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墜落制止用器具の必要クリアランス計算

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

ランヤードの長さとフックを掛ける位置から、落ちたときに下方向に必要な空間を計算します。ランヤード1.7mでも5.4m以上の空間が必要です。第一種と第二種の使い分け、胴ベルトが使える高さも判定します。

最終更新:2026-09-20/監修:計算ツールズ編集部

墜落制止用器具の必要クリアランス計算ツール

落ちてから止まるまでに必要な高さ

墜落制止用器具は、落ちることを前提に「地面に達する前に止める」ための道具です。止まるまでに下方向の空間が要り、これをクリアランスと呼びます。

必要クリアランス = 自由落下距離 + ショックアブソーバの伸び + 身体の伸び + 余裕

自由落下距離はランヤードの長さと、フックを掛けた位置で決まります。フックが頭上にあればランヤードの長さそのままですが、腰の高さなら0.85m、足元なら1.7m ほど余計に落ちます。

ランヤード1.7m・第一種アブソーバ(伸び1.2m)・身長1.7m(身体の伸び約1.53m)・余裕1.0m なら、1.7+1.2+1.53+1.0=5.43 m。5m の高さで作業していると、足りません。

第一種と第二種

ショックアブソーバには2種類あります。第一種は自由落下距離1.8m 以下で使うもので、伸びは1.2m 以下。第二種は自由落下距離4.0m 以下まで使え、伸びは1.75m 以下です。足元にフックを掛ける可能性がある作業では第二種が必要になります。

逆に言えば、第一種のランヤードを足元に掛けて使うことはできません。自由落下距離が1.8m を超えるためです。この取り違えは現場でよく起きます。

フックの位置と自由落下距離(ランヤード1.7m)

フックの位置自由落下距離使えるアブソーバ必要クリアランス
頭上1.70 m第一種・第二種約5.43 m
腰の高さ2.55 m第二種のみ約6.83 m
足元3.40 m第二種のみ約7.68 m

※身長1.7m・余裕1.0m で計算。フックを頭上に掛けるだけで2m 以上短くなります。

ショックアブソーバの種類

種類自由落下距離伸びの上限用途
第一種1.8 m 以下1.2 mフックを頭上に掛けられる作業
第二種4.0 m 以下1.75 m足元にしか掛けられない作業
巻取り式(ロック付き)短い1.2 m 程度移動が多い作業。クリアランスを稼げる

器具の種類と使用高さ

高さ使える器具備考
6.75 m 超フルハーネス型のみ胴ベルト型は使用不可
6.75 m 以下胴ベルト型も可建設業では5m 超でフルハーネス推奨
2 m 以上いずれか必須作業床の設置が困難な場合

※そもそも墜落制止用器具は最後の手段です。作業床・手すり・囲いの設置が優先されます。

※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。保護具と揚重は人命に直結します。このツールは選定の見当をつけるための概算であり、製品ごとに規格値も使用条件も異なります。最終的な判断は、メーカーの取扱説明書と、作業主任者など有資格者の確認によってください。法令の適用については所轄の労働基準監督署にご相談ください。

墜落制止用器具の必要クリアランス計算の詳しい解説

フルハーネス型の墜落制止用器具が義務化されてから、現場での装着率は大きく上がりました。ところが「着けていれば安全」ではありません。落ちてから止まるまでに必要な空間が足りなければ、止まる前に地面や下の構造物に当たります。この空間をクリアランスと呼び、計算して確かめる必要があります。

必要な高さは4つの足し算です。まず自由落下距離。ランヤードが張るまでに落ちる距離で、フックの位置で変わります。頭上に掛けていればランヤードの長さぶんですが、足元に掛けていると、まず体がフックの高さまで落ちてから、さらにランヤードの長さぶん落ちます。ランヤード1.7m でも、足元掛けなら3.4m 落ちてから止まり始めます。

次がショックアブソーバの伸びです。急に止めると体に衝撃がかかりすぎるため、ランヤードの一部が引き伸ばされて衝撃を吸収します。第一種で1.2m、第二種で1.75m まで伸びます。この伸びは安全のために必要なものですが、そのぶん下に落ちるということでもあります。

そして身体の伸び。ハーネスのD環は背中の肩甲骨のあたりにあるので、吊られた状態では足先がD環より1.5m ほど下になります。ハーネス自体のずれも含めて、身長の0.9倍程度を見込みます。最後に余裕を1m 程度加えます。

全部足すと、ランヤード1.7m・第一種・頭上掛け・身長1.7m でも 5.43m です。足元掛けなら7.68m。5m の高さで作業していたら、頭上に掛けていても足りません。この事実は意外に知られておらず、「フルハーネスを着けているから大丈夫」という思い込みが事故につながります。

クリアランスが足りないときの対策はいくつかあります。短いランヤードを使う、巻取り式(ロック機能付き)にする、フックを頭上に掛けられるよう親綱や支柱を設ける、そしてそもそも作業床と手すりを設ける。労働安全衛生法の考え方でも、墜落制止用器具は最後の手段です。まず作業床を設け、それが難しい場合に器具を使う、という順序になっています。

最後に、一度でも墜落を止めたランヤードは再使用できません。ショックアブソーバは伸びることで衝撃を吸収する仕組みなので、作動した時点で機能を使い切っています。見た目に異常がなくても交換が必要です。同様に、落下していなくても、使用期限やメーカーが定める点検基準を超えたものは交換します。

業界・現場での使い方

高所作業の計画

作業高さに対してクリアランスが足りるかを事前に確かめます。

ランヤードの選定

作業場所の高さから、必要な長さと種類を決めます。

第一種と第二種の判断

フックを掛けられる位置から、どちらが必要かを判定します。

安全教育

クリアランスの考え方を数字で示し、頭上に掛ける理由を説明します。

作業床設置の検討

クリアランスが確保できない場所を洗い出し、足場の必要性を判断します。

よくある間違い・注意点

  • 着けていれば安全だと思う — クリアランスが足りなければ止まる前に地面に当たります。
  • 第一種を足元に掛けて使う — 自由落下距離が1.8m を超えます。第二種が必要です。
  • 身体の伸びを勘定に入れない — D環は背中にあり、足先は1.5m ほど下になります。
  • 作動したランヤードを使い続ける — ショックアブソーバは一度で機能を使い切ります。交換が必要です。
  • 器具を先に検討する — 作業床と手すりの設置が優先です。器具は最後の手段です。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

必要なクリアランスはどう計算しますか?

自由落下距離+アブソーバの伸び+身体の伸び+余裕です。ランヤード1.7m・頭上掛けで約5.4m です。

フックの位置で変わりますか?

大きく変わります。足元に掛けると自由落下距離が1.7m 増え、必要空間は7.7m 近くになります。

第一種と第二種の違いは?

第一種は自由落下1.8m 以下・伸び1.2m、第二種は4.0m 以下・伸び1.75m です。

足元に掛けるときはどちらが必要ですか?

第二種です。第一種では自由落下距離の条件を超えます。

身体の伸びとは何ですか?

D環が背中にあるため、吊られると足先がD環より下がる分です。身長の0.9倍程度を見込みます。

胴ベルト型はいつまで使えますか?

高さ6.75m 以下です。それを超える箇所ではフルハーネス型が必要です。

5m の高さなら安全ですか?

足りません。ランヤード1.7m・頭上掛けでも5.4m 必要です。

クリアランスが足りないときは?

短いランヤード、巻取り式、頭上に掛けられる設備、そして作業床の設置を検討します。

落ちたランヤードは使えますか?

使えません。ショックアブソーバは一度で機能を使い切ります。

器具があれば作業床は不要ですか?

逆です。作業床と手すりが優先で、器具は設置が困難な場合の最後の手段です。