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エアフィルタ面風速空調クリーンルームHEPA

エアフィルタ面風速 計算ツール|風量・正面面積・等級から適正判定、圧損・寿命・LCC設計まで

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

エアフィルタの面風速(face velocity)を、風量(m³/min)とフィルタ正面(枠内)面積(m²)から瞬時に算出し、粗塵・中性能・HEPA・ULPAの各等級ごとの推奨範囲と照合。圧損と風速の関係、交換時期、V型/パネル型のろ材面積とろ材通過風速の違い、送風機動力とライフサイクルコスト(LCC)、クリーンルーム・食品工場・外気処理機(AHU)の実務設計を、JIS B 9908・JIS Z 8122・ISO 16890に基づき詳細解説します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

エアフィルタ面風速ツール

面風速の定義と単位

面風速とは何か

面風速(face velocity)は、フィルタを通る風量をフィルタ正面(枠内)の面積で割った風速です。空調機のフィルタ選定では、この面風速が等級ごとの目安やメーカーの定格の範囲に入っているかを確かめます。

基本式

面風速 v (m/s) = 風量 Q (m³/s) ÷ フィルタ正面(枠内)面積 A (m²)

実務式: v (m/s) = 風量 Q (m³/min) ÷ 60 ÷ 正面面積 A (m²)

これとは別に、プリーツやV型で広げたろ材の総面積で割った「ろ材通過風速」があります。ろ材面積は正面の数倍〜数十倍あるため、ろ材通過風速は数cm/s〜数十cm/sと桁が小さくなります。下の推奨面風速と比べるときは正面面積で割ってください(ろ材面積で割ると、どのフィルタも「低すぎる」と誤って判定されます)。

典型的な範囲(目安)

フィルタ種面風速の目安備考
粗塵フィルタ(ISO Coarse)2.0-3.0 m/sプレフィルタ
中性能・高性能フィルタ(ISO ePM10〜ePM1)1.5-2.5 m/s一般空調・外気処理
HEPA・ULPA0.4-0.6 m/s程度ろ材の抵抗が大きく定格風量が小さい

数値は目安です。実際はフィルタごとの定格風量(メーカーの仕様書)を超えないように選びます。面風速を上げると設備は小さくなる反面、圧力損失が増えて送風機動力が増え、交換も早まります。

フィルタ規格の変遷

一般換気用フィルタの規格は、米国のASHRAE 52.2(MERV)、欧州のEN 779、日本のJIS B 9908がそれぞれ発展してきました。2016年にISO 16890が制定されてEN 779は2018年に廃止され、日本のJIS B 9908も2019年にISO 16890を基にした規格(JIS B 9908-1〜6)に改正されています。HEPA・ULPAは欧州のEN 1822、国際規格のISO 29463で分類されます。

フィルタ等級と推奨面風速

ISO 16890は、PM1・PM2.5・PM10に対する捕集率(ePM)でフィルタを分類します。ePM10の捕集率が50%未満のものはISO Coarseです。HEPA・ULPAは最も透過しやすい粒径(MPPS)での捕集率で分類します。

ISO 16890・ISO 29463(EN 1822)の分類

等級捕集率の基準面風速の目安用途
ISO CoarseePM10が50%未満(重量法捕集率で表示)2.0-3.0 m/sプレフィルタ
ISO ePM10ePM10が50%以上1.5-2.5 m/s一般空調
ISO ePM2.5ePM2.5が50%以上1.5-2.5 m/s高性能空調
ISO ePM1ePM1が50%以上1.5-2.5 m/s高性能空調
HEPA H13 / H14MPPSで99.95% / 99.995%以上0.4-0.6 m/s程度クリーンルーム
ULPA U15〜U17MPPSで99.9995%〜99.999995%以上0.4-0.6 m/s程度半導体製造

JIS B 9908との対応

JIS B 9908は2019年の改正で、第1〜4部がISO 16890を基にした内容(ePMによる分類)になりました。第5部・第6部はISOに無い日本独自の部で、第6部が超高性能フィルタユニット(HEPA等)の性能試験方法です。古いカタログの「比色法○%」表示は改正前の旧規格による値で、ePMとは測定法が違うため単純には換算できません。

V型/パネル型の有効面積

同じ正面寸法でも、プリーツ型・V型・バッグ型はろ材を折り込んでろ材面積を正面の数倍〜数十倍に広げています。ろ材面積が大きいほどろ材通過風速が下がり、同じ面風速でも圧力損失が小さく、粉じんを多く保持できます。

面風速(正面面積で割る)はフィルタの大きさの選定に、ろ材面積はフィルタの形式の比較に使う、と使い分けます。例えば正面0.36m²(約600mm角)に30m³/minを流すと面風速は約1.4m/s、ろ材面積が9m²ならろ材通過風速は約0.056m/s(5.6cm/s)です。ろ材面積はメーカーのカタログ(ろ材展開面積)で確認します。

圧損-風速の関係と送風機動力

圧損の風速依存

きれいなろ材の中の流れは遅いため、ろ材部分の抵抗は風速にほぼ比例します。フィルタ全体では枠・プリーツの抵抗も加わり、風速の増え方より圧損の増え方が大きくなることが多いです。正確な値はメーカーの圧損-風量曲線で確認します。

送風機動力への影響

送風機動力P (kW) = Q × Δp / (η × 60 × 1000) (Qは m³/min、Δpは Pa、ηは送風機の効率)

フィルタの圧損が増えた分だけ送風機動力が増えます。24時間運転の設備では、面風速を下げてフィルタを大きくするか、圧損の小さい形式を選ぶかで年間の電力量が変わるため、フィルタ費用と電力費を合わせて比べます。

圧損の時間変化

使用とともに粉じんが堆積して圧損が増えます。メーカーが示す最終圧損(推奨交換圧損)に達したら交換します。圧損が上がると風量が落ちることもあるため、差圧計で記録して管理します。

寿命・交換頻度・LCC評価

交換までの期間は、外気の汚れ、運転時間、面風速、前段フィルタの有無で大きく変わります。期間を決め打ちせず、差圧(圧損)の記録で判断するのが基本です。HEPAなど高性能フィルタは、前段にプレフィルタ・中性能フィルタを置くと目詰まりを遅らせられます。

フィルタの選定は「初期費用+電力費+交換費+廃棄費」の合計(ライフサイクルコスト)で比べます。面風速を低めにしてフィルタを大きくすると初期費用は増えますが、圧損と電力費が下がり、交換間隔も延びる傾向があります。

ISO 16890とJIS B 9908の分類

ISO 16890(国際規格)

PM1・PM2.5・PM10に対する捕集率(ePM)で分類。ePM10が50%未満はISO Coarse。2016年制定。

EN 779(旧欧州規格)

G1-G4(粗塵)、M5-M6(中性能)、F7-F9(高性能)の等級。2018年に廃止されたが、既設機器の呼称として残っている。

JIS B 9908(日本)

2019年改正でISO 16890を基にしたJIS B 9908-1〜6に。第6部が超高性能フィルタユニットの性能試験方法。

ASHRAE 52.2(米国)

MERV 1-16の等級で分類。ISO 16890とは試験方法が違うため、等級どうしを厳密に換算することはできない。

業界・現場での使い方

クリーンルーム(半導体・液晶)

ISO Class 4-5(旧FED-STD-209EのClass 10-100相当)などでは天井にHEPA・ULPAを並べ、吹出し気流を管理します。据付後のリーク試験を行います。

製薬・医療機器工場

GMP省令(平成16年厚生労働省令第179号)の下で清浄区域を管理。EU GMP Annex 1では、グレードAの一方向気流の風速の目安を0.36〜0.54m/sとしています。

外気処理機(AHU)・オフィス

プレフィルタ(ISO Coarse)+中性能・高性能フィルタ(ISO ePM2.5・ePM1など)の2段構成が多い構成です。面風速はフィルタごとの定格の範囲で選びます。

集塵機(バグフィルタ)

工場の集塵機のろ布の「ろ過速度」はm/min単位の小さな値で設計され、空調用フィルタの面風速とは桁が違います。排ガスのダイオキシン類はダイオキシン類対策特別措置法、ばいじんは大気汚染防止法の規制対象です。

よくある間違い・注意点

  • ろ材面積で割って推奨面風速と比べる — 推奨面風速は正面(枠内)面積で割った値の目安です。ろ材面積で割ると数cm/s〜数十cm/sになり、どのフィルタも「低すぎる」と誤判定します。
  • 定格風量を超えて使う — 圧損が増え、交換が早まり、高性能フィルタでは捕集率も下がる方向に働きます。メーカーの定格風量の範囲で使います。
  • フィルタ等級と用途のミスマッチ — 事務所にHEPAは過剰、クリーンルームに中性能だけでは清浄度が不足します。
  • 圧損変化の未監視 — 差圧を記録しないと交換時期を逃し、風量低下や送風機動力の増加につながります。
  • 据付後の確認をしない — クリーンルーム用HEPAは、据付後のリーク試験で枠まわりの漏れがないことを確かめます。

関連する規格・法規

  • JIS B 9908-1〜6 ― 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法(2019年、ISO 16890を基に改正。第6部は超高性能フィルタユニット)。
  • JIS Z 8122 ― コンタミネーションコントロール用語。
  • ISO 16890-1〜4 ― Air filters for general ventilation。EN 779の後継。
  • ISO 29463-1〜5 / EN 1822 ― HEPA・ULPA(高性能フィルタ)の分類と試験方法。
  • ISO 14644-1 ― クリーンルームの清浄度クラス(旧FED-STD-209Eに代わる国際規格)。
  • ASHRAE 52.2 ― MERV分類の米国規格。
  • 建築物衛生法(ビル管法) ― 特定建築物の空気環境の管理基準。
  • 大気汚染防止法・ダイオキシン類対策特別措置法・廃棄物処理法 ― 集塵・排ガス・使用済みフィルタの処理。

参考文献・公的資料

フィルタ設計・選定・保守の詳細情報は、以下の公的機関・業界団体の資料を参照してください。

※本ツールの計算は面風速の基本式に基づく概算値で、推奨範囲は目安です。実際のフィルタ選定・空調設備設計・クリーンルーム設計には、メーカーの仕様書(定格風量・圧損-風量曲線・最終圧損)と最新の規格・関連法令の確認が必要です。

よくある質問(FAQ)

30m³/min・正面面積1.5m²・中性能の面風速は?

v = 30÷60÷1.5 = 0.33 m/s。中性能の目安(1.5〜2.5m/s)より低く、フィルタの大きさに余裕がある状態です。面風速はフィルタ正面(枠内)の面積で割った値で、ろ材の展開面積で割った値ではありません。

面風速とろ材通過風速の違いは?

面風速はフィルタ正面(枠内)の面積で割った風速、ろ材通過風速はプリーツなどで広げたろ材の総面積で割った風速です。ろ材面積は正面の数倍〜数十倍あるため、ろ材通過風速は数cm/s〜数十cm/sと桁が小さくなります。推奨面風速と比べるときは正面面積で割ります。

面風速を上げると何が起きる?

圧力損失が増えて送風機動力が増え、粉じんの堆積が早まって交換が早くなります。HEPA・ULPAは通過風速が上がると捕集率が下がる方向に働きます。メーカーの定格風量と圧損-風量曲線の範囲で使います。

HEPAの面風速が低いのはなぜ?

HEPAのろ材は目が細かく抵抗が大きいため、定格風量が小さく設定されています。また、最も透過しやすい粒径(MPPS、おおむね0.1〜0.3μm)の粒子は拡散で捕まるため、通過風速が低いほど捕集率が高くなります。

ISO 16890とEN 779の違いは?

ISO 16890(2016)はPM1・PM2.5・PM10の捕集率(ePM)で分類し、EN 779(2012)は0.4μm粒子の捕集率で分類していました。EN 779は2018年に廃止され、日本のJIS B 9908も2019年にISO 16890を基にした規格に改正されています。

フィルタの交換時期はどう判断?

メーカーが示す最終圧損(推奨交換圧損)に達したら交換するのが基本です。差圧計で圧損を記録して判断します。HEPAは据付後のリーク試験なども組み合わせます。

プレフィルタは必要?

HEPAなど高性能フィルタの前にプレフィルタ・中性能フィルタを置くと、粗い粉じんを先に取って高性能フィルタの目詰まりを遅らせられます。どの組み合わせにするかは外気の汚れと清浄度の要求で決めます。

クリーンルームの清浄度は何で決まる?

ISO 14644-1で、粒径ごとの1m³あたりの粒子数の上限でClass 1〜9に分類します。0.5μm以上の粒子ではClass 5が3,520個/m³、Class 9が35,200,000個/m³。フィルタの性能だけでなく換気回数・気流・室圧で決まります。

使用済みフィルタの廃棄は?

材質(金属枠・樹脂・ろ材)と付着物で区分が変わるため、処理業者・自治体に確認します。事業活動から出るものは産業廃棄物になることが多く、感染性のおそれがあるものは感染性廃棄物として扱います。放射性物質を含むものは廃棄物処理法ではなく別の法令で管理されます。