壁量計算(2025年4月改正)
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
2025年4月施行の改正で、必要壁量は「軽い屋根・重い屋根」の表から建物の荷重の実態に応じた算定式に変わりました。階高・床面積・屋根と外壁の仕様・太陽光発電設備から単位床面積あたりの必要壁量を求め、地震と風の必要壁量のうち大きいほうと存在壁量を階・方向ごとに比べます。
壁量計算(2025年4月改正)ツール
地震に対する必要壁量(2025年4月施行)
改正後の昭和56年建設省告示第1100号第三により、各階の床面積あたりの必要壁量を次の式で求めます。「軽い屋根」「重い屋根」の区分と、床面積に乗ずる数値の表は廃止されました。
Lw = (Ai × Co × Σwi) ÷ (0.0196 × Afi)
Lw は床面積1m²あたりの必要壁量(cm/m²)、Ai は層せん断力分布係数(昭55建告1793号第3の式)、Co は標準せん断力係数で0.2(特定行政庁が指定した軟弱地盤の区域は0.3)、Σwi はその階が地震時に負担する固定荷重と積載荷重の和(kN)、Afi はその階の床面積(m²)です。0.0196 は壁倍率1の耐力壁の耐力 1.96 kN/m を cm 単位にした値です。
Ai = 1 + (1/√αi − αi) × 2T/(1+3T) T = 0.03h
風に対する必要壁量
(その階より上を含む見付面積 − 床面から1.35m以下の部分の見付面積)× 50 cm/m²(特定行政庁が強風区域として指定した区域は50を超え75以下の数値)。地震と風の大きいほうが必要壁量です。
計算例
金属板ぶき・サイディング・太陽光なし、1階60m²(階高2.9m)・2階50m²(階高2.8m)では、1階が負担する荷重は 1階の床面積あたり 3.159 kN/m²、2階は 1.058 kN/m² です。1階は 0.2×3.159÷0.0196 = 32.2 → 33 cm/m²、2階は Ai=1.362 で 18 cm/m²。必要壁量は1階 33×60÷100 = 19.8 m、2階 18×50÷100 = 9.0 m です。
設計支援ツールの荷重の想定値(床面積あたり)
| 部位 | 仕様 | 部位の面積あたり | このツールで使う値 |
|---|---|---|---|
| 屋根(天井・小屋組を含む) | 瓦屋根(ふき土無) | 990 N/m² | 1,300 N/m²(×1.3) |
| スレート屋根 | 740 N/m² | 1,000 N/m² | |
| 金属板ぶき | 500 N/m² | 650 N/m² | |
| 太陽光発電設備等 | 屋根全面に設置 | 200 N/m² | 260 N/m² |
| 天井断熱材 | 初期値 | 100 N/m² | 100 N/m² |
| 2階の床 | — | 610 N/m² | 610 N/m² |
| 積載荷重(地震力用) | 住宅の居室 | 600 N/m² | 600 N/m² |
外壁の荷重(壁の面積あたり)と、床面積あたりへの換算
| 外壁の仕様 | 壁の面積あたり | 床面積あたり(階高2.8m) |
|---|---|---|
| 土塗り壁等 | 1,000 N/m² | 1,160 N/m² |
| モルタル等 | 890 N/m² | 1,040 N/m² |
| サイディング | 600 N/m² | 700 N/m² |
| 金属板張 | 500 N/m² | 580 N/m² |
| 下見板張 | 350 N/m² | 410 N/m² |
床面積あたりへの換算は、平面を6m×16.5mの長方形、開口率9%と仮定して 壁の荷重×(2×6+2×16.5)×階高×0.91÷(6×16.5) で求め、10 N/m² 単位に切り上げます。内壁は階高2.8mで200 N/m²、窓(トリプルガラス)は開口部の面積あたり400 N/m²です。
単位床面積あたりの必要壁量の試算(太陽光なし・断熱材は初期値・Co=0.2)
| 屋根 | 外壁 | 平屋(階高2.9m) | 2階建ての1階 | 2階建ての2階 |
|---|---|---|---|---|
| 瓦(ふき土無) | サイディング | 20 | 39 | 26 |
| 瓦(ふき土無) | モルタル等 | 22 | 44 | 28 |
| スレート | サイディング | 17 | 36 | 22 |
| スレート | モルタル等 | 19 | 41 | 25 |
| 金属板ぶき | サイディング | 14 | 33 | 18 |
| 金属板ぶき | 金属板張 | 13 | 31 | 17 |
| 金属板ぶき | モルタル等 | 15 | 37 | 21 |
2階建ては1階60m²・階高2.9m、2階50m²・階高2.8mの例(単位 cm/m²)。瓦・サイディングで太陽光ありにすると1階42・2階29に増えます。
※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。屋根・外壁などの荷重は、国土交通省が案内する設計支援ツール(日本住宅・木材技術センター)の想定値です。仕様が想定から外れる場合や、軒の出が600mmを超える・屋根が5寸勾配を超える場合は、実際の荷重で算定してください。この計算は壁量の見当をつけるための参考計算で、四分割法・柱頭柱脚の接合部・柱の小径の確認は含みません。
壁量計算(2025年4月改正)の詳しい解説
壁量計算は、木造住宅が地震や台風の横からの力に耐えられるだけの耐力壁を持っているかを確かめる、もっとも基本的な構造の確認です。各階・各方向について、実際に配置した耐力壁の長さに壁倍率を掛けた存在壁量が、建物の重さや大きさから決まる必要壁量以上であることを確かめます。壁倍率1は、長さ1mあたり1.96 kNの水平力に耐える壁を表します。
2025年4月の建築基準法の改正で、この必要壁量の求め方が大きく変わりました。それまでは「軽い屋根」「重い屋根」の2区分ごとに、床面積に乗ずる数値(たとえば2階建ての1階で軽い屋根29・重い屋根33 cm/m²)が表で決まっていました。ところが、省エネ性能を高めるための断熱材の増量、トリプルガラスの窓、太陽光発電設備の設置、階高の引き上げなどで木造住宅は重くなっており、2区分では実態を表せなくなっていました。そこで改正後の告示1100号第三は、建物の荷重の実態から算定式で必要壁量を求める方式に改めました。
算定式 Lw = (Ai×Co×Σwi)÷(0.0196×Afi) は、地震力の考え方そのものです。その階が負担する重さ Σwi に標準せん断力係数 Co(一般に0.2)と層せん断力分布係数 Ai を掛けると、その階に働く地震力(kN)になります。これを壁倍率1の耐力 1.96 kN/m で割ると必要な壁の長さ(m)になり、床面積で割って cm に直したものが Lw です。0.0196 は 1.96 kN/m を cm 単位にした値です。
Ai は、上の階ほど揺れが大きくなる効果を表す係数です。1階は1.0、2階は1より大きくなります。式は Ai = 1+(1/√α − α)×2T/(1+3T) で、α は2階が負担する重さを建物全体の重さで割った値、T は建物の固有周期で木造では 0.03×高さ(秒)です。2階が軽いほど α が小さくなり、2階の Ai は大きくなります。
荷重 Σwi は、屋根・天井・太陽光発電設備・外壁・内壁・断熱材・窓・2階の床と積載荷重を積み上げて求めます。各階の壁の重さは半分ずつ上下の階に振り分けます。国土交通省が案内する設計支援ツール(日本住宅・木材技術センターの表計算ツール)は、屋根は軒の出450〜600mm・5寸勾配を想定して1.3倍に割り増し、外壁は平面6m×16.5m・開口率9%を想定して床面積あたりに換算しています。このツールはその想定と手順をそのまま使っています。ツールの入力例(スレート屋根・サイディング・各階2.81m・50.25m²)で1階40・2階22 cm/m²、国土交通省の補足資料の例(瓦・サイディング・太陽光あり・2.86m/3.00m・50m²)で1階46・2階28 cm/m² と、公表されている結果を再現できることを確かめてあります。
試算すると、改正前の表より必要壁量が増える仕様が多くなります。金属板ぶき・サイディングの2階建て(1階60m²・2階50m²)でも1階33 cm/m²で、改正前の軽い屋根の29を上回ります。瓦屋根なら39、太陽光発電設備を載せると42に増えます。重い仕様ほど、また2階の床面積が1階に近いほど、1階の必要壁量は大きくなります。軟弱地盤の指定区域では Co が0.3になり、必要壁量は1.5倍です。
風に対する必要壁量は改正前と同じ考え方で、見付面積(その階より上を含む、張り間方向または桁行方向の鉛直投影面積)から床面から1.35m以下の部分を除いた面積に50 cm/m²を掛けます。張り間方向の壁は、張り間方向に吹く風、つまり桁行方向に長い外壁面が受ける風に抵抗するので、張り間方向の見付面積は長い面の立面で求めます。地震の必要壁量は方向によらず同じですが、風は方向ごとに違うため、細長い建物では短い方向が風で決まることがあります。
改正では存在壁量の数え方も変わりました。腰壁・垂れ壁など、これまで数えなかった準耐力壁等を存在壁量に算入できるようになり、壁倍率の上限は5倍から7倍に引き上げられました。ただし、準耐力壁等の柱の折損などの脆性的な破壊が生じないことを確かめた場合を除き、耐力壁だけで必要壁量の1/2以上が必要です。また、高さ3.2mを超える筋かいの軸組は倍率を低減します。壁量計算を満たしたあとも、四分割法による釣り合いの確認、柱頭柱脚の接合部、柱の小径の確認が必要です。経過措置として、2026年3月末までは改正前の基準によることもできました。
使い方の流れは、①階高と床面積、屋根・外壁の仕様を入れて Lw を出す、②各階・各方向の見付面積を立面図から拾って風の必要壁量を出す、③平面図から壁倍率×長さを方向別に合計して存在壁量を入れる、の順です。判定が「不足」の場合は、耐力壁を足すか壁倍率の高い仕様に替えます。外壁を軽い仕様に替える、2階の床面積を減らすといった、荷重のほうを減らす見直しも、算定式なら効果が数字で見えます。
業界・現場での使い方
木造住宅の基本設計
プランの段階で必要壁量を出し、壁の配置と窓の大きさの見当をつけます。
仕様の比較
屋根・外壁・太陽光発電設備を変えたときに、必要壁量がどれだけ変わるかを比べます。
確認申請の準備
2025年4月以降の算定式で、各階・各方向の必要壁量と存在壁量を整理します。
リフォーム・太陽光の後付け
屋根に設備を載せたとき、壁量の余裕が残るかを確かめます。
営業・設計の打合せ
重い仕様にしたときに壁が増えることを、数字で施主に説明します。
よくある間違い・注意点
- 改正前の表の数値を使う — 2025年4月以降は算定式によります。軽い屋根29・重い屋根33の表は廃止されました。
- 太陽光発電設備を荷重に入れない — 屋根全面なら床面積あたり260N/m²程度増え、必要壁量が1割近く増えます。
- 見付面積の方向を取り違える — 張り間方向の壁は、桁行方向に長い外壁面の立面(張り間方向の見付面積)で決まります。
- 準耐力壁等だけで壁量を満たす — 耐力壁だけで必要壁量の1/2以上が必要です。
- 軟弱地盤の指定を見落とす — 指定区域は Co=0.3 で、必要壁量が1.5倍になります。特定行政庁に確認します。
関連する規格・公的資料
- 国土交通省 令和6年国土交通省告示第447号(昭和56年建設省告示第1100号の改正) — 第三 地震力と風圧力に対する必要壁量の基準
- 国土交通省 技術的助言 国住指第147号 — 必要壁量の算定式、準耐力壁等、倍率の上限7倍
- 国土交通省 必要な壁量等の基準に関する補足資料(令和6年7月8日) — 算定式・荷重の算入方法・早見表と表計算ツールの案内
- 公益財団法人 日本住宅・木材技術センター 壁量等の基準(令和7年施行)対応 早見表・表計算ツール — 設計支援ツールと荷重の想定値
- e-Gov 法令検索(建築基準法施行令) — 第46条第4項(軸組の設置の基準を告示に委任)、第88条 地震力
- 国土交通省 住宅局 — 建築基準法の改正(2025年4月施行)の案内
- 一般財団法人 日本建築防災協会 — 木造住宅の耐震設計・診断
- 国立研究開発法人 建築研究所 — 木造建築物の構造の研究
- 独立行政法人 住宅金融支援機構 — 木造住宅工事仕様書
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
2025年4月の改正で壁量計算はどう変わりましたか?
必要壁量を「軽い屋根・重い屋根」の表でなく、建物の荷重の実態から算定式で求めるようになりました。準耐力壁等の算入、壁倍率の上限7倍も加わりました。
必要壁量の算定式を教えてください。
Lw=(Ai×Co×Σwi)÷(0.0196×Afi) です。Lwは床面積あたりの必要壁量(cm/m²)、Σwiはその階が負担する固定荷重と積載荷重の和(kN)、Afiは床面積(m²)です。
0.0196 とは何ですか?
壁倍率1の耐力壁の耐力 1.96kN/m を、cm 単位の壁量に合わせた定数です。
Co はいくつですか?
0.2です。特定行政庁が令第88条第2項で指定した軟弱地盤の区域では0.3です。
金属板ぶきの2階建ての必要壁量はいくつですか?
サイディング・太陽光なし・1階60m²/2.9m・2階50m²/2.8mの例で、1階33・2階18cm/m²です。
太陽光パネルを載せるとどれだけ増えますか?
瓦屋根・サイディングの例で、1階39→42、2階26→29cm/m²に増えます。
風の必要壁量は変わりましたか?
考え方は同じです。見付面積から床面から1.35m以下を除いた面積に50cm/m²(強風区域は50超75以下)を掛けます。
準耐力壁とは何ですか?
柱と間柱だけにくぎ打ちした面材の壁や、腰壁・垂れ壁などで、改正後は倍率を求めて存在壁量に算入できます。
早見表と算定式の結果が違うのはなぜですか?
早見表は階高や床面積の比などを一定に仮定した試算です。条件が違えば算定式の結果が変わります。
構造計算をすれば壁量計算は不要ですか?
告示1100号第六の条件を満たして構造計算で安全を確かめる場合は、壁量の基準の適用が除外されます。