床面積比2.5+換気0.5回/h(天井高2.4m)」で換算した目安です。同一床面積で等級3と等級7では暖房負荷が約4倍違います。

地域別・設計外気温

暖房負荷計算では、年間最低気温ではなく暖房設計用外気温度を使います。空気調和・衛生工学会「空気調和衛生工学便覧」などに示される地域別の設計用外気温を採用するのが一般的です。下表の値は目安です。

地域区分代表都市暖房設計外気温暖房度日D18-18
1地域旭川・釧路-16 〜 -20℃4500〜5000
2地域札幌・帯広-12 〜 -15℃3800〜4500
3地域青森・盛岡・長野-6 〜 -10℃2800〜3500
4地域仙台・宇都宮・秋田-3 〜 -5℃2200〜2800
5地域金沢・水戸・松本-2 〜 -3℃1800〜2200
6地域東京・大阪・名古屋0 〜 2℃1500〜1800
7地域宮崎・鹿児島2 〜 5℃1000〜1500
8地域那覇10〜13℃500以下

暖房度日は「暖房が必要な日の温度差累計」で、地域の寒冷度と暖房負荷の目安になります。同じ間取りでも、6地域(東京)と1地域(旭川)では年間暖房負荷が3倍以上違います。

断熱等級別の暖房負荷早見表(床面積20㎡・天井高2.4m・ΔT22℃)

等級Q値相当 W/m²K貫流負荷換気負荷合計負荷
等級3(旧)4.3約1.69 kW約0.18 kW約1.88 kW
等級4(H28)2.6約0.96 kW約0.18 kW約1.14 kW
等級5(ZEH)1.9約0.66 kW約0.18 kW約0.84 kW
等級6(G2)1.6約0.51 kW約0.18 kW約0.69 kW
等級7(G3)1.1約0.29 kW約0.18 kW約0.47 kW

床面積・温度差が2倍になれば負荷も2倍。40㎡・ΔT22℃の等級4なら約2.3kWで、暖房定格2.5kW以上の機種が目安です。高断熱住宅ほど換気負荷の相対比率が上がるため、熱交換型換気(第一種換気)の投資対効果が上がります。

換気負荷の扱い

2003年の建築基準法改正で、24時間換気(換気回数0.5回/h以上)が原則義務化されました。換気による熱損失は暖房負荷の20〜30%を占め、無視できません。換気熱損失の式は次の通りです。

換気負荷 Q_v = 0.35 × n × V × ΔT (W)

0.35は空気の容積比熱定数(Wh/m³K、通常0.34〜0.35で扱う)、n は換気回数(回/h)、V は室容積(m³)、ΔT は室内外温度差(K)。

換気方式による負荷差

  • 第3種換気(自然給気・機械排気) ― 一般住宅で多い方式。外気がそのまま流入するため換気負荷100%発生。
  • 第1種換気(機械給気・機械排気)+熱交換 ― 全熱交換型なら熱回収率70〜85%、換気負荷を15〜30%まで削減可能。ZEH・HEAT20住宅で標準装備。
  • 第2種換気(機械給気・自然排気) ― クリーンルーム・病院で使用、住宅では稀。

本ツールは換気回数0.5回/h・第3種換気相当で計算しています。全熱交換型第一種換気を採用する場合は、実質換気負荷は表示値の15〜30%まで下がります。

エアコン畳数の実際

カタログの「6畳用・10畳用」表記は、日本冷凍空調工業会の目安で、無断熱の木造住宅を想定した古い基準に由来します。断熱性の高い住宅では、表記より広い部屋を暖められることが多くあります。

カタログ表記暖房定格能力本ツールでの暖房可能面積の目安(等級4・ΔT22℃)同(等級6・ΔT22℃)
6畳用2.2 kW約38㎡約64㎡
8畳用2.5 kW約44㎡約72㎡
10畳用2.8 kW約49㎡約81㎡
14畳用4.0 kW約70㎡約116㎡
18畳用5.6 kW約98㎡約162㎡
23畳用7.1 kW約124㎡約206㎡

上の面積は住宅全体の平均的な外皮面積比で求めた目安です。外壁・窓に面する割合が大きい角部屋や、窓の大きい部屋では必要能力が大きくなります。また暖房能力は外気温が下がると低下するため、寒冷地では低温時の能力(カタログの「低温暖房能力」)で確認してください。オーバースペックな機種は最低出力付近の運転が増えて効率が下がることがあるため、負荷計算に基づく適正サイズ選定が省エネの要です。

年間暖房光熱費のシミュレーション

暖房度日法で年間の暖房負荷を求め、COP(成績係数)で割って消費電力量に換算し、電気料金単価を掛けて試算します。

年間暖房負荷 kWh = Q値相当 × 床面積 × 暖房度日 × 24 ÷ 1000

年間暖房費 円 = 年間暖房負荷 kWh ÷ 平均COP × 電気料金単価 円/kWh

断熱等級Q値相当年間消費電力量年間暖房費(31円/kWh)
等級3約4.3約770 kWh約24,000円
等級4約2.6約470 kWh約15,000円
等級5約1.9約350 kWh約11,000円
等級6約1.6約280 kWh約9,000円
等級7約1.1約190 kWh約6,000円

床面積20㎡・暖房度日1,500(D18-18、24時間18℃に保つ想定)・平均COP4.0・31円/kWhとした仮定の試算です。実際の費用は地域・在室時間・設定温度・日射・機種で大きく変わります。

業界・現場での使い方

新築住宅設計

意匠設計の初期段階で、等級4〜等級7の暖房負荷を試算し、エアコン容量・全館空調可否を判断。ZEH以上ならエアコン1〜2台での全館空調が現実的で、給気ダクト位置の初期プランに反映できます。

リフォーム断熱改修

既存住宅の断熱前後の負荷比較で改修効果を数値化。「壁断熱+樹脂サッシ交換で等級2→等級5」で暖房負荷が約1/3に減る効果を、光熱費削減額として顧客に提示可能。長期優良住宅化リフォーム推進事業などの補助金申請根拠にも活用。

賃貸物件仕様検討

賃貸オーナー・不動産管理会社が、断熱改修+高効率エアコンの投資回収期間を試算。等級6相当への改修で入居者の電気代が半減し、家賃訴求力を強化。空室対策のリノベーションで暖房負荷計算がROI根拠に。

設備業者の現場提案

エアコン工事業者が施主に「6畳用で足ります」の根拠を数値で示す資料に。オーバースペック回避で工事費・電気代を削減し、施主満足度を高める提案営業に活用。

ZEH・BELS認定申請

ZEH認定・BELS評価では暖冷房負荷計算が必須。本ツールは略算式ですが、より詳細な「住宅省エネルギー技術講習会」のWEBプログラム(国立研究開発法人 建築研究所提供)での正式計算の事前確認・妥当性チェックに便利。

設備工学の教育現場

建築系専門学校・大学の空調演習で、U値・Q値・換気負荷の概念理解のツールとして。等級を変えて負荷が2〜4倍変化する体験で、断熱性能の重要性を数値で実感できます。

よくある間違い・注意点

  • 外気温を年間平均で計算する — 暖房設計は年間最低の気温帯(暖房設計用外気温)で行うのが原則。東京0℃、大阪1℃、札幌-10℃、旭川-16℃を使います。年平均気温で計算すると必要能力が半分以下になり、真冬に室温が上がらないトラブルの原因です。
  • 断熱等級を築年で誤解する — 築30年戸建の多くは等級2以下相当。「断熱材が入っているはず」ではなく、天井裏・壁内の断熱材厚さ・充填状況を目視確認して実効等級を判定してください。壁内スカスカ状態も少なくありません。
  • 換気負荷を無視する — 24時間換気で暖房負荷の20〜30%が換気に消えます。特に等級6以上の高断熱住宅では換気負荷の比率が上がり、熱交換型換気にする経済合理性が高まります。
  • カタログ畳数を鵜呑みにする — 「6畳用エアコン」は等級2相当の1964年基準。現代の等級5住宅では倍の面積をカバー可能で、オーバースペック機を選ぶと除湿性能が落ちて夏場に湿度が下がりません。
  • 吹抜け・階段の熱移動を無視 — 「1階リビング+2階への吹抜け」構成は、暖気が2階に上がり1階足元が寒いという典型的トラブル。実質的な室容積は数値上より広く見積もる必要があります。
  • 窓面積・方位を反映しない — 大開口窓(Low-E複層ガラス)でも壁と比べ熱貫流率U値が2〜4倍。南面日射取得も含めて、冬期の実効負荷はプラマイ大きく振れます。詳細計算では窓熱バランスが必須です。
  • 気積を床面積×2.4mで固定 — 天井高が2.7m・3.0mの住宅では換気負荷も比例増。マンションの2.4mと一戸建てで比較する場合、階高差を反映してください。

関連する規格・法令

  • 建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律) ― 2025年4月から全新築住宅に省エネ基準(断熱等級4以上)が義務化。
  • 住宅性能表示制度 断熱等性能等級(等級1〜7) ― 品確法に基づく住宅性能表示。2022年4月に等級5、同年10月に等級6・7を追加。
  • H28年省エネ基準(平成28年基準) ― 現行の省エネ基準。UA値・η値・一次エネルギー消費量の3指標で評価。
  • ZEH(Net Zero Energy House)基準 ― 経済産業省・環境省・国土交通省連携基準。断熱等級5+高効率設備+太陽光発電。
  • HEAT20 G1/G2/G3 推奨断熱水準 ― 一般社団法人 20年先を見据えた住宅研究会。断熱等級6=G2、等級7=G3相当。
  • 建築基準法施行令第20条の8(24時間換気) ― シックハウス対策として住宅居室で換気回数0.5回/h以上が義務化。
  • JIS A 9521・9523 断熱材規格 ― グラスウール・ロックウール等の熱伝導率規格。
  • 空気調和・衛生工学会「空気調和衛生工学便覧」 ― 熱負荷計算法の実務基準。
  • 国土交通省告示第265号 ― 住宅の外皮平均熱貫流率(UA)計算方法。

参考文献・公的資料

暖房負荷計算・断熱性能・省エネ基準について、より正確な情報は以下の公的機関の資料を参照してください。

※本ツールは略算式に基づく参考計算であり、実際の設計・施工では住宅省エネルギー技術講習会の公式WEBプログラム、または動的熱負荷計算ソフト(AE-Sim/Heat、TRNSYS)による精密計算が必要です。特にZEH・BELS認定申請、長期優良住宅認定などの公的申請では、認定機関の指定する計算方法に従ってください。エアコン選定は施工業者・空調設計技術者と協議のうえ、実際の建物条件・使用パターンに即した最終判断をお願いします。

よくある質問(FAQ)

等級4と等級6でどれだけ違う?

本ツールの換算ではQ値相当が約2.6→約1.6で、暖房負荷は約4割減。20㎡ΔT22℃なら等級4の約1.14kWに対し等級6は約0.69kWです。年間暖房費の差は、上の試算条件(20㎡・6地域)で約6,000円です。

外気温はいくつで計算すればいい?

暖房設計用外気温を使います。東京0〜2℃、大阪1〜3℃、名古屋-1〜1℃、札幌-8〜-12℃、旭川-16〜-20℃。年平均気温ではなく、真冬にエアコンが底冷え日に対応できる能力を確保するためのワーストケース想定です。

エアコンと床暖房どちらが得?

初期費用はエアコン15〜25万、床暖房80〜150万と大差。ランニングコストは、高断熱住宅(等級5以上)ではエアコンが圧倒的省エネ。低断熱住宅(等級3以下)では床暖房の輻射効果で体感温度が上がり快適性は高いですが、光熱費は高くつきます。

高気密高断熱住宅の暖房方式は?

等級6以上ならエアコン1台で全館空調が可能な事例が多数。1階リビング設置のエアコンで、吹抜けと階段を通じて2階まで暖まる設計が主流。輻射式ファンヒーター・薪ストーブは補助的位置づけ。パッシブハウスなど超高性能住宅では換気の熱交換だけで暖房不要になるケースも。

Q値とUA値の違いは?

Q値は「熱損失係数」で、換気による損失も含む総合指標(旧基準時代の指標)。UA値は「外皮平均熱貫流率」で、換気を除いた躯体(外皮)だけの断熱性能を評価(H28年基準以降の指標)。同じ住宅でUA値0.87 ≒ Q値2.7といった換算ができますが、地域や換気方式で係数が変わります。

断熱リフォームでどれくらい光熱費が下がる?

本ツールの換算では、等級2相当(Q約4.6)から等級5(Q約1.9)への改修で暖房負荷は約4割になります。削減額は住宅の大きさ・地域・暖房の使い方で大きく変わるため、改修費用と合わせて施工会社の見積りと補助制度の最新情報で判断してください。

マンションでも断熱等級は関係ある?

関係あります。築年数の古いマンションでは、窓(単板ガラス・アルミサッシ)からの熱損失が大きいことが多く、内窓の追加で開口部の熱貫流率を大きく下げられます。効果と費用は窓の大きさ・製品で変わるため、見積りで確認してください。

吹抜けリビングの暖房計算は?

吹抜けは容積が2倍近くになるため、換気負荷・気積負荷も2倍。天井にシーリングファンで暖気を撹拌するか、床暖房で足元中心の暖房戦略に切り替えるのが現実解。高断熱(等級6以上)+高気密(C値0.5以下)なら吹抜けでも問題なくエアコン1台対応可能です。

ヒートポンプの外気-7℃時COPは?

寒冷地対応エアコン(雪國・K系列など)で低外気COP2.0〜3.0程度、標準エアコンは1.5〜2.5程度。外気温が下がるほど霜取り運転が入り実質COPは低下します。1・2地域(北海道)では寒冷地専用機、または灯油暖房・薪ストーブ併用が実務標準です。

電気ヒーターと比較すると?

電気ヒーター(オイルヒーター・カーボンヒーター・電気ストーブ等)は効率100%(COP=1)。エアコンはCOP3〜5でヒーターの3〜5倍省エネ。同じ暖房能力なら電気代は1/3〜1/5に。ただし電気ヒーターは初期費用1万円台、エアコンは15万円〜と初期費用差があります。

換気を止めれば暖房負荷は下がる?

下がりますが、シックハウス法違反となり結露・カビ発生のリスクも高まります。建築基準法で0.5回/h以上の換気が義務。熱交換型換気(第一種換気)に切り替えれば換気負荷を70〜85%削減できるため、換気を止めるより換気システム更新が推奨。

負荷計算ソフトの正式なものは?

ZEH・BELS申請では国研 建築研究所の「一次エネルギー消費量計算プログラム」が公式。設計事務所では「AE-Sim/Heat」「TRNSYS」「Home's PRO」等が実務標準。本ツールは略算法で概算目安を出すもので、公的申請には使えません。