計算ツールズ
アキュムレータ蓄圧器油圧ガス封入圧

アキュムレータ容量計算

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

放出したい油量と最低・最高作動圧、ガス封入圧を入れると、圧縮過程に応じた必要ガス容積と標準容量、その容量で実際に取れる油量、圧縮比と封入圧の妥当性を算出します。蓄圧・脈動吸収・衝撃吸収の容量選定に使います。

最終更新:2026-09-16/監修:計算ツールズ編集部

アキュムレータ容量計算ツール

計算式

ガス式アキュムレータは封入した窒素を油で圧縮して蓄圧します。ガスの状態変化を P×Vⁿ=一定 とすると、封入圧 P0 で V0 だったガスは最高圧 P2 で V2=V0×(P0/P2)^(1/n)、最低圧 P1 で V1=V0×(P0/P1)^(1/n) になり、その差が放出できる油量です。よって必要なガス容積は V0=ΔV/[(P0/P1)^(1/n)−(P0/P2)^(1/n)](圧力はすべて絶対圧)。

既定値の ΔV 2L・P1 10MPa・P2 16MPa・P0 9MPa を断熱 n=1.4 で計算すると、絶対圧 9.10・10.10・16.10MPa から (0.901)^0.714=0.928、(0.565)^0.714=0.665 で、V0=2/(0.928−0.665)=7.61L。標準容量の 10L を選べば放出油量は 2.63L 取れます。同じ条件を等温で計算すると 5.96L で済み、急速放出ほど大きな容量が要ることが分かります。

用途別のガス封入圧の目安

用途封入圧 P0 の目安理由
蓄圧・補助動力源(ピーク流量の補給)0.9×P1(最低作動圧)有効油量を最大にする。P1 を超えるとブラダが弁に当たる
脈動・サージの吸収0.6〜0.8×平均作動圧圧力変動の中心で応答よく伸縮させる
衝撃(ウォーターハンマ)の吸収0.6〜0.9×通常作動圧急激な圧力上昇を受け止める余地を残す
油温変化の容積補償・漏れ補償0.9×P1ゆっくりした変化なので等温で計算

圧縮過程による必要容量の違い(既定値 ΔV 2L・9/10/16MPa)

過程指数 n必要ガス容積 V0使う場面
等温1.05.96L数分以上かけた放出・容積補償
ポリトロープ1.26.78L数十秒程度の放出
断熱1.47.61L数秒以内の急速放出・衝撃吸収

形式ごとの圧縮比の目安と特徴

形式圧縮比 P2/P0 の上限応答特徴
ブラダ形約4速い最も一般的。ゴム袋で気液を分離
ダイヤフラム形約8(小容量)速い小型・軽量。数L以下
ピストン形制限なし(実用10程度)やや遅い大容量・高圧向き。摺動シールの摩擦がある

※本ツールは理論式による参考計算です。機器の選定は各メーカーのカタログ値と安全率、および JIS・ISO と労働安全衛生法令の要求事項に従ってください。

アキュムレータ容量計算の詳しい解説

アキュムレータは油圧回路の電池です。ポンプが余裕のある時間に油を押し込んで窒素を圧縮しておき、シリンダが一斉に動く瞬間に油を吐き出してポンプの吐出量を補います。これによりポンプとモータをピーク流量ではなく平均流量で選べるので、設備の動力とコストが下がります。同じ仕組みを、ポンプの脈動や弁の急閉による圧力サージを吸収する緩衝器として、あるいは油温変化や微小な漏れによる圧力低下を補う保圧装置として使うこともあり、目的によって封入圧の決め方と計算の過程が変わります。

容量計算の要は、窒素がどのように圧縮・膨張するかの仮定です。ゆっくり変化すれば熱が周囲と交換されて温度が一定に保たれ、等温変化 n=1 になります。数秒以内に油を吐き出す蓄圧用途では熱交換が間に合わず、断熱変化 n=1.4 に近づきます。断熱では膨張とともにガス温度が下がって圧力が早く落ちるため、同じ油量を取り出すのにより大きなガス容積が要ります。既定値では等温の 5.96L に対して断熱では 7.61L と3割近く違い、この差を無視して等温で選ぶと実機で油量が足りません。迷ったら断熱で計算しておくのが安全側です。

封入圧の決め方は用途で異なります。蓄圧用途では有効油量を最大にしたいので、最低作動圧のやや下、一般に 0.9×P1 に設定します。封入圧を最低作動圧より高くしてはいけないのは、回路圧が封入圧を下回った瞬間にブラダが完全に膨らんで油ポート側の弁に押し付けられ、繰り返すとブラダが傷むからです。逆に封入圧が低すぎると、最高圧で圧縮されたときのガス容積が小さくなり、有効油量が減ります。脈動吸収では圧力変動の中心付近で応答よく伸縮させるため、平均作動圧の 0.6〜0.8 倍に置きます。

圧縮比 P2/P0 はブラダ形で 4 以下が目安です。これを超えるとブラダが大きく変形して寿命が縮み、極端な場合は破損します。高い圧縮比が必要ならピストン形にするか、複数台を並列にします。標準容量は 0.5・1・1.6・2.5・4・6・10・16・20・25・32・40・50L と並び、計算値以上の最小のものを選び、その容量で実際に取れる油量を再計算して余裕を確認します。窒素の封入はゲージ圧 1MPa 以上になるため高圧ガス保安法の対象で、封入作業には専用の充填治具と手順が要ります。

運用面では、封入圧の点検が最も重要です。ガスは長期間でわずかずつ抜けるので、半年〜1年ごとに油側の圧力を抜いて封入圧を測り、規定値まで補充します。封入圧が下がると有効油量が減り、ピーク時に圧力が落ちる、脈動が増える、といった症状として現れます。また、アキュムレータを含む回路は電源を切っても蓄圧が残るため、整備前には必ず放圧弁で圧力を抜き、圧力計でゼロを確認する手順を設計に組み込みます。労働安全衛生法の圧力容器としての区分も、容積と圧力によって第一種圧力容器の検査対象になることがあるので、選定時にメーカーの区分表示を確認してください。

別の条件での計算例

ポンプの脈動吸収に使う場合を見ます。平均作動圧 7MPa で ±0.5MPa の変動を吸収したいので P1=6.5MPa・P2=7.5MPa、封入圧は平均圧の 0.7 倍の 4.9MPa、吸収したい油量を 0.2L とします。変動は速いので断熱 n=1.4 で計算すると、絶対圧 5.00・6.60・7.60MPa から (0.758)^0.714=0.820、(0.658)^0.714=0.742 で、V0=0.2/(0.820−0.742)=2.55L です。標準容量の 2.5L では 0.196L しか取れず計算値にわずかに届かないため、一段上の 4L を選ぶか、封入圧を 0.75 倍の 5.25MPa にして再計算します。脈動吸収では圧力変動幅が小さいぶんガスの伸縮も小さく、蓄圧用途より容量あたりの有効油量が少なくなるのが特徴で、配管の振動を抑えたいときは応答性の高い小型のブラダ形かダイヤフラム形をポンプ吐出口の直近に置きます。

業界・現場での使い方

プレス・射出成形機の補助動力

サイクル中のピーク流量をアキュムレータで補い、ポンプを平均流量で選定します。放出時間が短いので断熱で計算します。

ポンプ脈動・サージの吸収

平均作動圧の0.6〜0.8倍の封入圧で応答性を確保し、配管の振動と騒音を抑えます。

クランプ・保圧回路

油温変化や微小漏れによる圧力低下を等温計算で補い、ポンプを停止したまま保持します。

非常時の動力源

停電時にバルブを閉じる、ブレーキを掛けるなどの動作に必要な油量を、断熱・安全率込みで確保します。

よくある間違い・注意点

  • ゲージ圧のまま比を取る — ガスの状態式は絶対圧で成り立ちます。0.1013MPa を足してから計算します。
  • 急速放出を等温で計算する — 数秒以内の放出は断熱に近く、等温より3割近く大きな容積が要ります。
  • 封入圧を最低作動圧より高くする — 回路圧が封入圧を下回るたびにブラダが弁に当たり損傷します。0.9×P1 が上限の目安です。
  • 圧縮比を確認しない — ブラダ形は P2/P0 が4以下です。超えるならピストン形か複数台にします。
  • 封入圧の点検を怠る — ガスは徐々に抜け、有効油量が減ります。半年〜1年ごとに測定・補充します。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

アキュムレータの容量はどう計算しますか?

V0=ΔV/[(P0/P1)^(1/n)−(P0/P2)^(1/n)] です。既定値の 2L・9/10/16MPa・断熱で 7.61L、標準容量は 10L です。

等温と断熱はどう使い分けますか?

数分以上かけた放出や容積補償は等温、数秒以内の急速放出や衝撃吸収は断熱です。迷ったら断熱が安全側です。

封入圧はいくつにしますか?

蓄圧用途では最低作動圧の 0.9倍、脈動吸収では平均作動圧の 0.6〜0.8倍が目安です。

圧縮比の上限は?

ブラダ形で P2/P0 が約4です。既定値では 1.77 で問題ありません。

標準容量 10L で何L 取れますか?

既定値の条件では 2.63L です。計算値の 2L に対して余裕があります。

封入圧はどのくらいの頻度で点検しますか?

半年〜1年ごとです。油側を放圧してから測定し、規定値まで窒素を補充します。

窒素以外のガスは使えますか?

使えません。酸素や空気は油と反応して爆発の危険があるため、必ず窒素を使います。

高圧ガス保安法の対象になりますか?

ゲージ圧1MPa以上の窒素封入は高圧ガスの扱いで、充填作業の基準が定められています。

整備前に注意することは?

電源を切っても蓄圧が残ります。放圧弁で圧力を抜き、圧力計でゼロを確認してから配管を外します。