Oリングの溝寸法計算
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Oリングの呼び番号(P3〜P400・G25〜G300)から、線径・内径と、運動用・円筒面固定用・平面固定用の溝幅・溝深さ・ハウジング径、つぶし代とつぶし率を JIS B 2401 の値で表示します。実測の溝深さでのつぶし率や、メーカーの推奨溝寸法との違いも出します。
Oリングの溝寸法計算ツール
つぶし代とつぶし率
つぶし代 = 線径 − 溝深さ つぶし率 = つぶし代 ÷ 線径 × 100
Oリングは溝の中で線径の1〜3割ほどつぶされ、その反発力で密封します。円筒面の溝深さは (穴径 D − 溝底径 d) ÷ 2、平面の溝深さは h です。
JIS の溝の決まり方
JIS B 2401-2 では、P系列・G系列の溝寸法が線径ごとに共通です。円筒面では溝底(軸)径 d が呼び番号の数値で、穴径 D は線径1.9なら d+3、2.4なら d+4、3.5なら d+6、5.7なら d+10、8.4なら d+15(G系列の3.1は d+5)です。溝幅はバックアップリングの数で3段階あります。
計算例
P20(線径2.4・内径19.8)は、円筒面で d=20・D=24、溝深さ2.0mm。つぶし代は 2.4 − 2.0 = 0.4mm、つぶし率は 16.7%(規格の範囲 10.8〜19.7%)。平面固定用では溝深さ1.8mmで 25.0%(19.9〜29.7%)。溝深さを実測して1.9mmなら、円筒のつぶし率は20.8%です。取付けると内径19.8mmが溝底20mmに1.01%伸ばされます。
Oリングの線径ごとの溝寸法(JIS B 2401-2)
| 呼び番号 | 線径 mm | 内径 | 穴径 D(円筒) | 溝幅 BRなし/1個/2個 | つぶし率(円筒) | 平面の溝深さ | 平面の溝幅 | つぶし率(平面) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| P3〜P10 | 1.9±0.08 | 番号−0.2 | d+3(深さ1.5) | 2.5 / 3.9 / 5.4 | 14.8〜24.2% | 1.4 | 2.5 | 20.3〜31.8% |
| P10A〜P22 | 2.4±0.09 | 番号−0.2 | d+4(深さ2) | 3.2 / 4.4 / 6 | 10.8〜19.7% | 1.8 | 3.2 | 19.9〜29.7% |
| P22A〜P50 | 3.5±0.10 | 番号−0.3 | d+6(深さ3) | 4.7 / 6 / 7.8 | 9.4〜16.7% | 2.7 | 4.7 | 19.1〜26.4% |
| P48A〜P150 | 5.7±0.13 | 番号−0.4 | d+10(深さ5) | 7.5 / 9 / 11.5 | 8.4〜14.2% | 4.6 | 7.5 | 16.5〜22% |
| P150A〜P400 | 8.4±0.15 | 番号−0.5 | d+15(深さ7.5) | 11 / 13 / 17 | 7.9〜12.3% | 6.9 | 11 | 15.8〜19.9% |
| G25〜G145 | 3.1±0.10 | 番号−0.6 | d+5(深さ2.5) | 4.1 / 5.6 / 7.3 | 13.3〜21.85% | 2.4 | 4.1 | 18.3〜26.6% |
| G150〜G300 | 5.7±0.13 | 番号−0.7 | d+10(深さ5) | 7.5 / 9 / 11.5 | 8.4〜14.2% | 4.6 | 7.5 | 16.5〜22% |
円筒面では軸径(溝底径)d が呼び番号の数値、穴径 D = d + 表の値です。P系列は運動用・固定用の両方、G系列は固定用だけに使います。溝幅の許容差は+0.25/0mm、平面の溝深さの許容差は±0.05mm です。
JIS とメーカーの一般用溝設計表の比較(JIS / メーカー)
| 線径 mm | 円筒の溝深さ | 溝幅 BRなし・1個・2個 | 平面の溝深さ | 平面の溝幅 |
|---|---|---|---|---|
| 1.9 | 1.5 / 1.65 | 2.5・3.9・5.4 / 2.5・3.9・5.3 | 1.4 / 1.4 | 2.5 / 2.5 |
| 2.4 | 2 / 2 | 3.2・4.4・6 / 3.2・4.6・6 | 1.8 / 1.7 | 3.2 / 3.2 |
| 3.1 | 2.5 / 2.7 | 4.1・5.6・7.3 / 4・5.4・6.8 | 2.4 / 2.3 | 4.1 / 4 |
| 3.5 | 3 / 3.1 | 4.7・6・7.8 / 4.8・6.2・7.6 | 2.7 / 2.7 | 4.7 / 4.8 |
| 5.7 | 5 / 5 | 7.5・9・11.5 / 7.7・9.4・11.1 | 4.6 / 4.6 | 7.5 / 7.7 |
| 8.4 | 7.5 / 7.5 | 11・13・17 / 11.7・14.2・16.7 | 6.9 / 6.9 | 11 / 11.7 |
メーカーの値は桜シール・森清化工の溝設計表(両社で同じ値。線径3.1は森清化工の表では3.15の行)。JIS の呼び番号のOリングには JIS の値を使い、メーカーの値は JIS 以外のサイズや参考に使います。
※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。溝寸法は JIS B 2401-2 の値です。Oリングのメーカーごとに推奨の溝寸法が少しずつ違うため、使う製品のメーカーの資料も確認してください。高圧・高温・真空・薬液の用途は、メーカーへの相談をおすすめします。
Oリングの溝寸法計算の詳しい解説
Oリングは断面が円形のゴムの輪で、溝にはめて相手の面とのすき間をふさぎ、油・水・空気を漏らさないようにする部品です。単純な形ですが、性能の大半は溝の寸法で決まります。溝が浅すぎるとつぶれすぎて傷み、深すぎるとつぶれ足りずに漏れます。溝幅が狭いとゴムの逃げ場がなく、広すぎると圧力でOリングが動いて摩耗します。
日本で使われるOリングの寸法は、JIS B 2401-1 に定められています。呼び番号の頭の文字で系列が分かれ、P は運動用と固定用の両方に、G は固定用だけに使います。P系列は線径1.9・2.4・3.5・5.7・8.4mm の5種類で、P3〜P400 の122種。G系列は線径3.1・5.7mm の2種類で、G25〜G300 の46種です。P の後ろの数字は、そのOリングを取り付ける軸(溝底)の径を表していて、Oリングの内径はそれより少し小さく作られています。P20 なら内径19.8mm、G100 なら内径99.4mm です。
Oリングを入れる溝(ハウジング)の寸法は、JIS B 2401-2 に定められています。円筒面の溝は線径ごとに寸法が共通で、溝底径 d は呼び番号の数値、穴径 D は d に一定の値を足したものです。線径2.4のP系列なら D = d + 4 で、溝深さは2.0mm。線径3.5なら D = d + 6 で溝深さ3.0mm です。ピストンに溝を彫るときは d が溝底、D がシリンダの内径。ロッド(軸)に使うときは d が軸、D がハウジング側の溝底になります。
Oリングの性能を左右するのがつぶし率です。線径からどれだけつぶすかを百分率で表したもので、JIS の溝寸法では、運動用・円筒面固定用で線径2.4なら約11〜20%、平面固定用で約20〜30%になるように決められています。運動用は摩擦を抑えるために控えめに、平面固定用は確実に密封するために大きめにつぶします。範囲に幅があるのは、Oリングの線径と溝の寸法にそれぞれ許容差があるからです。このページの「規格のつぶし率の範囲」は、許容差を全部含めた最小と最大です。
実際の部品を測って溝深さが規格からずれているときは、実測の溝深さを入れてつぶし率を確かめてください。たとえば P20 の円筒の溝が2.1mm に仕上がっていると、つぶし率は12.5%で範囲には入りますが下限寄りです。2.2mm まで深いと8.3%で範囲を外れ、低温や偏心で漏れやすくなります。
溝幅は、バックアップリングを使うかどうかで変わります。圧力が高いと、Oリングがすき間に押し出されてかじられる「はみ出し」が起きます。これを防ぐのが四ふっ化エチレン樹脂などのバックアップリングで、圧力がかかる側の反対(低圧側)に入れます。片側から圧力がかかるなら1個、両側から交互にかかるなら2個で、そのぶん溝幅を広くします。線径2.4なら、なし3.2mm・1個4.4mm・2個6.0mm です。
平面固定用の溝は、フランジ面やふたの面に彫る溝です。内圧(内側から圧力がかかる)ならOリングの外周を溝の外壁に、外圧(外側から圧力・真空)ならOリングの内周を溝の内壁に当てるように設計します。圧力でOリングが溝の中を動かないようにするためです。JIS では、外圧用の溝の内径 d8 が呼び番号の数値、内圧用の溝の外径 d7 がそれに一定の値を足したものになっています。
メーカーの資料を見比べると、JIS とメーカーの推奨溝寸法が少し違うことに気づきます。桜シールと森清化工の一般用の溝設計表では、線径2.4 の片側バックアップリングの溝幅を4.6mm(JIS は4.4mm)、平面の溝深さを1.7mm(JIS は1.8mm)としています。JIS の呼び番号のOリングを使うなら JIS の溝が基本で、メーカーの値は JIS 以外のサイズを使うときや、使用条件に合わせて見直すときの参考になります。
Oリングの材料によって、内径の許容差も変わります。JIS は NBR の許容差を基準にし、FKM と HNBR はその1.2倍、VMQ と ACM は1.5倍としています。シリコーンゴム(VMQ)は機械的な強さが小さいので、P系列でも運動用には使わないことが望ましいとされています。
既存の機器でOリングの番号が分からないときは、溝の寸法から逆にたどれます。ピストンの溝底の径、またはロッドの軸径を測り、その数値に近い P番号を探します。たとえば軸径が20mmで、穴径が24mmなら P20(線径2.4)です。穴径と軸径の差が6mmなら線径3.5、10mmなら線径5.7の系列です。最後に、このページで溝深さとつぶし率が規格の範囲に入るかを確かめると、番号の取り違えを防げます。
同じ数字でも P と G は別物です。P150 と G150 はどちらも軸径150mm・線径5.7mmの溝に入りますが、内径は P150 が149.6mm、G150 が149.3mm と違います。溝寸法も JIS の表では同じ値ですが、運動する部分には P150 を選びます。
業界・現場での使い方
油空圧機器の設計
シリンダのピストン・ロッドの溝径と溝幅を、呼び番号から JIS の値で決めます。
保全・補修部品の手配
溝の寸法を測り、合う呼び番号と、つぶし率が規格に入っているかを確かめます。
加工図面のチェック
図面の溝深さ・溝幅・公差が JIS と合っているかを照合します。
真空・平面シールの設計
ふたやフランジ面の溝を、内圧用・外圧用の向きに合わせて決めます。
漏れの原因調査
実測の溝深さからつぶし率を出し、つぶし不足やつぶしすぎを見つけます。
よくある間違い・注意点
- G系列を運動用に使う — G系列は固定用です。往復運動や回転には P系列を使います。
- 呼び番号を内径と思い込む — P20 の内径は19.8mm です。番号は溝底(軸)の径を表します。
- 平面固定の内圧・外圧を逆にする — 内圧は外周を外壁に、外圧は内周を内壁に当てます。逆だと圧力でOリングが動きます。
- バックアップリングの溝幅を広げ忘れる — BR を入れると溝幅が広くなります。線径2.4で3.2→4.4mm です。
- メーカーの表と JIS を混ぜる — 溝深さや幅が少し違います。どちらの値で設計したかをそろえます。
関連する規格・公的資料
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS B 2401-1 Oリング・JIS B 2401-2 ハウジングの形状・寸法
- 日本規格協会 JIS B 2401-2:2012 正誤票 — 2013年8月の訂正(ハウジング幅の記号ほか)
- 桜シール株式会社 P規格サイズ表 — Oリング寸法と溝設計(JIS値)
- 桜シール株式会社 G規格サイズ表 — Oリング寸法と溝設計(JIS値)
- 桜シール株式会社 Oリングの溝設計 — 一般用の標準溝寸法
- 株式会社森清化工 P規格寸法表 — 線径・内径・許容差
- 株式会社森清化工 みぞ部の寸法設定 — 運動用・平面固定用の溝寸法
- 株式会社森清化工 つぶししろ寸法 — つぶし代・つぶし率の範囲
- 一般社団法人 日本ゴム工業会 — ゴム製品の規格
- 日本フルードパワーシステム学会 — 油空圧機器のシール
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
P20 の溝寸法は?
円筒面で軸径20・穴径24mm、溝深さ2.0mm、溝幅3.2mm(BRなし)です。平面固定用は溝深さ1.8mm・溝幅3.2mm です。
Oリングのつぶし率はどれくらい?
JIS の溝では、運動用・円筒面固定用で約8〜24%、平面固定用で約16〜32%(線径で異なる)です。
P と G の違いは?
P は運動用・固定用の両方、G は固定用だけに使います。線径も P は1.9〜8.4mm、G は3.1と5.7mm です。
P20 の内径と線径は?
内径19.8mm、線径2.4mm です。
G100 の内径は?
内径99.4mm、線径3.1mm です。
バックアップリングを入れると溝はどう変わる?
溝幅が広くなります。線径2.4でBRなし3.2mm、1個4.4mm、2個6.0mm です。
内径の許容差は材料で変わりますか?
JIS は NBR を基準に、FKM・HNBR は1.2倍、VMQ・ACM は1.5倍としています。
メーカーの溝寸法と JIS が違うのはなぜ?
メーカーは JIS 以外のサイズにも使える一般用の推奨値を出しています。JIS の呼び番号には JIS の値を優先します。